わたしはある名店のコーヒーに魅了されて以来、ずっと自分でも再現したいと試みてきました。
なのにミルに関しては、ずっと数千円台のものを使っていたのです。
「とりあえず挽ければいいだろう」程度に思っていたんですね。
でも、どんなに高級な豆を使い、抽出方法を工夫しても、目標とする名店の味には遠く及ばず。
「おいしくないのは自分が未熟だからだろう」と思考停止したまま、学生時代から最近まで、気がつくと29年も経過していました。
ここまで時間を無駄にして、さすがに別のところに問題があると思い至り、ようやくミルについても検証することにしたのです。
最初に試したのが、粉砕方法別の比較でした。
いったい、どんなコーヒーミルがよいのだろう。
ひととおり自腹で取りそろえ、挽きくらべてみました。
その結果が、この記事でお伝えしたい内容です。
何台もミルを買って試すのは、財布的には少々痛いものでした。
しかし、結果は予想をはるかに超えていました。
テストによって、「確実に美味しく挽けるコーヒーミルの法則」も見えてきたのです。
今回のテストで得たおいしいコーヒーミルのポイントだけ、先に書いてしまいますね。
コーヒーの味は「挽き粉の挽きムラ」、つまり、大きなカケラからパウダー状の微粉まで、サイズのばらつきに大きく影響されます。
挽き粉の粒度(メッシュ)が揃っていないと…
●粗い欠片(かけら)
湯が内部に浸透するまで時間がかかる
=コクや香りが抽出しきれない
●微粉
瞬時に湯が浸透する
=浸出に長時間かかるはずの雑味成分まで過剰に出てしまう
挽きムラが大きいミルを使うかぎり、どんな高級な豆を使っても
・香りや旨味がじゅうぶん抽出できない
・渋くてえぐみのある《雑味》はたくさん溶け出す
薄くてまずいコーヒーとなり、コーヒー豆を台無しにしてしまうのです。
つまり、
【粒度のばらつきが少なく 均等にコーヒー豆が挽けること】。
これこそが、コーヒーミルの最重要ポイントです。
粉のサイズが均等であれば、理論上は
コーヒーがもつ味わいと薫りのポテンシャルを余すところなく引き出しつつ、雑味は出さない
というコーヒー抽出が可能となります。
もちろん、豆の品種、生育状況、鮮度、焙煎や抽出技術など、おいしいコーヒーの条件は無数にあります。
しかしそれらの条件は、専門家でも容易に達成できません。
ところがコーヒーミルだけは、われわれ一般人でも適切な品を選べます。
プロ同様の均質なコーヒー粉を簡単に得られるのです。
つまりミル選びは、もっとも手堅い「かぐわしい極上のコーヒーへの手段」といえるわけですね。
さて、ここからしばらくは、商品テストを通じた種類別ミルの解説です。
--
コーヒーミルは、豆の粉砕方法により3種に分類できます。
【コニカルグラインダー】
【ブレードカッター】
【フラットカッター】
ううむ、横文字だとややこしいですよね。
単純にいうと、こうなります。
①円錐形の臼
②プロペラ状の刃
③円盤刃
これらは挽き刃の形で分けられたものです。
とはいえこれでもわかりにくいですよね。
一部のタイプについては、概念図もつけてご説明します。
コニカルグラインダーは、円錐状の臼歯で挽きつぶす方式です。
「コーン型」などとも呼ばれますが、CONEは円錐の名詞形、CONICALは形容詞形なので、同じことです。
手でハンドルを回す手動タイプと、モーターで駆動する電動タイプがあります。
コニカルグラインダーで比較テストに使用したのは、画像の商品です。
手動ミルと言えばハンドルを手で回し、溝が彫られた臼でゴリゴリとすりつぶす方式ですよね。
実は手動ミルのほとんどはこのコニカルタイプの臼歯であり、実質的に手動ミル=コニカルグラインダーだとお考えください。
工芸品のような高級品は天井知らずですが、手動で安いもので千円台から、電動だと数千円から手に入ります。
[画像はかなり安い部類の カリタ 手動コーヒーミル KH-3]
次に電動のコニカルグラインダー。手動のミルと基本原理は同じです。
違うのは、高速回転するモーターで豆を挽けるところ。
鉄製にくらべ精度の高いファインセラミックス製の挽き臼が使われることが多く、その臼で豆をすり潰します。
写真のもので価格は8,000円前後です。
[カリタ セラミックコーヒーミル C-90]
次はブレードカッター式です。
飛行機のプロペラのようなブレードが底面についていて、フードプロセッサーやミキサー同様にコーヒー豆を粉砕します。
概念図は作っていませんが、要は
・中にプロペラブレードがついている
・上から入れて上から取り出す
というのがこの方式。
この商品の場合、粉の挽き具合は赤いボタンを押し、回転する時間で調整します。
[画像はカリタ イージーカットミル EG-45]
最後はフラットカッター式です。
「フラット」という言葉のとおり、平たい円盤型の歯が向き合って回転。
隙間を流れ落ちてくる豆を両側から切削します。
この方式が言葉で説明するには一番わかりにくいため、概念図もあわせてご覧ください。
実際には円盤の片方は固定されていて、溝も製品ごとに異なる形状をしています。
写真右側が、今回のテストに使用したフラットカッターです。
フラットカッター方式は安いものでも1万円台からと、お試しで買うには躊躇しそう。
サイズもほかより大柄で、画像の商品だと高さ34cmです。
※追記:画像の銀色のミルは2017年以降「ナイスカットG」にマイナーチェンジしています。
詳細は記事後半で。
[カリタ ナイスカットG]
https://amzn.to/2xTpjOn
以上、実機も含めてご紹介してきました。
1つ目の臼型[コニカルグラインダー]だけは電動以外に手動タイプがあります。
他にプロペラブレードのついた[ブレードカッター]、
そして最後の[フラットカッター]。
都合4種類存在することに。
つまり、
●電動か手動か?
●円錐形か、プロペラか、平たい円盤形か?
方式の違いはこれだけです。
シンプルですよね。
たいへんお待たせしました。それでは実際に豆を挽いてみましょう。
テストにあたり方式の差だけを際立たせるため、同一メーカー製品で統一しています。
必ずしもそのメーカーびいきでないことは、読むとおわかりいただけるはず。
同じ焙煎度の豆を10gずつ用意し、挽き上がりの時間も比較しています。
豆の挽き具合は、一般的な抽出方法で使われるペーパーフィルター向きの「中細挽き」で統一しています。
手回し式のハンドミルで挽いたコーヒー粉です。
ご覧の通り大きなかけらが残っており、4タイプ中、もっともばらつきが生じました。
なかなか狙い通りの粒度にならず、何度もやり直し、微調整を繰り返しています。
挽き上がりまでの時間は、およそ1分ほど。
ずっと回していると、腕が疲れます…
次は、ブレードカッター式。
スイッチを押している間だけ通電し、プロペラ型の刃が高速回転します。
挽き具合の調整は、このボタンのON|OFFだけで行います。
中細挽きの所要時間は、およそ1分から1分30秒。
画像はブレードカッターで挽いた豆。
この方式は、プロペラ刃が当たるところだけが挽かれます。
なので小まめにスイッチを切っては容器を振り、中身を混ぜる動作が必要。
粒同士が激しくぶつかり合う結果、全体に角が削られ丸くなったように見えます。
一見、それなりに均一に挽かれているようですが、実際は……?
ブレードカッター式はご覧のとおり、パウダー状の微粉が大量発生します。
この方式は挽かれたコーヒー豆は排出されることなく、延々と粉砕されるのが特徴。
かけらにばかり注意を向けていると、すでに挽かれた粉の方はどんどん微粉になっていきます。
気がつけば粒度が揃わないばかりか、苦くて渋い雑味が出やすい微粉ばかりが増えることに。
そしてこのタイプは、
・スイッチを押している時間
・シェイクして内部を均等に混ぜ直す頻度
・手首のスナップ具合
などの条件で変わるため、「前回と同じ粒度に」といった再現はほぼ不可能です。
次に電動臼式の挽き具合です。
このタイプは「ホッパー(豆受け)」から挽き臼に豆が引き込まれ、すりつぶされたら底の粉受けに排出されます。
この電動臼式で挽くと、コーヒー豆の薄い表皮が浮いているのが目立ちました。
豆を覆うこの薄皮は「チャフ」「シルバースキン」などと呼ばれ、雑味の元凶とされることも。
この機種では大きな破片となって残るため、薄皮による雑味は抽出され過ぎないようです。
とはいえ、微粉は大量に発生しました。
その大半は静電気によって排出口に付着するものの、やはり粉受カップにも出てきます。
そして排出口のほうは、こまめな微粉の手入れが必要になります。
中挽きの所要時間は40秒ほどでした。
テストした商品固有なのかもしれませんが…
この臼式(画像左側)は、ホッパー底面の傾斜がほとんどありません。
そのためコーヒー豆がスムーズに流れ落ちず、本体を揺すったり、スイッチを何度もON|OFFしなければ最後まで挽ききれません。
そしてこのタイプは、豆を投入するホッパーの締め込み具合で粒度を変えるという仕組みです。
締め込めば隙間が狭まり、結果としてコーヒー豆は細挽きに、という案配です。
ということは、ホッパーをバラして分解掃除するたびに、隙間調整が必要になるわけです。
そしてその調整がまた、微妙過ぎてむずかしい!
掃除のたびに粉の粒度が変わるというのは、毎回コーヒーの出来が変わることを意味します。
分解掃除のたびに苦くなったり薄くなるため、締め込み具合を変えてはコーヒー淹れ直す作業が発生することも。
衛生面に敏感で、毎回臼歯までお手入れする方だと、永久に満足できる淹れられないかもしれません(笑)
電動挽臼式のデメリットをまとめると、
【こまめな手入れが必要なわりに、挽き具合の微調整が困難】
といえそうです。
次はフラットカッター式です。
カフェや喫茶店の多くでは、何十万円もする臼式の業務タイプか、このフラットカッターがよく使われます。
こちらの特徴のひとつは、手間いらずなこと。
希望する挽き目に合わせてダイアルを設定し、スイッチを入れたら挽き上がりまで放置でOK。
これまでみてきた3種類のミルは、すべて挽き具合の調整がきわめてシビアでした。
しかしこの製品は掃除の際も取付部のネジをコインドライバーではずし、終わったら組み付けるだけ。
挽き具合の微調整は不要です。
ただ排出口のまわりに、静電気によってチャフや挽き粉が付着しやすくなります。
実際は電動の挽き臼式ほどではないのですが、排出口と粉受けとの距離があるため、テーブルに粉が散らばることも。
そして、こちらがフラットカッターの挽き豆画像です。
カット式といわれるだけあり、角の立った挽き上がり。
粒の均等度は他とくらべ、きわだっています。他よりも格段に微粉が少ないことも特徴。
そして10gの中挽き所要時間は、10秒でした。
刃の回転は低速でも、豆を一気に大量に引き込み切削します。
そのため、他のタイプよりも挽きあがりが早いのです。
挽き時間が短いため、挽き立ての香りもほかより保たれます。
それぞれ条件を統一して飲み比べた結果、法則はみごと当てはまりました。
つまり
「微粉が発生しにくく均等に挽けるフラットカッターが、雑味を抑え味や香りを最大に引き出せる」。
そして、各種試して味以外の点で痛感したのが、どんな記事でも目にしたことがないこのポイント:
【お手入れの前後で粒度(粉の大きさ)が変わらない】
ということです。
原理的に、ブレード式(プロペラ式)は同じ粒度の再現は不可能なので論外でした。
臼式も、分解掃除のたびに挽き臼の隙間調整で粒度が変わる…つまり、掃除をするたびにストレスが溜まります。
ともに思い通りの粒度にはならず、納得のいかないコーヒーのできあがり。
一方、粒度が変わらないフラットカッター式は「コーヒー豆も調整時間も無駄にしない」という点だけでも、圧倒的に優秀です。
再度整理すると、
1. 微粉が少ない
2. 粒度が均等
3. 短時間で挽ける
4. 常に目標の粒度が再現可能
これらがコーヒーミル選びのポイントであり、フラットカッター型がベストということになります。
恥ずかしながらこのことに気づくまで30年近く、コーヒーミルに費用を掛ける意義が見出せませんでした。
でも実験の結果、これまで他の方式のミルで時間を無駄にしてしまったことを、激しく悔やんでいます。
方式別でおすすめ順に並べると、以下のようになります:
4位. ブレードカッター式
↓
↓
3位. 手動臼式
※挽き臼がセラミック製なら電動臼式とほぼ同等
↓
2位. 電動臼式
↓
↓
↓
1位. フラットカッター式
※矢印の多さは主観的な味わいの違いを示しています(笑)
…それぞれの差は、誰が飲み比べても変わらないでしょう。
コーヒー豆の粒度がばらつきによって、それほど明確な差が出るのです。
そして、もし最下位となったブレード式を選ぶなら、(語弊はありますが)安物であっても手回し式のほうがまだましです。
こうして、適切なコーヒーミルの選び方がご理解いただけたと思います。
これらの条件を満たすミルを選べば、失敗することはありません。
逆にいうと、プロペラ状のブレードカッター式だけは1つも条件を満たさず、おすすめできません。
テストしたのは手で保持するタイプでしたが、机上に置いたままの「据え置きブレードカッター」も同様です。
といいますか、手持ち型のほうがマシなほどです。
手持ちならボディを振って混ぜれば、多少でも挽きムラを減らせるからです。
でも据え置き型は固定して使うため、同じ部分を延々と挽き続けることに。
結果、
・刃が当たる部分は挽かれすぎ
・刃が届かない部分は挽き残し
コーヒー豆が多めだと、豆が原型で残りつつ、大量の微粉も発生します。
すべて微粉になるまで挽ききって、エスプレッソに使うくらいしか用途がないかも?
でもそれも時間がかかりすぎてアロマは揮発するでしょうし、それより前にモーターが定格駆動時間に達してしまいそうです。
というわけで、据置型のブレード式が最もダメダメです。
なのにぜか、このタイプは常に人気ランキング上位です。
機構がチープで安価に製造できるうえ、外観もお洒落にデザインできるからでしょうけど……
せめてこの記事をお読みの方だけでも、避けていただければと思います。
話を戻しましょう。
やはり電動の、フラットカッター(カット式)がいちばんです。
カット式は高価ですし、購入にはそれなりの思い切りが必要でしょう。
とはいえ、投資に見合う満足は必ず得られます。
「いままでのコーヒーにはもう戻れない」
というほど、格段の差があります。
当初は私もテスト用に購入しましたが、結局ここ数年でもっとも満足できた買い物になっています。
…というわけで、ここからはフラットカッター式の具体的なおすすめ品をご紹介します…!
粉砕方法のベストはフラットカッター式となりましたが、そのなかでのいち推しは、実験でも使用したカリタの「ナイスカットミル」です。
このあとご紹介しますが、同種の他機とくらべ、品質と価格のバランスがもっとも高いためです。
ちなみに、’17年以降は【ナイスカットG】という画像の商品にマイナーチェンジしています。
●ナイスカットG
▶アイボリー https://amzn.to/2xTpjOn
▶クラシックアイアン https://amzn.to/2HUsXsS
先代ナイスカットと現ナイスカットGでは、以下のような変更があります。
・モーターの回転を少し遅くし、摩擦による発熱を抑制
・ボディ色の変更
・一部プラ製だった粉受けをステンレス製に統一。静電気発生を若干低減
・粉受けの背が高くなり、粉の飛散を抑制
・ホッパー蓋のつまみが大型化
・挽き目ダイアルが、中挽きを意味する「カリタ」という表示のみに
(従来通り粗挽きや細挽きも可能)
・掃除用ブラシ付属
どれもわずかな変更であり、ボディや駆動部は先代のままです。
先代は1980年代から製造されていたため、通算すると40年もの実績があることに。
替え刃を交換しながら25年以上愛用しているかたもいます。まさに「一生もの」といえるでしょう。

さて、ここからは「ナイスカットG」以外のフラットカッター方式のミルを4つ、おすすめ理由とともにご紹介します。
そして記事の最後では、手動ミルについてもご案内しています。
●4位:富士珈機「みるっこ R-220」
イエロー
https://amzn.to/2FNUlJu
レッド
http://amzn.to/2e95pWC
「みるっこ R-220」は、コーヒー器具メーカー、フジローヤル(富士珈機)のロングセラー。
カリタのカット型とはかなり異なる刃型をしていますが、フラットカッターに分類しています。
みるっこは昔からナイスカットと双璧をなす、定番中の定番品。
性能は勝るとも劣りません。
また、カリタ製のミルはドリップ法が中細挽きのカリタ式に最適化され、粗挽きや細挽き、とくに粗挽きがやや苦手ですが…
富士珈機のつくる「みるっこ」は、特定のドリップ法にはくみしません。
また、別途エスプレッソ用の極細挽きに特化した「カット臼」タイプという機種も販売されていて、用途別に選択可能。
みるっこをナイスカットGと比較した際、大きな難点は価格差です。
以前は同程度の実売価格でした。
ところが頻繁に価格改定を繰り返した結果、現在の実売価格は5万円に近づいています。
以前同様の価格差ならば「みるっこ」をすすめるのに、残念です。

●3位:カリタ 業務用「ハイカットミル」
https://amzn.to/2FNm9Og
ハイカットミルはナイスカットGの上位機種で、業務用のカテゴリーです。
業務用として、さらに均質&大量に、短時間で挽けるのがポイント。
実のところ、業務用には富士珈機のR-440ほか、すぐれた機種がほかにも多数あります。
なぜここでハイカットミルをおすすめするかというと、実売価格の相対的な安さからです。
今のところ値引き幅が大きく、プロ用なのに他のハイアマチュア機種との価格差がほとんどないのです。
割安な業務用としては、こちらが断トツです。
ただし、自宅で使うには若干のハードルも。
こちらのミルは、全高 52cm、重さ 11kg。
シルエットは同じでも、他よりひと回り以上大柄なのです。
大柄なことにも理由があります。
1つはもちろん、大量処理が必要な業務用だから。
もう1つは大型モーターの回転トルクを活かし、低速でも力強く挽くためです。
高速回転で発生する摩擦熱は、コーヒー粉の酸化を促す影響があるとされます。
正直なところ、焙煎の加熱がよくて摩擦熱がなぜだめなのか理解できていませんが(笑)
上位ミルほどモーターが大型化・低速化するのは、必然なようです。
ともあれ設置場所に余裕があれば、これは価値の高い品です。

●2位:カリタ「NEXT G(ネクストG)」
https://amzn.to/2FNlexi
ネクストGの名は、次世代=NEXT Generationが由来。
次世代らしく?シュッとしていますよね。笑
余談ですが、ネクストGが発売された際、ナイスカットが一時廃番になっていました。
どうやら完全に世代交代する計画だった様子。
でも廃番後もナイスカットの人気が根強く、急遽「ナイスカット"G"」として復活させた…
ナイスカットGとネクストGが紛らわしい理由には、そんな背景があるようです。
さて、ネクストGには以下の特徴があります。
・鋼鉄の刃がセラミックに
・静電気除去機能により粉末の飛散を抑制
・スイッチが本体背面から正面に移動し、操作しやすく
・モーター速度を半分に落とし、発熱と騒音を低減
モーターの低速化で挽き時間が伸びた以外は、正常進化といえます。
ロングセラーの系譜「ナイスカットG」か?
新機軸搭載の次世代「ネクストG」か?
以前は倍近い価格差だったのが、'19年になって前者の実売価格が上がり、後者が下がったことで、ほぼ同価格帯に。
実に悩ましい選択となりました。
浅煎りが好みで、静電気による粉末飛散が気になるならネクストG。
そうでないなら従来のナイスカットG。
そんな選びかたでよいかもしれません。

●ラッキーコーヒーマシン「ボンマック bonmac BM-250N」
ブラック
https://amzn.to/2CN54SG
レッド
https://amzn.to/2FzYkba
ナイスカットG以外のおすすめ1位は、「ボンマック BM-250N」です。
これまで挙げてきた機種はすべて国産でしたが、実売3万円以上。
そしてこちらだけは台湾製で、1万円台後半の実勢価格です。
一般的に、商品説明の日本語が怪しい中華メーカー製を、値段だけで選ぶのは危険です。
一方ボンマックBM-250Nは、UCC上島珈琲グループのラッキーコーヒーマシン社の製品。
同社の製品はサードウェーブコーヒーの代表格、「ブルーボトル」などにも導入されています。
本品は2010年発売で、すでに信頼の実績も積み上がっているほか、後発としてナイスカットなどを研究しています。
あらゆるものが値上がりしている昨今、均等な粒度、静音性など、性能面で拮抗しているBM-250N。
お値頃感がたいへんに高いコーヒーミルです。
ただし製造ロットが少ないのか、しょっちゅう欠品します。
そして市場在庫が少なくなるたび、足許を見た業者が価格を吊り上げてきます。
「BM‐250Nの適正価格は2万円未満まで」、とお考えください。

ナイスカットGの価格相場は、3万円を超えています。
調査した範囲では、以下の26,950円台がもっとも安価でした。
▶(楽天市場)限定生産ホワイト
https://a.r10.to/hzPU87
→このホワイトは2019年初めに限定販売されたもの。
他店ではすでに売り切れたか、4万円近いプレミア価格(!)となっています。
ナイスカットGの中では最安の部類であるうえ、限定品は中古市場でプレミアがつきやすく、二重の意味でお得といえます。
ついでですので、ちょっと下世話なお話をしますね。
ここまでご紹介したフラットカッター型は、数十年も継続生産されてきたものが中心です。
電化製品でこれほどモデルチェンジがないことには驚きますが…。
頑丈だし、補修部品も豊富でこの先さらに何十年と使えることもあって、値崩れもわずかです。
「数年後に手放したところ、入手当時と大差ない値段がついた」
といった意見が多く見られるのですが、これらの事情を考えれば、至極当然。
いわゆる「リセールバリューが高い」ことに、確かな理由があるわけですね。
味わい面で劣る安価なミルに寄り道するのはもったいない、と申し上げる背景には、そうした事情も含まれます。
長い目で見てお得であること、ご理解いただけるのではないでしょうか。
以上、追記でした。
ここまでで、5つのベストバイ機種をご紹介してきました。
・ナイスカットG(カリタ)
・みるっこ(富士珈機)
・ハイカットミル(カリタ)
・ネクストG(カリタ)
・ボンマック BM-250N(ラッキーコーヒーマシン)
「おいしいコーヒー粉の科学的な条件」をもとに選ぶと、結局、プロやコーヒー通にも選ばれる製品ばかりが残りました。
どれも数万円クラスでは間違いのない機種です。
他の粉砕方式は安価ですが、残念ながらコーヒーの味わいを大きく損なうため「選外」です。
29年も無駄にした私のように、遠回りする必要はありません。
一方で極端な話、ミルの方式さえフラットカッター式なら、あとはどれを選んでもさほどの違いはありません。
そうなると、決め手はやはりコストパフォーマンスとなります。
実はこれらの機種でも、微粉の100%除去は無理です。
粒度の均一性を求めはじめると、数十万円する機種まで存在しますが、「豆を粉砕する」という原理に立脚している以上、どんなに高額でも微粉ゼロはありえません。
よほどのコーヒー求道者でない限り、価格と性能のバランスから考えると、ご紹介した5点の電動ミルが最適解となります。
数万円の投資でリセールバリューが高く、しかも何十年も満足が続くのです。
どれを選んでも価値ある買い物です。
それでも「電動は予算が…」「やはり手挽きがいい!」とお考えでしょうか。
その場合の選び方もお伝えしましょう。
ご注意いただきたいのは、
【木箱のボディや鋳鉄製といった、一見クラシックな工芸品調】の手動ミルには手を出さないで、ということ。
そうではなく、【臼歯がセラミック製のモダンなミル】をおすすめします。
理由はずばり、「精度」。
工芸品風の手動ミルでも、何万円もする本格派ならよいのですが、数千円レベルで精密な加工は期待できません。
作り手として限られた原価しか割けない場合、
・人の手で加工が必要な木箱にまでコストを掛けるか?
・ボディは大量生産品でも、ミルの核心たる挽き臼に集中的にコストを掛けるか?
…「味」を優先するなら、答は明らかです。
工芸品調は飾るのに向いても、回転軸がぐらつき粒度が揃わず。
一方、大量生産でも精度が維持しやすいセラミック製の挽き臼なら、欠点の多くは解消されます。
また、セラミックは水洗い可能という付随メリットも。
ただし
・挽き上がり時間
・腕の疲れ
・粒度調整の手間
・味わい
の4点で、電動カッティングミルの完勝です。
将来この形式を入手する日が来たら…
「無理しても最初からこちらにすればよかった!」
と後悔なさることでしょう。
以上をご理解いただいたうえで、手動ミルのおすすめを2つ、ご紹介します。

手動ミルの選び方ポイントにつづき、具体的なおすすめ商品を2つご紹介します。
(電動を含めた全般のベストは上のほうで述べています)
画像はジャパン・ポーレックス社の製品。
手挽きミルでは定番といえる存在で、鹿児島県霧島市で製造されています。
▶ポーレックス「セラミックミニ」
http://amzn.to/2egkq7V
コーヒー約3杯分[30g]が挽けるレギュラータイプと、直径は同じで2杯分[20g]のミニがあります(画像はミニタイプ)。
いずれも普段使いには十分なサイズ。
ミニの方のハンドルは、分解してボディの黒いシリコンカバーに通して固定でき、まあまあコンパクトに収納可能。
アウトドアへの携帯性にもすぐれます。
キャンプなどに持ち出すと、ちょっとコーヒー通を気取れるたたずまいですよね。
なお、こちらの商品には、大量にコピー商品が出回っているのでご注意を。
とくに海外製は見た目だけを安易に模倣したものが多く、軸がぐらつく、回転が渋いといった典型的な「安かろう悪かろう」が多く見られます。
なお、ポーレックス社が自社開発したセラミック臼の完成度は、他の日本製と比較しても一日の長あり。
ここ数年でハンドル接合部が改良されるなど、ものづくりに対する誠実な取り組みも評価できます。

最後に、2016年の発売以来、手動ミルの一番人気もご紹介します。
日本の耐熱ガラス器具メーカー、HARIO社製のこちらです:
▶ハリオ 手挽きセラミックコーヒーミル スケルトン MSCS-2B
https://amzn.to/2wgDFI4
低価格ミルの最低条件となるセラミック製の挽き臼を備え、実売で2千円ほどと、ひときわ安価。
上でご紹介したポーレックス社製の「手にしたときのよろこび」的なものは、正直希薄です。
でも、ポーレックスの半分弱という価格は魅力です。
ちなみに容量は、コーヒー約10杯分にあたる100g。
電動のナイスカットでも50gなので、倍もあります。
そんなに手挽きするのは苦行過ぎますし、そもそもコーヒー豆の挽き置き保存は、挽きたての薫りを損なうNG行為。
なので容量いっぱい挽く機会はほとんどなく、やや大きすぎます。
でも大柄ゆえに接地面積が広く、どっしりと安定して挽けるのは利点です。
初心者のかたなど、「はじめてのおためし入門ミル」として、おすすめします。
なお、こちらにはほぼ同じ機構や価格で容量が2杯分というスリムタイプもあります。
安定度は一歩譲るものの、サイズ的にはこちらもよいですね。
▶ハリオ セラミック スリム MSS-1TB
https://amzn.to/2Kf7PlI
長文をお読みいただき、ありがとうございました。
最後に再度、要点をまとめます。
★失敗しないコーヒーミルの最低条件
・微粉が少なく、均等な粒度で挽けること
・掃除後もただちに目標の粒度が再現できること
これらを満たす電動のカッティングミルが、あらゆる点でベスト。
たとえ初期投資がかさんでも、10年単位で満足が続くことを考えると、結局は割安な投資です。
--
今回の記事は、わたしのようにコーヒーミル選びで失敗する人を少しでも減らしたいとの思いから書きました。
ここでとりあげたミルの大半は、30年~50年も大きなモデルチェンジがない商品です。
市場規模が小さいゆえか、枯れた技術で完成しているのか。
この先、目を見張る技術革新でも起きれば別ですが…
今回のおすすめは今後も当分、揺るぎないベストでありつづけるでしょう。
コメント
全て既読にする
コメントがあるとここに表示されます