【Sさん宅(東京都)】
ご夫婦そろって大学の研究者というSさん。自宅で研究したり論文を書いたりすることも多いため、家づくりでまっ先に希望したのはスタディルームだったそう。
ユニークなのは、そのスタディルームを大人だけの空間にしてしまわず、子どもたちと共用していること。パパやママが勉強しているそばで、2人のお子さんは宿題をしたり、本を読んだり、ものづくりをしたりと自由に過ごしています。「ソファのあるリビングに行くのは、テレビを見るときだけ。ほとんどの時間をここかダイニングで過ごしています」。スタディルームが特別な空間ではなく、暮らしの中に自然にとけ込んでいることが伝わってきます。
そのスタディルームとリビングをつなぐ場所にあるのが、大きなアイランドカウンターを備えたダイニングキッチン。玄関ホールも2階への階段も、手洗いスペースもここにつながっているので、文字どおり“家の中心”としての役割を果たしています。
Sさん宅 のびのびPoint
- 親子のスタディルームをLDKに接続
- 家じゅうどこでも子ども部屋!
- 回遊しながら遊べる間取りを採用
1F スタディルーム
疲れたら横になってくつろげるよう、畳敷きに。ぐるりと造りつけたカウンターの下には、掘りごたつ風に足を下ろせるスペースが。光を遮らない本棚のつくり方にも注目。これが家族それぞれの定位置。
【写真左】こんなふうに集まって遊ぶこともしばしば。ものづくりが大好きなHくんは、この日はパラシュートづくりに夢中。
【写真右】パパの席からはテラスを眺められます。
1F DK
ダイニングとスタディルームの間は、普段はオープンに。テレビをつけたときなどは引き戸を閉めます。
DKの中央にキッチンカウンター&テーブルを配置。この右奥にリビング、左奥にスタディルーム、突き当たりに階段と手洗いスペースをつなげました。
1F LDK
キッチンと一体型のダイニングは、家族が集まりやすいプラン。玄関にも直結していて、帰宅したらすぐに顔を合わせられます。
1F キッチン
ママが料理を始めると、すぐにHくんがお手伝い。カウンターを囲めるオープンキッチンなので、みんなで料理に参加してもゆとりがあります。
シンク前は緑あふれるテラス。眺めを楽しみながら家事ができます。初夏にはここでベリー摘みができるそう。
キッチンの床は水はねが気にならないタイル貼り。食器から食品まですっきりおさまるよう、引き戸つきの壁面収納をつくりました。
1F リビング
テレビとピアノだけを置いたシンプルなリビング。1階は、食べる場所、遊んだり学んだりする場所とに分けました。
ダイニングとリビングをやんわりと分けて暮らしにもメリハリを
気配が伝わるよう、ダイニングとの間は壁ではなく、3 本の柱だけで間仕切り。
大人が働いている姿が常に目に入るのも、このキッチン中心プランの特徴。「私たちが料理をしていると、子どもたちは自然と寄ってきて手伝ってくれます。子どもにとってはキッチンも遊びの場、家事も遊びのひとつなのでしょうね」。パパとママからいい影響を受けながら、住まい全体を使って遊び、学ぶ……そんな理想的な子育ての形がここにはあります。
一方、個室のある2階には、子どもたちがのびのびと遊べる工夫が満載。子ども部屋には南側と北側にバルコニーをつなげ、自然と外空間に出ていけるようにしました。北側のバルコニーからは、なんと浴室に入れる仕組み。「夏になると、ここに出したビニールプールで遊んで、終わったらそのままお風呂へ。浴室にも気持ちいい光と風が入るので、このプランにして大正解でした」。お風呂から洗面室、子ども部屋へとぐるぐる回れる回遊動線も効果を発揮して、兄弟でのびのびと駆け回っているそうです。
1F デッキ
リビングのデッキの先には、奥さまのご両親が暮らす家が。通路を設けておじいちゃんおばあちゃんと気軽に行き来しています。
2F 子ども部屋
現在は12畳ほどの広々とした空間。個室が必要になったら2部屋に仕切れます。左奥に北側バルコニーに出られる掃き出し窓が。
2F バルコニー
いつも遊んでいるバルコニー。 走り回っても 寝ころんでも大丈夫!
2人とも夢中なラジコンのほか、天体望遠鏡を出して星を観察したり、プール遊びをしたりと大活躍。奥のドアから浴室に入れます。
2F 浴室&洗面室
【写真左】木目を生かした洗面室もラグジュアリーな雰囲気。タオルなどの収納は、オープン棚+「無印良品」のバスケットの組み合わせ。
【写真右】トップライトのある明るい浴室は、ご主人のリクエストで実現。ゆったりしたバスタブともあいまって、ホテルを思わせる快適空間に。
1F 手洗いスペース & トイレ
【写真左】階段下のスペースを生かしたトイレ。LDとの間に手洗いスペースをはさんで距離をとったため、落ち着いて使えます。
【写真右】2階の洗面室に行かなくても気軽に手を洗えるよう、1階にも小さな手洗いスペースを用意。シンク前の窓からはデッキを眺められます。
1F 玄関
【写真左】玄関ドアをあけると目に飛び込んでくる、シンボルツリーのカツラの木。テラスに面してフィクス窓をつけ、出入りするたびに四季折々の姿を楽しんでいます。
【写真右】玄関アプローチのまわりも緑がいっぱい。手すりは自然の木々にもなじむアイアンで製作しました。
外観
建ててから3年が経過したSさん宅は、木々が生長してますます表情豊かに。外壁と塀は素材と仕上げ方をそろえて、一体感を演出。
DATA. Sさん宅(東京都)
設計のPOINT
プランボックス一級建築士事務所
小山 和子さん
1955年広島県生まれ。女子美術大学芸術学部卒業。87年に小山一級建築士事務所、95年に湧井氏と共同で現事務所を設立。施主のこだわりを形にする家づくりを進めている。
湧井 辰夫さん
ダイニングキッチンを中心に置いて、そのまわりに玄関、テラス、スタディルーム、階段、サニタリー、リビングを集めた“サテライト型”のプランです。家族が長い時間を過ごすスタディルームを、いちばん条件のいい南側にレイアウト。リビングはテレビを見るだけの場所と考え、あえて北側に配置しました。1階、2階とも、テラスやデッキなどの外空間をたっぷりと確保。空や木々の緑が見えることで暮らしに豊かさが生まれ、お子さんたちの外遊びの機会もふえます。
【Profile】
1951年東京都生まれ。工学院大学専修学校建築科卒業。95年に小山氏と共同で現事務所を設立。「ものづくり」にこだわり、現場でのアドリブ感を大切に設計活動を続けている。
家族構成 |
夫婦+子ども2人 |
敷地面積 |
133.14㎡(40.27坪) |
建築面積 |
53.18㎡(16.09坪) |
延べ床面積 |
106.36㎡(32.17坪)1F 53.18㎡ + 2F 53.18㎡ |
構造・工法 |
木造2階建て(軸組み工法 |
工期 |
2009年9月〜2010年3月 |
設計 |
ランボックス一級建築士事務所(小山和子、湧井辰夫) TEL: 03-5452-1099 |
施工 |
河端建設㈱ TEL: 03-3926-1111 |
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