家づくりの経験のない人でも、「坪単価」という言葉を一度は耳にしたことがあるでしょう。
多くの人は「坪単価が安い=安い物件、坪単価が高い=高い物件」と判断していると思いますが、実際はそんなことはありません。
では、坪単価は何によって決まっていているのでしょうか。相陽建設株式会社社長の古橋裕一さんに伺いました。
坪単価とは
坪単価とは、読んで字のごとく、建物の床面積1坪(=約3.3平米)あたりに建築費がどのくらいかかっているかを算出したものです。
坪単価の計算方法
坪単価の計算方法は、一般的には以下の通りです。
家の本体価格 ÷ 延床面積(建物の床面積の合計)= 坪単価
例えば、家の本体価格(建物本体価格)が2000万円で延床面積が30坪の家がある場合、
1800万円 ÷ 30坪 =60万円
となり、「この家の坪単価は60万円」と表現されます。
また、家の本体価格を施工面積で割る場合は、以下になります。
家の本体価格÷施工面積=坪単価
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坪単価ってどうやって決まるの
つまり、坪単価は家の本体価格によって大きく上下するということ。一見同じような建物であっても、RC造(鉄筋コンクリート造)かSRS造(鉄骨鉄筋コンクリート造)かS造(鉄骨造)かによって造りが違いますし、木造となればまた大きく仕様が異なるので、価格に差が生まれます。
「でも、木造だから価値が低いというわけではなく、木造であっても十分よい家が存在するのも確か。つまり、坪単価はアテにしたらダメだということです。坪単価に惑わされて意思決定が揺らぐことのないようにしましょう」(古橋さん)
坪単価は単純に床面積1坪あたりの建築費であって、高いからハイクオリティだというわけではなく、安いからお得というわけでもありません。大切なのは、その家が自分たちの求めている暮らしを実現してくれるものであるかどうか。「たとえばうちの場合、健康に悪い建材を排除した有害物質ゼロの家づくりにも取り組んでいますが、そうした観点で注文住宅を選ぶこともとても大事です」(古橋さん)。坪単価を重要視し過ぎると、自分たちが本当に住みたい家はどんな家なのかに意識が向きにくくなることもあるので、注意したほうがよさそうです。
また、坪単価はハウスメーカーによって出し方が異なるということも注意しないといけません。どういうことかというと、坪単価の計算に使う「家の本体価格」に、電気やガス、エアコンなどの屋外配管の費用を含めているハウスメーカーもあれば、そうでないハウスメーカーもあるということです。さらには、外溝費用まで含まれていることもあるなど、どこまで本体価格に含むかは各社によって様々。「他に、バルコニーを本体に含むハウスメーカーもあれば含まないハウスメーカーもあります」と古橋さんも指摘する通り、決まったルールがないので、同じ仕様、同じ規模で似た間取りの家だとしても、坪単価には大きな開きが出ることがあります。
延床面積と施工面積の違い
坪単価を調べる際の
家の本体価格 ÷ 延床面積(建物の床面積の合計)= 坪単価
この計算式はもっとも一般的なものですが、ハウスメーカーによっては、「家の本体価格」を「延床面積」ではなく「施工面積」で割ることもあります。
延べ床面積というのは全床面積を合計した面積なのに対し、施工面積は玄関ポーチや吹抜け部分など延床面積に含まない部分も加算したものです。当然その分面積が広くなり、同じプランでも計算すると坪単価が安くなります。
このように見えている数字だけにはとらわれないように気をつけてください
坪単価の価格相場を知りたい
坪単価の全国平均は50~60万円程度と言われていますが、【坪単価ってどうやって決まるの】で説明した通り、平均より高いからクオリティが高いというわけではなく、安いからお買い得というわけでもありません。あくまで、ひとつの目安程度と認識しておくべきものであることはお忘れなく!
希望エリアの坪単価の調べ方を知りたい
エリアごとの坪単価相場についてもまったく同じことで、ハウスメーカーによって算出方法も異なるため、参考程度にしかなりません。ただし、土地の価格そのものを知りたい場合は、実勢価格、公示地価/基準地価、相続税評価額(相続税路線価)、固定資産税評価額(固定資産税路線価)、鑑定評価額を調べれば解決します。
それぞれの調べ方は以下の通りです。
国土交通省が運営する「土地情報総合システム」サイト、仲介業者サイトなどで確認するか、仲介業者に査定価格を出してもらう
資産評価システム研究センターが運営する「全国地価マップ」で確認する
②同様に「全国地価マップ」で確認する
②同様に「全国地価マップ」で確認する
不動産鑑定士に土地を評価してもらう
坪単価に関する注意点
坪単価を知れば何がわかるのかというと、「単純に、ざっくりとした金額感がわかります。ですので、坪単価は参考程度にとどめるのがベスト」と古橋さん。「たとえば、とあるハウスメーカーが坪90万円前後の商品を扱っているとわかれば、坪単価にして40万円程度の予算しかない人は、そのハウスメーカーのものは見ないですよね 要は、車を探すのと同じ感覚です。200万円の予算しか持っていない人が、レクサスを見ようとは思わないでしょう」。「ローコストでいくかハイクオリティでいくか」などおおまかな予算感があるなら、候補を“しぼる”ために坪単価を活用するのは一手かもしれませんね。
では、ざっくりとした金額感しかわからないのに、各メーカーが独自の坪単価を出す理由とは この答えを古橋さんは、「ハウスメーカーが客寄せ用に作っている指標です。坪単価を見れば、どのくらいの年収層をターゲットにしている物件なのかがある程度わかります。車に例えると、ヴィッツなのかカローラなのかクラウンなのかといったところです」と説明。ハウスメーカー側にとっては、坪単価はお客に訴求するために活用するもののひとつでもあるということですね。
まとめ
坪単価は、ハウスメーカーによって算出方法が異なるだけでなく、施工方法や建材によっても変わってくることがわかりました。このことをしっかりと頭に刻んでおくと、マイホームづくりの際に、坪単価に惑わされることがなくて済むはず。家のクオリティと坪単価は比例しないので、数字を意識し過ぎることなく、自分たちらしい家づくりを楽しんでくださいね。
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≪Advice≫不動産業界出身、工務店3代目社長 古橋裕一さん
相陽建設株式会社代表取締役。大学卒業後に大手不動産販売会社に勤めたのち、同社に入社。「建設業はサービス業」を信念に、まごころのある家づくりを実践。著書に『土地に住みますか 家に住みますか』(日本建築出版社)がある。
相陽建設株式会社 : http://www.soyo-inc.co.jp/
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