特に暑い時期に飲みたくなるアイスコーヒー。ホットコーヒーは飲まないけれど、アイスコーヒーやアイスカフェオレは好きで飲む、という人も少なくないようです。
今回は、手軽に美味しいアイスコーヒーが楽しめる♪と人気の「水出しアイスコーヒー」についてご紹介します。一般的なアイスコーヒーとの違いや、フードコーディネーター・ダンノマリコさんに聞いた作り方のコツ、意外に知らないアイスコーヒーにまつわるQ&Aもまとめました。
水出しアイスコーヒーとは?
水出しアイスコーヒーとは文字通り、熱湯ではなく水で抽出するコーヒーのこと。アメリカのコーヒー専門店で生まれ、「コールドブリューコーヒー」とも呼ばれています。
ドリップしたり蒸らしたりする手間がいらず、カフェや喫茶店のような美味しさを家庭で手軽に再現できるのが人気の理由です。
そしてもちろん、味においても一般的なアイスコーヒーとは異なるポイントがあります。
マイルドな味わいが最大の特長!
一般的なアイスコーヒーは、90℃前後のお湯で抽出したコーヒーを大量の氷で急冷して作ります。高温で淹れることで、コーヒーの香りや色といっしょに苦味や渋み成分も溶け出しています。
一方、水で抽出する水出しアイスコーヒーの場合、水に溶けづらい苦味や渋み成分は抽出されにくいため、結果として雑味が抑えられたまろやかな味になります。一般的なアイスコーヒーにはない「甘み」やコーヒーそのものの「フルーティーさ」を感じることができるのも、水出しアイスコーヒーならではです。
コーヒーならではの成分は控えめ
一方で、コーヒーがもたらすカフェインやポリフェノールのダイエット効果を期待する場合は、水出しアイスコーヒーでは少し物足りないでしょう。これらの効果が促進されるのは、80℃前後で淹れた場合がベストとされているためです。
それでも、暑い季節にアイスコーヒーを飲まないなんてアリエナイ!という人は多いはず。プロが教える美味しい水出しアイスコーヒーの作り方を見ていきましょう。
プロ直伝!水出しアイスコーヒーの基本の作り方
特別なコツはなくても淹れられる水出しアイスコーヒーですが、ちょっとの違いが美味しさの違いにつながることも。
そこで、フードスタイリストのダンノマリコさんに、水出しアイスコーヒー作りの基本的なポイントを教わりました。
材料と道具はとってもシンプル
特別な器具や技術がいらないのも、水出しアイスコーヒーのポイント。下記のものが揃えば、家庭ですぐに作れます。
【材料】
・コーヒー 65g
・水(常温) 800ml
【道具】
・計量カップ/計量スプーン
・ポット(ピッチャー)
・お茶パック(だしパック) 2枚
【プロのアドバイス】
アイスコーヒーは深煎りのコーヒー豆で作るのがおすすめ。豆選びに迷ったら「フレンチロースト」や「イタリアンロースト」と名のついているコーヒー、挽き目は中細挽きが抽出しやすいです。
STEP1. パックにコーヒーを入れる
2枚のパックに、コーヒーを均等に入れます。
【プロのアドバイス】
パックにコーヒーを詰めすぎると、水が粉の中央まで入っていかず十分に抽出できません。無理に1袋に入れようとせず、袋を2つ以上に分けて使いましょう。
STEP2. ポットにコーヒーを入れたパックを入れて水を注ぐ
コーヒーを入れたパックをポットやピッチャーの底に入れ、水を静かに注ぎます。
「水出し」とはいえ、水の温度が低すぎるとコーヒーの香りや旨味が抽出されにくく、薄いアイスコーヒーになってしまいます。常温水を使うのがポイントです。
【プロのアドバイス】
パックにかかるように、少しずつ水を入れます。水を入れた後でパックを入れると浮いてしまい、しっかり浸水しないので注意してください。
STEP3. 冷蔵庫で約8時間冷やす
ポットのふたをして、8時間を目安に冷蔵庫で冷やします。
【プロのアドバイス】
冷蔵庫の臭い移りを防ぐために、できれば密閉できるフタ付き容器を使いましょう。
STEP4. コーヒーを取り出したら完成!
約8時間後、コーヒーパックを引き上げれば完成。
夜、寝る前に仕込んでおけば、翌朝には美味しい水出しコーヒーが出来上がっています。
1回作れば何杯か楽しめるので、朝食時にもティータイムにもアイスコーヒーが楽しめますね♪
抽出時間は好みで調整しても◎
その日の気分やコーヒー豆との相性で抽出時間を変えられるのも、水出しアイスコーヒーのメリットのひとつ。例えば、今回は以下の4つのバリエーションで試してみました。
(写真左から)
・ブレンドの中挽きフレンチロースト 8時間
・ブレンドの細挽きフレンチロースト 15時間
・メキシコの中挽きフレンチロースト 15時間
・メキシコの細挽きフレンチロースト 15時間
見た目ではあまり差がありませんが、コーヒー好きのライター陣は「メキシコの中挽きフレンチロースト15時間」が、コーヒーがちょっぴり苦手な編集者は「ブレンドの中挽きフレンチロースト8時間」が好き、と好みが分かれました。
ちなみに「今回使った『メキシコ』は、水出しにすると甘みを感じやすいのですが、苦味はあまり出ないのでコーヒー好きには物足りないかも」とダンノさん。
より好みの水出しアイスコーヒーに出会いたいなら、豆の種類や挽き方、豆の量の多い・少ない、抽出時間の長い・短い、などいくつかの組み合わせを試してみてください。
自分好みの黄金比率が見つかると、水出しアイスコーヒーを作るのも飲むのも一層楽しくなりそうです♪
ちなみに、少量作りたいときは
ちなみに、少量を作りたいならフレンチプレスで作るのもおすすめです。同様の分量(割合)、抽出時間を目安にお試しを。グラスに注ぐ際は、フィルターで濾すひと手間をお忘れなく。
知ればもっと楽しめる!水出しアイスコーヒーQ&A
せっかく水出しアイスコーヒーを作るなら、美味しく飲みきりたいですよね。また、作り方に慣れたら新しい味に挑戦したくなるかもしれません。Q&Aをヒントに、水出しアイスコーヒーの世界にとことんハマってください♪
Q.作った水出しアイスコーヒーの保存期間は?
A.3日以内に飲み切ってください
ドリップコーヒーほど風味が飛んでしまうことはありませんが、作った後にはやはり酸化が進み味が変化します。抽出から3日を目安に飲み切りましょう。
ただしこれは、清潔な容器に入れて冷蔵庫で保管した場合の賞味期限。常温での保存は、水自体が腐ってしまうこともあるため、くれぐれもご注意ください。
Q.水道水でも美味しく作れる?
A.水道水がNGということはありません
ただし、カルキ臭を取り除いた状態であること、鉄分の多い水ではないこと、朝一番に汲んだ水ではないことなどに気をつけましょう。いずれも、コーヒーの味わいを阻害してしまいます。
ミネラルウォーターを使う場合は、軟水を選ぶのがおすすめです。マグネシウムを多く含む硬水はコーヒーの味に影響してしまうためです。
Q.水出しアイスコーヒーに合う豆の銘柄や挽き方は?
A.豆の種類はお好みで。挽き方は中細挽きが定番です
豆の種類(産地)によってそれぞれ特徴があるので、いろいろ試して好みの味を見つけるのも楽しみのひとつ。代表的なものをご紹介しますので、参考にしてくださいね。
・ブラジル:香りの甘さが軽快。酸味・コク、苦みのバランスが良い
・コロンビア:酸味と甘味が重厚。全体的にバランスが良い
・マンデリン(インドネシア):苦みが強くコクが口に広がる。酸味はなく独特な後味がある
・グアテマラ:豊かなコクとフレッシュな酸味。キレのいい後味が特徴
・キリマンジャロ(タンザニア):強い酸味とコクが特徴
・モカ(イエメン、エチオピア産):フルーツのような爽やかな酸味。甘みとコクがある
焙煎は「深煎り」がおすすめ。冷やしてもコーヒー本来の味を味わうことができます。
ちなみに焙煎時間が短い(浅煎り)ほど酸味を感じやすい傾向があります。
また挽き方は「中細挽き」がおすすめ。粗挽きは抽出しづらく、濃度の薄いアイスコーヒーになってしまうためあまり適おすすめしません。
Q.水出しアイスコーヒーのアレンジレシピを教えて!
A.イチ押しは、やはりアイスカフェオレ!
そのままでも充分おいしい水出しアイスコーヒーですが、いろいろな味わいで楽しみたいなら、まずはアイスカフェオレはいかがでしょう。美味しくおしゃれに淹れるコツは、こちらでチェックを♪
また、水出しならぬ「ミルク出し」アイスコーヒーもじわじわ人気です。水の代わりに牛乳にコーヒーを浸け込んで作る、“大人のコーヒー牛乳”的な味が楽しめます。専用のコーヒーポットとパックがセットになった商品もありますよ。
Q.カフェインレスコーヒーで水出しアイスコーヒーは作れる?
A.もちろん、カフェインレスでも楽しめます!
カフェインを控えたいけれど、アイスコーヒーは飲みたい!という人には、カフェインレスコーヒーという選択があります。さまざまなメーカーからカフェインレスの水出しアイスコーヒーがラインアップされているので、飲み比べてみるのも楽しそうですね。
Q.水出しアイスコーヒーをレンジで温めれば、ホットコーヒーとして飲める?
A.あまりおすすめはしません…
夏場でも冷房で冷えすぎた時など、アイスコーヒーではなくホットコーヒーが飲みたくなることも。
しかし、水出しアイスコーヒーにはコーヒー独特の苦味や渋みが充分に抽出されていないため、温めてもホットコーヒーと同じような味わいは楽しめないでしょう。
一方で、マイルドであっさりしたコーヒーが好みの人にはマッチするかもしれません。
Q.インスタントコーヒーでもアイスコーヒーを作れる?
A.今すぐ手軽に飲みたいなら、インスタントもアリ
水出しアイスコーヒーではありませんが、すぐに冷たいアイスコーヒーが飲みたいという時には、インスタントコーヒーを活用しましょう。
スプーン山盛り1杯のインスタントコーヒーを90mLのお湯で溶かし、氷を加えてキンッと冷やせば、即席アイスコーヒーが作れます。
水出しアイスコーヒーで、夏のコーヒー生活を満喫しましょう!
今すぐにでも、美味しい水出しアイスコーヒーを作りたくなったのではないでしょうか。
道具や材料が揃っていない場合や思い切り手軽に始めたい場合は、専用フィルターやサーバーがセットになった商品や、パック不要のストレーナー付きポットを使ってみるのもおすすめです。
また、アイスコーヒーの場合はホットコーヒーほど酸化が気にならないので、外出時には水筒に入れて持ち出すのもアリ。
冷たいものの摂りすぎに注意しながら、美味しい水出しアイスコーヒーを手軽に楽しみましょう!
監修・調理/ダンノマリコ 撮影/中村彰男 取材・文/宮後佳世
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