住まいを所有するにあたって、環境も含めて"心地がいい"ことが、最優先事項だったWさん夫妻。内装材に自然素材を選択したことも、その一環。当初は新築のマンションも視野に入れていましたが、「暫定的に入居した賃貸の部屋が、消毒や建材のにおいでひどかったんです。目も痛くなるほどで、新築のマンションも同じようにVOC(揮発性有機化合物)に悩まされるのでは……と思い、体にいい内装材が選べるリノベーションに気持ちが固まりました」と敦さん。
どこに何の素材を使うかは、リノベーションのパートナーの「スマサガ不動産」と相談しながらセレクト。私たちの話から、"どういう心地よさを求めているか"や"どんな暮らしがしたいか"をくみとって提案してくれました。たとえば、キッチンや水回りに使ったモルタルは冷えるイメージがあって、冷え性の私としては最初は乗り気ではなかったのですが、じつは蓄熱性が高いと聞いて安心して採用できました。実際、とても快適です」とさとこさん。
壁のしっくい塗りや床のオイル塗装は、DIYにチャレンジ。「コストダウンというよりは、自分たちの住まいに自分たちで手をかけたいという気持ちのほうが大きかったですね。おかげで構造もわかったので、メンテナンスや棚の設置なども気軽にできるようになりました」
暮らしや感性に合った素材を使って楽しみながら施工できるのは、DIYならではの醍醐味です。
自然素材のこだわりリノベーション
Living
以前の内装はビニールクロスに合板フローリング。2部屋分の空間をゆったりとしたLDKにして、光と風をたっぷりとり込めるように。
壁はしっくい、フローリングは無垢のタモ材。窓からは光と風がたっぷり入ります。「憧れだったハンモックに揺られていると、まるで高原にいるような心地よさです」
Work Corner & Dining
LDの一角のワークコーナー。玄関横に設けたシューズクローゼットにへこみをつくり、スペースを確保しました。「こういうフレキシブルさと自由さがリノベーションならでは!」(左)
ダイニングの床は、キッチンからの流れでモルタルに。「夏はひんやりと心地よく、蓄熱性があるので冬はあたたか」。見た目もシンプルで、北欧デザインの家具とも相性抜群。(右)
DK
壁でこまかく仕切られていたので、薄暗い印象。キッチンは窓の対面の壁ぎわにありました。
キッチンはもとの場所から移動して家の中心に。室内窓を設け、奥の寝室に光をとり込みながらつながり感をもたせました。カウンター側面はタイルとしっくいのツートーン仕上げ。
Bedroom
LDKからも光と風をとり込めるように工夫した寝室。試行錯誤の末、部屋の幅をベッドのサイズぎりぎりにして、LDK側の出入り口にはドアをつけないプランに。「開放感があって気に入っています」。必要になったら引き戸をつけられるようにしています。(左)
寝室の一角には、天井までの高さを生かした、たっぷりしまえる収納を。使い勝手を考慮して、扉をつけず布で目隠し。(右)
Utility
キッチンや洗面室に続く廊下の床もモルタル仕上げに。キッチンの位置を変えたので、配管の都合で床のレベルを上げました。正面の洗濯機置き場の棚は入居後にDIYで設置。
Bathroom
浴室と洗面室に、外光をとり込めるように設けたスリット窓。廊下側からは絶妙に視界が遮られています。「冬場は朝日がさし込んで、本当に気持ちがいいんです。湯船につかりながら外の景色に癒されています」。洗面室との仕切りもガラスにすることで、明るく開放的に。
Washroom
水回りは、浴室と洗面室の位置を交換。さらに2 in 1にすることで広々と。床はモルタル、壁は耐水性のある樹脂塗料でペイント。洗面台は「リボス」のオイルで仕上げました。
Entrance
時代を感じさせる、こじんまりとした集合住宅の玄関。靴箱もありませんでした。
曲線のラインどりにこだわった玄関ホール。右手のカーテンの奥は1.5畳ほどの納戸兼シューズクローゼット。たっぷり収納できます。
リフォームのポイント
Wさんが採用したナチュラル素材
しっくい(LDK・寝室・玄関の壁)
「DIY施工できる質のいいしっくいを比較検討して、『リボス』の『カルクウォール』を選びました。調湿性があって快適なのはもちろん、テスクチャーの表情を楽しめるのも魅力ですね」
無垢のタモ材(LDKの床)
「板が厚く幅広のものを希望して、デザイナーから推薦してもらった材です」。タモ材は木目が美しく、ほどよいかたさで狂いが少ないのが特徴。「一年を通して素足が気持ちいいです!」
「リボス」のオイル(水回りの木部、LDKの床)
水回りの木部は撥水効果のある「クノス」、LDKの床はマットな質感の「カルデット」のオイル仕上げに。「自分たちで塗ったので、今後、メンテナンスも気軽にできます」
設計のポイント
当初、キッチンや水回りにテラコッタタイルを希望されましたが、コストが合わなかったので、対話からお二人が本当に求めていること(耐水性、冷たくない)を探り出し、モルタルを提案しました。内装材の選択肢は無限大ともいえるため、「見た目の質感」「触感」「居住性」など、お二人が求める「本質的な心地よさ」を見極めて素材を選んでいきました。(スマサガ不動産 城戸輝哉さん)
間取り図
ご家庭プロフィール
家族構成 |
夫婦 |
住居形態 |
マンション |
築年数 |
44年 |
専有面積 |
57.6㎡(約17.5坪) |
リフォーム面積 |
57.6㎡(約17.5坪) |
リフォーム期間 |
2012年1月~2月 |
リフォーム費用 |
約988万円(設計料含む) |
リフォーム設計・施工 |
スマサガ不動産 |
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