家を建てる際、貯蓄だけでは自己資金(頭金)が足りないなどの理由で、両親から援助を考える人もいるでしょう。親から資金援助を受ける場合は、「贈与として受けとる」のか、もしくは「借りることにして、のちのち返却する」のかを、最初にはっきりさせることが重要です。 ここでは親から援助を受ける場合の、2パターンをそれぞれご紹介します。
頭金を贈与として受けとる場合
一般に、人から人に財産が移ると贈与税がかかります。親や祖父母から資金を援助してもらう場合も当然課税されますが、条件を満たし、ある制度を使うと場合によっては将来の相続税も非課税になる可能性があります。 その制度は大きく分けると2つありますので、それぞれをご紹介します。
暦年課税
暦年課税は一般的な贈与税の制度で、誰にでも年110万円の基礎控除があります。それを超える贈与には税金がかかりますが、2015年1月1日から税率が改正され、20歳以上の子や孫への300万以下(基礎控除後)の贈与は、減税となります(下表参照)。
住宅取得資金にかかる贈与税率(2015年1月1日から)
基礎控除後の贈与額 |
子または孫への贈与 (20歳以上) |
一般贈与 |
200万円以下 |
10% |
10% |
300万円以下 |
10% |
15% |
400万円以下 |
15% |
20% |
600万円以下 |
20% |
30% |
1000万円以下 |
30% |
40% |
1500万円以下 |
40% |
45% |
3000万円以下 |
45% |
50% |
4500万円以下 |
50% |
55% |
4500万円超 |
55% |
55% |
相続時精算課税制度
相続時精算課税制度というのは、60歳以上の親から20歳以上の子ども(推定相続人)に贈与をする場合、合計2500万円までは贈与の段階で課税しない制度です。
この制度を一度利用すると、それ以降、親からの贈与はすべて(現金以外の土地や株なども含めて)、2500万円に達するまで贈与税が免除されます。2500万円を超える部分は、一律20%の課税です。
その後、親がなくなった時点でそれまでに贈与された金額をいったん親の財産として、計算上は戻します。そのときに親が持っていた財産に、すでに贈与された金額を加え、合計金額を新たに相続するのです。
ただし現在、相続税の基礎控除は「法定相続人の人数×600万円+3000万円」なので、合計金額がこれ以下ならば相続税はかからず、結果的に贈与の段階でも相続の段階でも課税されない可能性が出てくるわけです。
「相続時精算課税制度」を使うと、「暦年課税」の110万円の非課税枠は利用できなくなります。どちらの制度を使うかで収める税額が変わり、実質的な資金援助額も変わってくるので、よく考えて選びましょう。
頭金を借りる場合
借りるつもりでお金を受けとったあとで、親が「返さなくてもいい」と言ってくれたからと、そのままもらってしまうと、贈与税がかかります。
贈与税は、たとえば500万円だと53万円、1000万円なら231万円と高額ですし、さらに申告が遅れると、加算税や延滞税がかかる可能性もあるので気をつけましょう。
借りる場合は証拠を残す
あくまでも「借りる」ことにするのなら、贈与とみなされないようにすることが大切です。きちんと借用証書や金銭消費賃貸契約書をつくり、お互いに署名捺印して、証拠として保管しておきましょう。
また親に返済する時には手渡しにせず、銀行や郵便局などから親の口座に振り込むこと。確実に返していることを記録に残すことが大事なのです。
この場合の利息や返済期間、返済回数などは自由に決められます。ただし原則として利息ゼロは認められません。借金に利息をつけないと、「利息分の贈与」とみなされる可能性があるので注意しましょう。
それでも心配な場合は、最寄りの税務署などで条件を確認してみてください。
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