家づくり資金計画のスタートは、頭金づくりから。じっくり確実に貯めていきましょう。
「頭金なし」で家は買えるの?
銀行など民間の金融機関では、物件価格の10割(全額まで)融資してくれるところもあります。つまり頭金なしでも家は買えるのです。
でも、実際にこれを利用するのはかなり危険。住宅ローンの金額が高くなるということもありますが、それ以上に、これまで貯蓄をする習慣がなかったことが問題です。
頭金づくりには2つの意味がある
頭金を準備するのには2つの意味があります。
ひとつは住宅ローン全額を少なくすること。借り入れ金額が少ないほど、利息も少なくてすみますし、毎月の返済もラクになります。
そしてもうひとつは、貯蓄グセをつけること。今まで家賃のほかに住宅取得のために貯蓄をしてきた家計なら、住宅ローン返済が始まっても貯蓄を続けることができるでしょう。
一方、現在貯蓄がゼロの人は、これまでの家賃分を住宅ローン返済に回すことはできますが、それ以上の余裕が家計にありません。将来必要になる教育資金や老後資金を準備できないのです。 この先、やりくりで苦しまないために、まずは支出を見直して、貯蓄のできる家計をつくりましょう。
諸費用に支払う現金も必要
手元に現金の余裕がないと、住宅購入時に必要な諸費用の支払いもできません。諸費用には、印紙税・登記費用・融資手数料・保証料・保険料などがあり、このほかに引っ越しや家具などのお金もかかります。
いずれも待ったなしで払わなければならないお金ばかり。貯蓄なしで住宅の購入に踏み切るのは、事実上無理といってもいいくらいなのです。
頭金はいくら準備すればいい?
一般的に、頭金は物件価格の2〜3割を準備すべきといわれていますが、これはあくまでも目安。実際に必要な額は、個々の家計によって異なります。
安心して返せる金額から算出する
資金計画を立てるときに最も重要なのは、「確実に返済できる」ということ。まず、現在の家計から安心して返していける住宅ローン全額を見積もってください。そして、希望する物件価格(+諸費用)から、その返済可能額を引いたものが準備する頭金です。
もしこの金額があまりにも多く、どう頑張っても貯められそうにない場合は、物件価格を下げましょう。間違っても、希望の物件価格にこだわって借り入れ額を増やさないこと。
またこの先、収入が増えるかもしれないなど、楽観的な見積もりをするのもよくありません。増税などで手取り収入が減ることも考えられますし、教育費などの負担が重くなることも予想できます。
今よりも家計が苦しくなっても、確実に返せる融資額を計算してください。そのうえで、予想よりも収入がアップした場合は、繰り上げ返済すればいいでしょう。
「貯蓄はコツコツ」が結局は早道
住宅購入資金を貯める方法に、残念ながら近道はありません。早く増やしたいからと、大きく儲けられそうな株などに投資すると、損をしてかえってマイホームが遠のくこともあります。 安全・確実に積立定期預金などでコツコツ増やしていきましょう。
MMFなどの投信積立や個人向け国債(3年)は比較的リスクが少ないので、検討してもいいでしょう。 また財形制度のある会社に勤めているならば、財形住宅貯蓄を利用すると便利です。
住宅購入資金として使うと、一定額の元本に対する利息が非課税になります。給与天引きで貯まっていくので貯蓄が苦手な方にもおすすめです。
頭金の計算方法
1.将来の住居費にあてられる金額を出す
今の家計から、将来ローン返済にあてられる年間の金額を計算します。基本は「現在家賃として払っている費用」+「住宅資金用に貯蓄している金額」ですが、将来の教育費のことなども考慮に入れましょう。
現在の住居費(家賃等)年間( )万円
+
現在の年間貯蓄額のうち住居費に回せる金額・年間( )万円
‖
( 〈A〉 )万円
2.住宅の維持費を差し引く
住宅の維持費(固定資産税など)を、1で計算した金額〈A〉から差し引きます。一戸建ての場合は、年間で15〜20万が目安。
〈A〉 ( )万円-住宅の維持費・年間( )万円
‖
( 〈B〉 )万円
3.返済できる期間を出す
住宅ローンは定年までに完済するのが原則です。最長で何年間借りられるかを計算しますが、それよりも早く返したい人は、その年数を〈C〉にします。
定年の年齢( )歳-返済開始時期の年齢( )歳
‖
( 〈C〉 )年
4.金利別の借り入れ可能額をチェックする
下の表は、年間返済額100万円あたりの借り入れ可能額です。利用すると住宅ローンの金利と、自分の返済額〈C〉の交差するところを探します。
年間返済額100万円あたりの借り入れ可能額早見表 (単位:万円)
金利 |
20年 |
25年 |
30年 |
35年 |
2.5% |
1572 |
1857 |
2109 |
2331 |
2.6% |
1558 |
1836 |
2081 |
2296 |
2.7% |
1544 |
1816 |
2054 |
2262 |
2.8% |
1530 |
1796 |
2028 |
2229 |
2.9% |
1516 |
1776 |
2002 |
2197 |
3.0% |
1502 |
1757 |
1976 |
2165 |
3.1% |
1489 |
1738 |
1951 |
2134 |
3.2% |
1475 |
1719 |
1926 |
2103 |
3.3% |
1462 |
1700 |
1902 |
2074 |
例えば、〈C〉が25年で、金利3%のローンを利用する場合、交差する数字は1757万円です。 ※表の金利は少し高めの金利にしてあります。そのほうが、より安全な金額になるからです。
5.返済可能額を計算する
4の表の金額は、年間返済金額100万円あたりの借り入れ可能額なので、自分の年間返済可能額〈B〉を100万円で割った数字を、表の金額にかけます。
④の金額( )万円×{〈B〉( )万円÷100万円}
‖
( 〈D〉 )万円
6.物件価格の差額を出す
5で出てきた〈D〉と物件価格との差額が、頭金として準備すべき金額です。
購入希望物件( )万円-〈D〉( )万円
‖
( )万円
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