「住宅を建てるなら大手が安心」「いやいや、中小のハウスメーカーのほうが割安感があってお得!」
「実績のある建築士さんと工務店にお願いしたい」
家を建てると決めたら、次は建築業者の選定です!
数あるハウスメーカーから、大切なマイホームを託せる信頼できる業者を選び出すには、どんなチェックポイントがあるのでしょう?
ハウスメーカーのCMもたくさん見るけれど、知名度の高いメーカー=優良メーカーと言えるもの?
数多くの物件を見てきた住宅のプロ、不動産コンサルタントで
さくら事務所創業者会長の長嶋修さんに伺います。
販売戸数ランキング上位のハウスメーカーは?
ハウスメーカーの人気度を測る尺度のひとつが、販売戸数です。2017年の各社の販売戸数ランキングは以下の通り。
あわせて、各メーカーの平均坪単価もまとめてみます。
坪単価とは、建物の床面積1坪(=約3.3平米)あたり、建築費がいくらかかっているかを算出したもの。
家の本体価格÷延床面積(建物の床面積の合計)=坪単価 で計算されます。
計算に使う「家の本体価格」には、電気やガス、エアコンなどの屋外配管の費用を含めているメーカーもあれば、含めないメーカーも。
共通のルールがないため、メーカーごとにバラつきがあります。坪単価は、ざっくりした目安程度に見ておきましょう。
ハウスメーカー |
販売戸数 |
平均坪単価(万円) |
1位 積水ハウス |
13,294戸 |
91.3 |
2位 積水化学工業 |
9,880戸 |
83.7 |
3位 旭化成ホームズ |
9,760戸 |
94.9 |
4位 大和ハウス工業 |
9,227戸 |
88.5 |
5位 住友林業 |
7,864戸 |
97.9 |
6位 ミサワホーム |
6,885戸 |
75.4 |
7位 パナソニック ホームズ |
5,090戸 |
86.9 |
8位 トヨタホーム |
4,810戸 |
72.6 |
9位 三井ホーム |
3,162戸 |
97.2 |
10位 ヤマダ・エスバイエルホーム |
1048戸 |
72.4 |
(ザ・ハウス「注文住宅のことなら何でもわかる知識集」より引用)
CMなどでもおなじみの大手ハウスメーカーがランクインしています。
着工数が多いということは、それだけ支持を得て契約をしてもらっているということ。
坪単価を合わせて見てみると、それぞれのハウスメーカーが提供している住宅のグレードを把握するのに役立ちます。
坪単価が高い大手ハウスメーカーは、一般的に設備や資材のグレードも最高級です。
坪単価が少し下がる中小のメーカーは、標準クラス、坪単価が20〜30万円の工務店ではエコノミークラス、といったように、大まかなクラス分けができる、と考えて差し支えないでしょう。
ハウスメーカーの顧客満足度ランキングをチェック!
続いて、オリコンが発表している「ハウスメーカー 注文住宅の顧客満足度ランキング」を見てみましょう。
こちらは、ハウスメーカー48社を対象に調査を行い、過去12年間に実際に注文住宅を購入した13,396名の回答によってまとめられたものです。
住居の性能、アフターサービス、金額の納得感、営業スタッフの対応から打ち合わせのしやすさなど、さまざまな項目を総合して、顧客満足度を点数化しています。
ハウスメーカー |
顧客満足度 |
1位 スウェーデンハウス |
79.64点 |
2位 へーベルハウス |
78.05点 |
3位 住友林業 |
77.91点 |
4位 積水ハウス |
77.15点 |
5位 三井ホーム |
77.14点 |
6位 一条工務店 |
76.91点 |
7位 パナソニック ホームズ |
76.80点 |
8位 セキスイハイム |
76.31点 |
9位 ダイワハウス |
76.30点 |
10位 トヨタホーム |
76.08点 |
1位にランクインしたスウェーデンハウスは、高機密高断熱の省エネ性能が特徴です。
全14の評価項目のうち、12項目で1位を獲得し、実際に住んでいる方の満足度の高さが伺えます。
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大手ハウスメーカーかパワービルダー、どちらがオススメ?
2つのランキングを見てきましたが、どちらのランキングも大手ハウスメーカーの強さを感じる結果に。
ハウスメーカーのメリット・デメリット
積水ハウス、大和ハウスなどの老舗メーカーは、やはり大手と言われるだけあって、長年にわたる多くの建築実績があります。「設計」「工事」の品質はおしなべて高い、といえるでしょう。
また、「住宅は建てたら終わり」ではありません。30年、40年と伴走するだけの「体力」も、大手は最も安心感があります。建物を直してもらいたいと思っても、その会社が倒産してしまっていてはどうにもなりません。
ただ、建築コストに割高感があるのもたしかです。莫大な広告費や人件費などがかかっているためで、ブランド料ともいえるかもしれません。
パワービルダーのメリット・デメリット
パワービルダーとは、大量生産や部材の共通化、工期短縮などの合理化によって、ローコストの住宅を大量供給する会社のことです。急ピッチで建売住宅を建て、リーズナブルな価格で販売したことから、2000年前後に台頭したこうしたメーカー群をパワービルダーと呼ぶようになりました。
有名なところでは、タマホーム、飯田産業グループなどがあげられます。
コストを抑えたいなら、大手ハウスメーカーよりもパワービルダーが手がけた物件のほうが断然安上がり。
以前は、「安かろう悪かろう」という印象もありましたが、今では技術力も向上し、住宅性能、設計の品質もアップ。
大手メーカーと比べても遜色のないレベルにまで到達しつつあります。
ただ、課題は、物件ごとに仕上がりにバラつきがあること。
大田区のAさん宅ではきっちり工事されているのに、世田谷区のBさん宅は手抜かりが多い…なんてことが起きやすいのです。
会社の成長スピードに教育や車内システムが追いついていないこと、コスト効率の観点から現場監督の持つ現場数が多すぎることが原因だと考えられます。
こうした心配を払拭するために、ホームインスペクション(住宅診断)を依頼する人も増えています。
工事の節目ごとに住宅診断士が現場におもむき、設計通りにきちんとつくっているかを確認するのです。
もし何かミスや手抜きがあれば、設計書通りにつくりなおすよう、ストップをかけます。
工務店のメリット・デメリット
地元の工務店で建てたい、という方もいるでしょう。
ひとくちに工務店といっても、千差万別。ほれぼれとするような技術を持ち、性能のいい家を建てる工務店もあれば、建築基準法などの法改正も知らず、昔のままの基準で家を建ててしまう工務店も。
建築家に依頼するメリット・デメリット
こちらも工務店同様に千差万別なので、見極めが大切です。コスト意識を高く持ち、現場管理まで含めた建築全体のプロデュースをきちんとやってくれる方もいます。
一方で、「自分の作品づくり」の意識が強く、デザイン優先でコストや住み心地、メンテナンス性を無視した住宅を建ててしまう人もいます。
工務店、建築家に依頼する場合はとくに、過去の実績や特徴をよく見て、信頼して任せられるかどうかを見極める必要があります。
納得するまでとことん見学!
ハウスメーカー選びには、“足でかせぐ情報”も大事。住宅展示場でモデルハウスを見たり、営業マンから話を聞くことでわかることもたくさんあるのです。
何より、複数のハウスメーカー、工務店の比較によって、自然と養われていく鑑識眼が賢い買い物を支える強みに。
まずは、住宅展示場で各社のモデルハウスを見学し、設備や内装のグレードと金額を対応させながら情報をインプットしていきましょう。徐々に自分の好みの基準が見えてくるはずです。
たとえ「一生の買い物だから、とにかくよいものを!」と考えていたとしても、最高級ランクだけしか見なければ、案外自分の理想の近いかどうかはわからないものです。大きな決断をすることになるわけですから、判断材料は多いに越したことはありません。予算を決めながらも、少し価格帯が上のもの、リーズナブルなものと見てまわりましょう。
デザインや設計、設備のグレードなどに加えて、住宅の「ライフサイクルコスト」についてもぜひ確認しておいてください。設計から建築、入居後の光熱費、修繕・点検費用、最後の解体まで、建物の一生にかかる費用のことを、「ライフサイクルコスト」と言います。購入時にかかる費用は、ライフサイクルコスト全体からみればせいぜい25〜30%にすぎません。
ここをおざなりにしてしまうと、しょっちゅう修繕が必要となる、金食い虫のような家を建ててしまう危険も!
ライフサイクルコストが低い家は、省エネ性能が高い家、とも言い換えられます。住宅の省エネ性を重視するのは、いまや世界のトレンド。コストの面でも、エコロジーの観点からも、また資産価値を高めるという点でも、これからの住宅にはずせないポイントです。
後悔しないハウスメーカー選びには、ある程度の時間がかかるもの。1〜2社で満足せず、納得できるまでとことん見て、聞いて、材料集めをしてください。
現場監督が持つ「現場数」にも注目を
設計通りにきちんと施工されるか、というのも満足度を左右する大切なポイントです。その鍵を握るのが、現場監督。
現場監督が工事の進捗をしっかり管理できればいいのですが、建築業界は今、慢性的な人材不足です。
コスト効率を優先させ、現場監督が多くの現場を掛け持ちしているケースも少なくありません。
私は、現場監督が同時進行で見ることができるのは8現場くらいが目安だと思います。現場数が2桁を超えると、目が行き届かなくなって、手抜き、手抜かりの危険性も大きくなります。ドアが開きにくい、トイレの鍵が閉まらない、といったわかりやすい不具合から、断熱材の入れ忘れ、コンクリートの強度不足、など完成品からはわかりづらいミスまで、意外にも施工の不手際というのは珍しくないものなのです。
契約前に「御社の現場監督は、平均してどのくらいの現場を持っていますか?」と聞いてみることをおすすめします。
もちろんこれは一つの目安で、10棟以上持っていても、きちんと監督している人もいます。
また、それぞれの物件の距離にもよるでしょう。遠距離の物件をいくつも見ていれば、それだけ多忙になります。
とくに、施工品質の見極めが大切な「工務店」に依頼する場合は、事前に建築現場を見せてもらうといいでしょう。
資材が雑然と置かれている、ゴミが散らかっているような現場は、工事の品質もそれなり、と言ってまず間違いありません。現場の状態は、出来上がりを映す鏡です。建物の知識がなくてもひと目でわかるポイントですから、ぜひチェックしてみてください。
理想のマイホームをカタチにする建設業者。「ここを選べば間違いない!」という正解は存在しません。
建てたい家や予算によって、ベストパートナーは異なるものです。
大手ハウスメーカー、パワービルダー、工務店、建築士、それぞれの特徴や傾向をよく理解したうえで、納得して選ぶことが大切です。そして、どこに依頼するにしても、100%任せきりにしてはいけない、ということも覚えておきたいポイントです。徐々に浸透しつつあるホームインスペクター(住宅診断士)を依頼し、第三者の目で工事をチェックしてもらうのもよいでしょう。
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記事監修者 さくら事務所創業者会長
長嶋 修さん
不動産コンサルタント。1999年に業界初の個人向けの不動産コンサルティング、ホームインスペクション(住宅診断)を行う株式会社さくら事務所を創業。業界の第一人者として、テレビ出演、セミナー、講演等で不動産購入のノウハウを発信するほか、政策提言なども精力的に行う。『5年後に笑う不動産』(ビジネス社)、『100年マンション』(日本経済新聞出版社)など著書多数。
https://www.sakurajimusyo.com/
取材・文/浦上藍子
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