快適で健康的な住まいをつくるには、開口部のプランニングが重要。採光や通風、断熱性などを考慮した窓と、室内の雰囲気づくりに欠かせない窓まわりアイテムの選び方をご紹介します。
窓は用途に合わせサッシとガラスを選ぶ
窓とは、窓枠であるサッシとガラスで構成されているもののことをいいます。つまり窓選びとは、サッシとガラスの組み合わせを選ぶこと。
従来の窓は、アルミサッシと単板ガラスの組み合わせがほとんどでしたが、最近では省エネ生や気密性にすぐれた断熱サッシや複層ガラスが数多く登場し、一般的になっています。
サッシには、強度があって耐候性や防火性にすぐれたアルミ製をはじめ、寒冷地でよく用いられる断熱性にすぐれた樹脂製、質感や風合いが魅力の木製などがあります。
最近では異素材を組み合わせたタイプもふえ、外側部分に耐久性にすぐれたアルミを用い、室内側には木を使うなど、それぞれの特性を生かした商品も出ています。
アルミや樹脂製品の場合は、カラーバリエーションも豊富。モダンな家にはホワイトやグレー、シルバー、ナチュラルな家には木目調のタイプがおすすめです。光沢を抑えたマットな印象のものもあるので、外観デザインや床材、室内ドアなどとのコーディネートを考えながら選びましょう。
室内床との段差をなくしたフラットな下枠レールのサッシや、開閉操作がしやすいように工夫された取っ手など、安全でだれもが使いやすい工夫がされた商品も出ています。
防犯性を重視した、外から見えにくい場所に鍵を設置したサッシなどもありますので、必要な機能を上手にとり入れてみてください。
サッシに組み込まれるガラスには、一般的な平板ガラスの単板ガラス、防火・安全性の高い網入り板ガラス、2枚または3枚の板ガラスの間に乾燥した空気を封入することで断熱性を高めた複層ガラス、衝撃強度や曲げ強度を高めた強化ガラスなど、多くの種類があります。
家を建てる地域に適したものを、使う場所や目的を考慮して選ぶことが大切。もちろん、サッシとの組み合わせも重要なポイントになってきます。
フレームに熱を伝えにくい樹脂を採用した断熱窓。ガラスには3重ガラスと真空断熱の技術をプラスした、真空トリプルガラスもラインナップ。「APW330」/YKK AP
窓の種類と採光の特徴
窓に求められる機能として、通風と並んで重要なのが採光です。室内にとり入れることができる光の量は、窓をとり付ける高さ、横長か縦長かという形によっても変わります。
基本的に、天井近くに開口部があるほど、室内に光をたくさんとり入れることができます。大きな掃き出し窓も天井近くまでの高さにすると、さらに明るい光が部屋のおくまでさし込み、上部から入る光が天井に反射するなど光が部屋全体に回るので、広がりが生まれます。
横長窓
ワイドな眺望が楽しめる。窓側の壁面に横方向の広がりが出る。
縦長窓
外部からの視線が入りにくく、天井が高く見える効果がある。
小窓
外部からの視線を防ぎながら、採光と換気ができる。
ハイサイドライト
天井近くにつける窓。外からの視線が入りにくいので、プライバシーを守るのに役立つ。壁や天井に反射させて光をとり入れるため、やわらかく安定した光が得られる。
ローサイドライト
床面近くにつける窓。直射日光が入らないので、熱をさえぎりつつソフトな光と風がとり込める。道路沿いの部屋や玄関などに設置するのが一般的。目線の低い和室にもおすすめ。
トップライト
天井につける窓。サイドライトの約3倍の明るさが得られる。場所によって開閉式にしたり、ブラインドなどをつけても。北側の階段や玄関など、暗くなりがちな場所に最適。
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採光や通風、デザイン性も考慮して窓を配置
窓は、取り付ける高さや、横長か縦長かによっても、光の入り具合が違ってきます。道路沿いや隣家が迫っているなど敷地にゆとりがない場合は、外から視線が入らないハイサイドライトやローサイドライトなどをじょうずにとり入れましょう。
横からに十分な採光が望めない密集地などでは、天井にトップライトをつけるのがおすすめ。中庭を囲む間取りにして光や風をとり込むこともできます。
採光量は、窓が壁の上部にあるほど多くなります。同じ面積の窓なら縦長のほうが横長よりも部屋の奥の方まで光がさし込むことに。掃き出し窓なども天井近くまでの高さにすると、明るい日ざしがたっぷりとり込め、視覚的に広がりが生まれる効果もあります。
また調和のとれた外観やインテリアをつくるには、窓の配置も重要です。最近、防犯やデザイン上の効果で注目されているのが、細長いスリット窓や小さなスクエア窓。
こうした窓をいくつか一定間隔で並べると、壁面にリズミカルな表情が生まれます。必要に応じて風が通せる開閉式にするといいでしょう。
室内から空が眺められ、明るさと開放感が楽しめるトップライト。押し出し式開閉タイプは風の通り道をつくり、快適な室内を演出。操作は電動式と手動式があり、ガラスは3種類から選べる。「スカイビューシリーズ」/日本ベルックス(左)
窓を組み合わせて使用することを想定して、枠の幅を揃えたシリーズ。デザインやカラーも豊富で、外観を個性的に演出することが可能。細長いスリット窓や小さなスクエア窓、丸窓などのデザインがあり、換気に適した開閉式も。「シンプルアートⅡ」/ LIXIL(トステム)(右)
窓の位置と風通し
窓の種類もバリエーション豊富に
窓の主な機能は採光と通風ですが、窓から外に視線が抜けると、室内と屋外の一体感が感じされたり景色が楽しめたりと、視覚的な効果も大。
また、窓は外観やインテリアのアクセントにもなります。以前は腰窓も掃き出し窓も引き違いが主流でしたが、最近では上げ下げ窓や滑り出し窓など、開閉スタイルのバリエーションも豊富になってきました。
選ぶときに注意したいのは、開閉時のスペース。押し出して開けるタイプの窓の場合は、開閉のためのスペースが必要になります。どの場所に設置するのかをよく考えて、機能的な窓を選ぶようにしましょう。
引き違い窓・両引き窓・片引き窓
一般的な窓。左右どちらからも開けられる「引き違い」、中央から左右に開ける「両引き」、片方だけの「片引き」などがあり、掃き出し窓や腰窓などさまざまな形で用いられます。
下枠のレールに工夫を加えたことで、室内とバルコニーなどとのつながりをスムーズにしたタイプの商品もあります。
上げ下げ窓
窓枠に沿って2枚の窓を上下にスライドさせて開閉するタイプ。壁の厚み内でおさまるので、開閉時に場所をとらないのが利点です。
両開き窓・片開き窓
左右どちらかを軸に開閉する窓。欧米では最も一般的なタイプ。
内倒し窓・外倒し窓・突出し窓
窓の下を軸に、部屋の内側に倒すタイプが内倒し窓、外側に倒すタイプが外倒し窓、上部を軸に、外側に押して開くタイプを突き出し窓といます。
横滑り出し窓・縦滑り出し窓
窓枠の溝に沿って動くタイプの窓。左右の溝にそって動くタイプを「横滑り出し窓」、上下の溝に沿って動く場合は、「縦滑り出し窓」といいます。
開き角度を調節することでガラス部分がひさしのようになり、雨が吹き込まず、通風を確保することが可能。
水平回転窓
窓枠の中央を軸に水平方向に回転する窓。
ガラスルーバー窓
水平に重なった複数の細長いガラス板のルーバーを、ハンドル操作で開閉する窓のこと。キッチンや洗面室、納戸などの通風や換気が必要な場所に適しています。
オーニング窓
数枚のガラス板を、ハンドル操作で開閉するタイプの窓。角度が自由に調節でき、通風や換気に効果的です。
フィクス窓
開閉できないガラス窓のこと。はめ殺し窓ともいい、採光と眺望が主な目的です。
出窓
窓の開口部が外に突き出したタイプの窓。長方形や弓型、多角形などさまざまなデザインのものがあります。
片開き窓やフィクス窓などとの組み合わせも自由。室内側を広く使えるという利点もあり、リビングやダイニングに設置されます。
コーナー窓
部屋のコーナー部分に設ける窓のこと。空間に広がりが生まれます。
フランス窓
ガラス製の両開きの掃き出し窓のこと。リビングやダイニングからテラスやバルコニーに出入りする部分に設置されます。フレンチドアとも呼ばれる。
窓の外まわりのアイテム
防犯やプライバシーの確保、防火、断熱や遮音、自然災害への対策を考えると、窓の外まわりのアイテム選びも重要です。一般的には雨戸やシャッター、面格子などがありますが、最近は可動ルーバーや外づけスクリーンの設置もふえています。
人気なのは窓シャッター。掃き出し窓や腰窓用だけでなく、出窓や小窓にも取り付けが可能で、戸袋の必要がないためすっきりとした外観が保てます。窓をぴったりとおおうタイプのほかに、ルーバーに通気孔を設けた通風や採光ができるタイプ、ルーバーの開閉を調節して通風、採光ができるブラインドタイプなどがあり、カラーも豊富に。
雨戸に可動ルーバー式のものがふえ、色やデザインもさまざまなものから選べるようになってきています。
スラっとが中空構造になっていて、中に空気の層ができるため、断熱効果を発揮。スラっととスラっとの間に通気孔を通して、視線や日ざしをコントロールしながら換気・採光も可能。電動式。「アリーズ」(シャッターサッシュデュオPG)/LIXIL(トステム)
カーテンの選び方
カーテンの吊り元のスタイルで最もオーソドックスなのは、「プリーツカーテン」と呼ばれる、ひだをとったタイプ。なかでも一般的なのが2つ山ひだ。3つ山ひだはよりたくさんの生地を使うため、たっぷりとしたドレープが楽しめます。
ひだをとらない「フラットカーテン」は、カジュアルなインテリアに合うスタイル。厚みがないので、狭いスペースでも圧迫感がありません。カーテンスタイルを決めるときは、カーテン地の厚さや色柄にも配慮して選びましょう。
また、どんなカーテンレールを選ぶかによっても、窓辺の雰囲気は変わってきます。木目調や木製、アイアン製など、おしゃれな装飾レールがあるので、ぴったりのものを見つけてください。
最近のカーテン地はさまざまな機能をもっています。家庭で洗えるウォッシャブル機能や防汚機能、フッ素樹脂加工を施したはっ水機能をはじめ、日ざしによる日焼けを防ぐ耐光性、遮光性、UVカット機能、タバコやペットのにおいを消す消臭機能をもったものなど。
レースの裏側を特殊な織りによって鏡面のようにし、光を反射させることで外からの視線をさえぎるミラーレースカーテンもあります。
生地のサンプル帳などにこれらの機能がマークで表示されているので参考にしてください。
縦ストライプのフラットカーテンに、軽やかなワイヤー式のカーテンレールがベストマッチ。レール「コルーナⅡ」W3.1m セット価格 ¥2万7330/トーソー
ブラインドの選び方
横型ブラインドは、多数の水平なスラットの傾斜角度を自由に調節できる構造です。直射日光をさえぎりながら明るさをとり入れたり、外からの視線を防ぎながら風を通すことが可能。
夏は強い日ざしをカットし、冬は室内のあたたかさが外に流出するのを抑えるため、冷暖房効率もアップ。素材はアルミタイプが主流ですが、最近は木製タイプも人気です。
縦型ブラインドは、多数の細長いスラットをレールに吊り下げた構造で、スラットを回転させることで日ざしや外からの視線を自由にコントロールすることが可能。
縦型窓や、幅も高さもある大きな掃き出し窓に向いています。スラットの素材は布が中心です。
天然木のやさしさが楽しめる木製ブラインド。インテリアに合わせて選べる14色があり、写真は北欧調のアンティークホワイト。「ベネウッド」50T ドラムタイプ W180×H178cm ¥8万4240/トーソー
ローマンシェード、スクリーンの選び方
ローマンシェードとは
カーテン地で仕立て、コードの操作でたたみ上げていく構造のシェードを「ローマンシェード」といいます。多彩な生地の柄が楽しめて、窓辺にやわらかな雰囲気をもたらします。バリエーションも豊富なので、インテリアスタイルに合わせて選びましょう。
窓側と室内側の2枚のカーテン生地を1台のメカに取り付けたシェード。周囲にバイアステープでアクセントを付けたデザイン。「ツインシェード」/サンゲツ
ローマンシェードのバリエーション
スクリーンの種類と選び方
一方、「スクリーン」は、フラットな一枚布の「ロールスクリーン」や、スクリーンをプリーツ状に加工した「プリーツスクリーン」が代表的。上下に開閉し、上げるとすっきり収納できるのが特徴です。
ロールスクリーンは自由な高さで止められ、巻き上げたときにコンパクトなパイプ状におさまるのが最大の魅力。レース調や竹や和紙を使ったタイプなど生地も豊富にそろうので、さまざまなインテリアに使えます。
はっ水加工を施したものやウォッシャブルタイプ、遮光性のあるものなど機能つきの生地も充実。開口部の広い窓には、左右に開閉するパネルスクリーンもおすすめです。
5シリーズ、91色から選べるロールスクリーン「コルトシリーズ」。写真は遮熱セイにすぐれたシリーズ。「コルトエコ」W200×H200cm ¥3万7260/トーソー
窓の種類に合わせて最適なスタイルを選んで
窓まわりのアイテムには、カーテンや縦型ブラインド、パネルスクリーンのように左右に開閉するものと、横型ブラインドやローマンシェードのように上下に開閉するものがあります。
バルコニーに面した掃き出し窓には、出入りしやすいよう左右に開閉するものを選んだほうが便利です。腰窓や小窓にカーテンをつけるなら、両開きより片開きのほうがバランスよくおさまります。
窓のスタイルや開閉方式を考えつつ、最適なスタイルを見つけましょう。
最近人気なのが、1台のローマンシェードで日よけと遮蔽の機能をあわせもつ、レースと厚手の生地を重ねたダブルシェード。カーテンを2重にするよりもコストが比較的抑えられ、取り付けも一度にできます。
また、吹き抜けや背の高い窓が多くなったこともあり、縦型(バーチカル)ブラインドの種類もふえています。高さのある開口部には120mm以上の幅広タイプを選ぶといいでしょう。
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