【Yさん宅(東京都)】
テレビドラマのディレクターのご主人、専業主婦の奥さま、長男(4歳)、長女(1歳)の4人家族。以前は賃貸のマンション住まいでしたが、広いLDKができたので、気軽に人を呼べるようになったそう。
吹き抜けに面した大きな窓からやわらかい秋の日ざしが入り、隣家の青々とした竹やぶが窓いっぱいに広がる、開放感にあふれたYさんのお宅。「ふたりとも田舎育ちなので、どちらかといえばマンションより地面に近い戸建てのほうが自分たちになじむ気がして」と、結婚当初から戸建て志向だったそう。
あるとき、住宅雑誌でモダンとナチュラルがバランスよくとり入れられた家を発見。それが、この家を設計した建築家の中村高淑さんの作品でした。すぐに連絡をとり、土地選びから相談にのってもらったのだとか。
建築費は2000万円までという制限があったものの、素材のランクを見直したり、あと回しにできる設備を削ったりしながら予算内におさめ、バイクガレージを兼ねる土間玄関や、ゆったりとしたLDK、内装に自然素材をふんだんに使うという希望も実現できました。「古材の足場板を床に使いたかったのですが、素足で歩くには不安があるということで断念しました。けれど、中村さんおすすめのSPF材を使ったフローリングがとても心地よく、大正解でした」
じつは下のお子さんの出産日と新居の完成が偶然にも重なり、奥さまは引き渡しに立ち会えませんでした。「でも、新しい家と新しい命が同時に生まれ、忘れられない新生活のスタートになりました」
理想の住まいが「1000万円台」で実現したポイント
見積もり時に、素材別や仕上げ別など、こまかく費用を比較して検討。
あとから設置できる設備機器や建具は、できるだけ省略した。
特にこだわりのない場所の仕上げ材は、安価な価格帯のものからセレクト。
1F リビング
【こだわりPoint】構造材を利用してリーズナブルに無垢材の床を実現
高低差のある天井で空間にメリハリをつけたリビング。ソファは「アクメ」、テーブルは雑貨ショップで見つけたもの。「シンプル&ナチュラルなインテリアを意識しました」
1F DK
作業しながらコミュニケーションをはかれるのが対面キッチンのメリット。テーブルは「FILE」(旧グリーンゲイブルス)のもので、ご主人が結婚前から使っていたものとか。
1F キッチン
ベース部分や扉にシナ合板を使ったオリジナルキッチン。コストダウンのため食洗機やオーブンはあきらめましたが、あとから設置できるようにスペースは確保しています。
【こだわりPoint】長方形タイルで大人っぽい雰囲気に(写真右)
【写真左】「小さいですが、パントリーがとても重宝」と奥さま。コストの節約で扉は省略しましたが、LDからは見えにくい位置にあるので気にならないそう。
1F ダイニング
【こだわりPoint】部分的にとり入れた珪藻土の壁がアクセント
家じゅうの壁を珪藻土にするのが希望でしたが、予算の都合で珪藻土クロスに。それでもダイニングの壁の一部に採用でき、印象的な一角に。
1F LDK
スペースを有効利用するため、キッチン、ダイニング、リビングをつなげたオープンプランに。家じゅうの床のワックスがけはご主人が担当。
1F LD
【こだわりPoint】窓ぎわに造作したベンチにもなるローボード
当初の計画では窓の左手に天井まである収納を造りつける予定でしたが、予算オーバーのため高さを変更。かえって空間がすっきりして、広く感じられます。
階段
上下階をつなぐ吹き抜けのおかげで家族の気配が伝わる家に
【こだわりPoint】吹き抜けと大きな開口部で開放的に
南側に大きくとったLDの窓。窓側に階段の上り口を設けたので、外を眺めながら上り下りできます。ハイサイドライトの効果で冬も日当たりがよく、日中は暖房がいらないほど。
2F 子ども部屋
子どもが小さいうちは広々と使えて、将来は2室に仕切れるようにとリクエスト。窓はすべて左右対称に設けてあります。
2F 廊下
吹き抜けを介して、空気が効率よく上下階を循環します。子ども部屋と寝室をつなぐ廊下の中央に水回りを配置。プライベート空間を2階にまとめたので、生活しやすいそう。
2F 寝室
【こだわりPoint】寝室に布団干しに便利なバルコニーを
「掃除やベッドメイキングのときもバルコニーで子どもたちを遊ばせておくことができます」と奥さま。正面の窓は、プライバシー保護のために上下に分けたデザインにして、木材をあしらいました。
1F トイレ
【こだわりPoint】壁面と扉を黒板塗料で仕上げておしゃれに!
独立した手洗い場は省略して、従来型のタンクつきトイレを採用。黒板塗料仕上げの壁は中村さんにすすめられたもので、子どもたちがどんな絵を描いてくれるか楽しみとか。
2F 浴室
デッキ材に使われることの多い、耐久性の高いイペ材を床とエプロン部分に使用。天井と壁はFRP防水のままの仕上げにしてコストを節約しています。丸い照明とミラーが直線デザインのなかのポイントに。
2F 洗面室
ナチュラルテイストのベースキャビネットに実験用シンクをのせた、おしゃれな洗面台。小さなルーバー窓のおかげで、プライバシーを守りながら換気できます。
1F 玄関ホール
【こだわりPoint】バイクガレージを兼ねた広い土間玄関
家にいるときも眺めていられるようにと、バイク好きのご主人が希望した、ガレージを兼ねた玄関。フルオープンできる玄関ドアを全開すると、ポーチと連続した広い空間に。
モルタル仕上げの土間玄関は希望どおりで大満足だそう。バイクのメンテナンス道具や園芸用品の収納棚を左手に設置。正面奥には靴用のキャビネットを造作しました。
外観
白い外壁に木材をあしらったシンプルな外観。1階部分の大型の木製フェンスは可動式で、庭と手前の道路とをつないだり遮断したりできます。フェンスの引き込み部分には、奥さまの出身地、栃木の大谷石を用いてデザインポイントに。木製フェンスを閉めてプライバシー確保。
DATA. Yさん宅(東京都)
設計のPOINT
unit-H 中村高淑建築設計事務所
中村 高淑さん
予算の制約があり、建物は敷地面積に対してコンパクトに計画。ご主人は大のバイク好きで、所有している愛車のためのバイクガレージが絶対条件でした。そこで、バイクを飾る感覚で置いておける広めの玄関を提案。もうひとつのポイントはLDKに設けた吹き抜けで、2階のプライベートスペースとのゆるやかなつながり感をもたらしています。また、構造材をあらわしにすることで、素朴でやさしい雰囲気をもつ空間が実現できました。
Profile.
1968年東京都生まれ。多摩美術大学美術学部建築学科卒業。設計事務所を経て99年に現事務所を設立し、2001年にunit-Hを共同で立ち上げる。フレキシブルに対応できる住宅づくりがポリシー。
家族構成 |
夫婦+子ども2人 |
敷地面積 |
110.04㎡(33.29坪) |
建築面積 |
43.95㎡(13.29坪) |
延べ床面積 |
83.76㎡(25.34坪) 1F 43.95㎡ + 2F 39.81㎡ |
構造・工法 |
木造2階建て(軸組み工法) |
工期 |
2010年3月〜9月 |
本体工事費 |
1968万円(外構工事別) |
3.3㎡単価 |
約78万円 |
設計 |
unit-H 中村高淑建築設計事務所 (中村高淑、高橋美樹) TEL: 045-978-4335 |
構造設計 |
多田脩二構造設計事務所 TEL: 03-5724-5615 |
施工 |
㈲テクノアート TEL: 044-511-5177 |
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