二世帯住宅をリフォームで実現するには?

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二世帯住宅をリフォームで実現するには?

アドバイス/スタイル工房

新築から部分リフォーム、フルリノベーションまで手掛けるハウスビルダー。生活を見据えたプラン提案と、自然素材を使ったデザインに定評がある。物件探しから請け負うワンストップサービスも充実。

https://www.stylekoubou.com/

ここでご紹介するのは、家を二世帯住宅に建て替えするのではなく、リフォームで二世帯住宅に変えるケース。実家が築浅で強度などに問題がなければ、よりローコストに二世帯住宅を実現できます。難しいのは建て替るべきかリフォームすべきかの判断。家族で話し合うだけでなく、家づくりのプロにも相談しながら決めるのがおすすめです。

二世帯住宅リフォームの基礎知識

親世帯が暮らしている実家に、子育て中の子世帯が戻ってきて一緒に暮らすケースが増えています。特に子世帯が共働きの場合、おじいちゃんおばあちゃんに子どもの面倒を見てもらえるメリットは大。とはいえ、実家にそのまま入って同居するのはハードルが高い……そんな人に選ばれているのが、実家の二世帯住宅リフォームです。

一般的なのは、1 階のLDK と個室を親世帯がそのまま使い、2 階を子世帯が暮らしやすいようにリフォームするケース。元の建物の面積や状態によって、以下のようなパターンが考えられます。

 

  • 玄関だけを共有して、2 階に子世帯用のキッチン・洗面室・浴室をつくる

  →完全分離型に近い、独立性の高いプラン。ただしコストが高く、大きな面積が必要。

 

  • 玄関と洗面室・浴室を共有して、2 階には子世帯用のキッチンだけをつくる

 →部分共有型。2 階に水回りがない分だけコストと面積を抑えられる。

 

  • 玄関と洗面室・浴室を共有して、2 階には子世帯用のキッチンとシャワールームをつくる

  →部分共有型。コストと面積を抑えつつ、生活の自由度も確保できる。

 

  • 玄関と洗面室・浴室、キッチンを共有して、2 階にはミニキッチンとシャワールームをつくる

  →完全共有型に近いが、コストと面積をかなり抑えつつ、生活の自由度もある程度確保できる。

※参考記事二世帯住宅の間取りについて知りたい!」へ。

建て替えとリフォームの判断基準は?

実家を二世帯住宅に建て替えるかリフォームするかの判断の要は、建物の築年数や強度など建物の状態によります。特に新耐震基準の施行(1981) より前に建てられた建物をリフォームするためには、強度や耐震性のチェックが不可欠です。

建物の基礎の施工状態も重要なチェックポイント。日本では80年代に鉄筋入りの基礎が広まったため、それ以前の建物には鉄筋の入っていないコンクリート基礎が多く見られます。その場合は基礎部分からの改修工事が必要になるため、実質的にはリフォームではなく建て替えになると考えたほうがいいでしょう。

長く住んでいる人は意外と気づきにくいようですが、地盤の状態によっては、既存の建物がすでに傾いているケースもあります。たとえば、敷地の一部に盛り土をして、半地下の車庫などを設けてあるような建物では、建物が部分的に沈下していることも。このような状態はリフォームでは改善できないため、地盤改良工事を含めて建て替えを選ぶことになります。

建物の状態は自分たちでは判断がつかないことが多いので、プロのアドバイスを仰ぐのが正解。リフォーム会社の設計者や住宅診断士などに相談して、必要な調査を依頼しましょう。

二世帯住宅リフォームは減税の対象になる?

住宅リフォームでは、工事の内容によって税金の控除を受けられることがあります。減税制度の対象となるのは

・耐震リフォーム

・バリアフリーリフォーム

・省エネリフォーム

・同居対応リフォーム

 など。条件に当てはまり、確定申告の際に必要な手続きを行えば、所得税などの控除を受けることができます。

 

< おもな減税制度と問い合わせ窓口 >

・所得税の控除……お住まいの地域を管轄する税務署へ

・固定資産税の減税……物件所在の都道府県・市区町村へ

・贈与税の非課税措置……お住まいの地域を管轄する税務署へ

・登録免許税の軽減……物件の所在地を所轄する法務局へ

・不動産取得税の特例措置……物件所在の都道府県へ

 

いずれも対象となる工事や住宅などの要件が異なります。リフォーム減税の概要や証明書について知りたい場合はこちらへ。

 

  住宅・建築→サイドメニュー「住宅税制」→「各税制の概要」

  サイドメニュー「リフォームの減税制度」

 

二世帯住宅リフォームのローンについて

二世帯住宅にリフォームする際のローン選びには、以下のような選択肢があります。

 

  • 親子ペアローン

親世帯と子世帯が別々に組むローン。完全分離型の間取りにして、区分登記もそれぞれでする場合は、住宅ローン控除や不動産取得税、固定資産税などの軽減措置も親子それぞれで受けられる。

 

  • 親子リレーローン

親と子の連名で組むローン。親が死亡した場合などに子が債務を引き継げるため、親が高齢の場合などによく利用される。

 

ただし、実際の二世帯住宅リフォームでは、子世帯が自分たちのスペース( 実家の23階など) をリフォームして、親世帯(1階など) はリフォームしないケースが多いため、ローンを組むのは子世帯のみ。そのため条件に合わせて一般的なリフォームローンを選ぶ人がほとんどです。

 

 

二世帯リフォームはいくらでどこまでできる?

ところで、実家を二世帯住宅にリフォームするには、いったいどのくらいの費用が必要なのでしょうか。

だいたいの目安となる金額を下に挙げてみます。でも、実はリフォーム費用の目安を算出するのはとても難しく、元の建物の状態をはじめ、どの部分にどう手を入れるか、どんな設備機器を選ぶかなどによって、金額に大きな差が出るもの。ですので、ここにある金額はあくまで目安と考えてください。また、この金額には解体費は含まれず、施工費と設備費のみになります。

<リフォーム工事費の目安>

  • 2階にフルサイズのキッチンを設置・・・60140万円くらい
  • 2階にミニキッチンを設置・・・2035万円くらい
  • 2階にユニットバスを設置・・・80100万円くらい
  • 2階に洗面台を設置・・・2040万円くらい
  • 2階にシャワールームを設置・・・2040万円くらい
  • 2階の内装のみを交換・・・1坪あたり 5~6.5万円くらい
  • 2階をスケルトンリフォーム・・・1坪あたり10~14万円くらい
  • 2階への外階段を設置・・・180250万円くらい

 

二世帯住宅リフォームの成功実例をご紹介

ここでは実家を二世帯住宅にリフォームした実例を見てみましょう。どちらも1 階の親世帯には手を加えず、2 階や3 階を子世帯がリフォームしています。元の建物のよさを生かしている点にも注目してみて。

CASE STUDY①

3 階建ての23 階を子世帯がリフォーム。“つかず離れず" の理想の暮らしを実現!

Y さん宅( 東京都 )

 

 

DATA

家族構成    夫婦+子ども3 人+両親

築年数      14

子世帯の延べ床面積  115.08(34.81)

リフォーム床面積    115.08(34.81)

リフォーム部分      23 階全面

リフォーム工事費    約1900万円

3.3 ㎡単価    約55万円

設計・施工    スタイル工房 www.stylekoubou.com

 

子世帯: 実家はもともと二世帯住宅で、23 階には祖母が住んでいました。さらに2 階の一部を賃貸にしていて、専用の玄関もありました。今回はそのスペースまで含めて、自分たちが暮らしやすいようにリフォームすることにしたんです。

もともと二世帯住宅だったといっても、玄関もおふろも共有の間取り。でも、いまの共働きの私たちと両親とでは、生活のペースも暮らし方もまったく違うので、玄関も水回りも別の完全分離型に変更しました。おかげでマンションの上下階に住んでいる感覚で暮らしています。

 

親世帯: お互いに気兼ねなく暮らせるのが何より。平日はそれぞれの生活を大切にしながら、週末になるとお互いに行ったり来たりしています。いわゆる“つかず離れず”の理想的な関係ですね。

外観

建てて14年ほどと築浅だったため、外回りには手をつけず、既存のままにしました。右の門扉の中に親世帯の玄関、左の外階段の上に子世帯の玄関があります。

2F玄関 

以前は賃貸スペース専用だった玄関。今回のリフォームでLD側にもドアをつけ、子世帯の玄関として使うことにしました。

 

2F玄関

玄関のたたきにつながるシューズクローゼット。もともと賃貸スペースの浴室があった場所を、大型収納に作り替えました。家族5 人の靴をたっぷりしまっています。

 2F LD

オーク材の床の質感を生かして、シンプルにまとめたLD。木枠の窓はもともとこの家についていたもので、断熱性も見た目もお気に入りとか。

 

BEFORE

以前は出入り口側にキッチンがありました。手前の壁沿いにはクローゼットがずらりと造りつけられていて、細長い部屋だったそう。

2F LD 

キッチンを移動させ、クローゼットを撤去したことで、広々としたLDを実現。掃除機などをしまうため、一か所だけ好みの扉をつけた収納をつくりました。

 2F DK

フロア全体を分断していた壁の一部を抜いて、空間をL型につなげ、その奥にキッチンをレイアウト。南向きの窓から明るい光が入り、気持ちよく家事ができます。

 

 2F キッチン

造作で好みの素材とデザインをとり入れたキッチン。カウンタートップは人造大理石で、モダンな雰囲気に。

 BEFORE 

突き当たりにあったウォークインクローゼットは撤去して、居室のスペースを広げました。階段の向きを変更したため、それに合わせて出入り口も移動させています。

 

3F 子ども部屋

3F 子ども部屋

天井の造りは以前のまま。小屋裏のような楽しい空間が子ども部屋にぴったりです。床は足音の響きにくいコルクタイルに。

 

もともとワンルームの賃貸にしていた部屋を、ご夫妻の寝室としてリニューアル。ロフトは以前からあるもので、その下にウォークインクローゼットを新設しました。

 2F 洗面室

モロッコ製のシェードやモロカンタイル、赤いペイント壁など、エキゾチックな雰囲気に仕上げた洗面室。ホテルを参考にツインボウルもとり入れました。

 

CASE STUDY②

実家の2 階を増改築。広い生活空間を手に入れて三世代でゆったり暮らしています

Sさん宅( 神奈川県 )

 

DATA

家族構成   両親+夫婦+子ども2

築年数      12

延べ床面積  166.22(50.28)

リフォーム床面積  64.22(19.43)

リフォーム部分  寝室を除く2 階全体、1 階クローゼット

リフォーム設計・施工  ()ピーズ・サプライ www.ps-supply.com

 

子世帯: 自分たちが結婚したのとほぼ同時期に、両親が実家を建て替えたのですが、いずれ二世帯で住むかもしれないと考えて、外観デザインを洋風にしたり、基礎をしっかりつくったりと工夫してくれていました。

2 年ほどして同居を検討しはじめましたが、そのまま暮らすには生活スペースが足りなかったので、2 階を増築して床面積を広げ、子世帯専用の玄関や水回りをつくることに。親世帯とは生活時間帯が違うので、分離型プランのほうがやっぱり気楽ですし、お互いストレスなく生活できると思いました。

 

親世帯: 分離型プランには私たちも大賛成。それぞれの友達を招いたり、好きな時間におふろに入ったりと、お互いに自由な生活を送っています。息子一家と暮らすようになって感じるのは、生活に張りが出たこと。つねに顔を合わせているわけではないけれど、いつでも会える安心感と緊張感がいいのだと思います。

 BEFORE

北側から見たリフォーム前の建物。2 階が1 階より小さいプランだったことがわかります。

 

AFTER

南側から見たリフォーム後の建物。2 階を増築したことで、ほぼ総二階のような形になりました。

 2F LD

元の建物のゆったりした天井高を生かした、開放的なLD。「ちょうどここが増築した部分。これだけ広げられたおかげで、家族4 人が快適に暮らせています」。キッチンの上にはロフトをプラン。 

2Fキッチン

シンクの前につけた窓は眺望抜群。木製カウンターが家具のような印象です。シンクと向かい合わせのコンロスペースも、材質を揃えて木製にしました。

 

外階段& デッキ

木製の外階段が子世帯フロアへのアプローチ。階段を上がると、玄関ポーチを兼ねたデッキがあります。ご両親を招いてバーベキューをすることもあるそう。

 

2F玄関ホール


ナチュラルな雑貨が映える玄関ホール。チェッカーガラス入りのドアもかわいい。

 

2F洗面室

子世帯専用の水回り。「娘たちがいずれ鏡の取り合いをしなくてすむように、カウンターをL 型にしました。収納も確保できて一石二鳥です」

 

2F寝室

2 階で唯一、リフォームしなかったのがこの部屋。内装もきれいで収納スペースも充実していたため、そのまま使うことにしました。工事費のカットにも貢献しています。

 

二世帯住宅リフォームを成功させるポイント

リフォームで二世帯住宅を計画する際に、これだけはおさえておきたい! というポイントをまとめました。

  • 子世帯の生活スペースの広さは十分か

実家の建物がすでに建ぺい率・容積率いっぱいに建てられていると、増築で子世帯の生活スペースを増やすことはできません。現在の実家でゆとりをもって暮らせるだけの面積を確保できるかどうか、あらかじめ考えておきましょう。

  • 親世帯の生活スペースの快適さを保てるか

これまで1 階も2 階も使っていた親世帯が、1 階だけで暮らすことになった場合、日当たりや寒さなどの問題が起こりがち。窓の大きさや位置を変えるのは困難なので、たとえば子世帯から床暖房をプレゼントするなどの対策を考えてみては。

  • 区分登記の名義やローン契約者を誰にするか

子世帯がリフォームローンを組むためには、建物に対して自分たちの持ち分を区分登記しなければなりません。その際に注意したいのは名義をどうするかということ。たとえば、妻の実家を二世帯住宅にリフォームするとき、建物の持ち分を相続人である妻の名義にして、ローンの契約者を夫にした場合。万一離婚などという事態になったとき、夫には建物の持ち分はなく、ローンだけが残ることになってしまいます。

相続などにかかわるこうした問題は複雑なうえ、家族によってケースバスケース。建物の現況調査と同じように、リフォーム会社の担当者などに説明してもらいながら決めるのが得策です。

  • リフォームの補助制度を利用する

リフォームにはさまざまな補助制度があり、住んでいる都道府県や市区町村によって内容が異なります。費用の一部が支援されることもあるので、ぜひチェックしてみて。

  • 長期優良住宅化リフォーム推進事業

  既存住宅の長寿命化や三世代同居など、複数世帯の同居の実現に資するリフォームを推進。http://www.kenken.go.jp/chouki_r/

  • 地方公共団体における住宅リフォームに関する支援制度検索サイト

 地方公共団体が実施する補助制度を、都道府県・市区町村ごと、または制度内容で検索できる。http://www.j-reform.com/reform-support

まとめ

建て替えよりもローコストで二世帯住宅を実現できるのが、リフォームの最大のメリット。夫婦どちらかが生まれ育った、思い入れのある実家で暮らせるのも魅力的ですね。

この記事のライター:後藤由里子
主婦の友社刊「はじめての家づくり」をはじめ、数々の住宅・生活関連記事を手がけるライター。キャリアは20年、これまでの実例や建築家、ハウスビルダーへの取材件数は300以上に及ぶ。

 

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