夏の冷房にエアコンを使ったり、冬の暖房にオイルヒーターを使ったりすると、電気料金が高くなってしまうことがあります。必要のないときに、こまめにスイッチを切ったりすることで節約している人も多いのではないでしょうか。電気料金を節約するには、いくつか方法がありますが、その1つが「契約アンペア数を見直す」というものです。この記事では、アンペアの意味と確認方法に触れた後で、シミュレーターを使って必要なアンペア数を算定する方法と変更の際の注意点を紹介します。
1.アンペアってなに?電気を理解するための基礎知識
アンペアとは?
電気の話をするときには、さまざまな単位が出てきます。アンペアもその1つです。
電気を測るときには、2つの指標を使って表現します。電気を「流すための力の大きさ」と「流れる量」です。
電気を流すための力を「電圧」とよび、その単位は「ボルト(Voltage, V)」で表します。日本では家庭用電源の電圧は一般的に100Vで、工場などでは200Vを超える電圧が使われています。
一方、電気が流れる量は「電流」とよび、その単位は「アンペア(Ampere, A)」で表すのです。家庭用では電気を使う量に合わせて、20Aや30Aなどを契約で選ぶことができます。
電力は電圧と電流の積に等しい
このような電圧と電流の関係は、電気が仕事をする力である「電力」で示すことができます。電力の単位は「ワット(Watt, W)」で、電力(W)は電圧(V)と電流(A)の積に等しくなります。この関係から、それぞれの値を求めることができるのです。
たとえば、自宅で消費電力が1500Wのドライヤーを使っているとしましょう。このとき、日本の一般家庭の電圧を100Vとすれば、1500Wを100Vで割ると10Aになるため、10Aの電流が流れているといえます。実際には、電流の値は機器によって異なる「力率」という係数が関係しますので、この値は目安と考えましょう。
電気量の単位はワットアワー
以上の関係から、使用電力量を計算することができます。電力量には「ワットアワー(Wh)」という単位を使います。電力量(Wh)は、電力(W)と使用時間(h)の積と等しくなるのです。
たとえば、50Wの電球を1時間使用したときには、消費電力量として50Wと1時間の積となり、50Whになります。この電球2つを10時間使用したとすると、50Wの2倍で100Wとなり、それに10時間を掛けると1000Whです。Whの1000倍がkWh(キロワットアワー)なので、この場合は1kWhの消費電力量と表現します。
なお、電力会社からの「電気のご使用量のお知らせ」などでは、電気使用量の単位はkWhで記載されています。
2.アンペア数はどこをみれば確認できるの?
電力料金を決めるための要素の1つが「アンペア数」です。アンペア数は契約のときに決めます。確認する方法は主に2つあります。
①分電盤のチェック
1つ目は、分電盤のチェックです。分電盤とは外から配電された電気に対して、安全に使うための工夫がされた配電盤です。漏電したときに自動的に電気を遮断して火災などの事故を防止する「漏電遮断器」と、電気の使いすぎのときに起こる過電流を防ぐ「配線用遮断器」などで構成されています。
なお、電力会社や契約種別などにより、実際に設置される分電盤では、形状や構成が異なる場合があります。
●「アンペアブレーカー(リミッター)」が取り付けられているタイプ
「アンペアブレーカー(リミッター)」が取り付けられているタイプの分電盤であれば、契約アンペア数の数字の確認が可能です。
また、会社によってはアンペア数ごとに振り分けられた色が塗られていることがあります。アンペア数と色の関係は電力会社により異なります。
〈東京電力〉
たとえば、東京電力の場合、7種類の契約アンペア数から選択可能です。小さいものから、10A(赤色)、15A(桃色)、20A(黄色)、30A(緑色)、40A(灰色)、50A(茶色)、そして、60A(紫色)です。これが、北海道電力になると部分的に東京電力と異なり、10A(黒色)、15A(黄色)、20A(青色)、30A(赤色)となります。
〈中部電力〉
また、中部電力では10A(赤色)、15A(茶色)、20A(黄色)、30A(緑色)、40A(青色)、50A(紫色・緑色)、そして、60A(灰色・黒色)です。九州電力では、10A(灰色)、15A(赤色)、20A(黄色)、30A(緑色)、40A(茶色)、50A(青色)、そして、60A(白色)となります。
なお、東北電力や北陸電力ではアンペア数自体は7種類から選べますが、ブレーカーの色分けがありません。
②「電気ご使用量のお知らせ(検針票)」を見る
2つ目は、「電気ご使用量のお知らせ(検針票)」を見る方法です。東京電力の場合、この検針票は「電気料金等領収証」と一緒になっています。アンペア数はどの部分に書いてあるかといえば、「ご契約種別」の下にある「ご契約」のところです。
ちなみに、電気使用量の基本料金は、このアンペア数によって決められています。たとえば、東京電力の基本料金は、10Aで280.80円、30Aで842.40円、60Aで1684.80円です。これは、1Aあたり28.080円の整数倍になっています。
3.適正なアンペア数を選ぶにはシミュレーターが便利
契約の際に選ぶアンペア数とは、別のいいかたをすれば、同じタイミングで使える電気の量のことです。年間を通じて、複数の電気機器を同時に最も多く使用する時期を基準に考えるとよいでしょう。
たとえば、冷房や暖房を使っている時期の夕食の準備の時間帯などです。これは家族の人数構成などで大きく異なります。電力会社のサイトに用意されている、アンペア数計算のシミュレーターなどを使ってみると、実際に使う状態に近いアンペア数がわかるでしょう。
東京電力ウェブサイトでは?
東京電力ウェブサイトには「でんきシミュレーションわが家のアンペアチェック」ページが設けられています。アイコンを使った分かりやすいインターフェイスで、合計使用容量の計算ができるようになっているのです。主な家庭用電化製品について表になっているので、実際に使っているもののスペックを調べて入力するのです。
たとえば、エアコンであれば、まず、「容量の目安」として冷房時、暖房時の数値が示されています。次に、「実際の容量」としてプルダウンリストから数値を選ぶのです。最後に、「台数」のプルダウンリストから同時に使用する可能性のある台数を選びます。この表にないものについては「その他」の項目で、アンペア数を合計して入力します。
すべて入力し終わったら、ページの下にある「シミュレーションスタート」ボタンを押しましょう。すると、結果が表示されます。結果と同時に7種類の契約アンペア数の一覧表も表示されますので、一目瞭然に契約すべきアンペア数がわかるという仕組みです。
4.アンペアの変更方法と注意点とは?
契約アンペアを変更する際には、電力会社のカスタマーセンターに連絡することになります。主に電話が窓口になり、オペレーターに直接依頼するのですが、電力会社によっては、インターネットやFAXからの申込みも受け付けていることがあります。
●工事のために、在宅可能な日時を指定する必要性
なお、アンペア変更は、申し込んだからといってすぐに完了するものではありません。まず、契約アンペアに適合したアンペアブレーカーに取り替える工事のために、スケジュールの調整が必要となります。アンペアブレーカーを含む分電盤は室内に設置されているため、在室可能な日時を指定しなければならないからです。
●工事にかかる15分は停電してしまう
また、この工事には15分程度掛かるのですが、その間は停電してしまいます。パソコンなどは事前にシャットダウンせずに、いきなり電気が切れるとデータが消失することがあるため、確実に終了させておきましょう。
●工事費用が契約者の負担となる場合も
なお、この交換工事は基本的に料金はかからないのですが、契約内容や電気設備の状況によっては、専門業者の工事が必要と判断されることがあります。その場合、工事費用は契約者の負担となります。
●集合住宅の人は、まず管理人や管理会社に相談
アパートやマンションなどの集合住宅の住戸のアンペア変更に際しては、まず管理人や管理会社に相談しましょう。分電盤の管理責任を確認する必要があります。
5.電気代を節約したいなら電力会社の変更もおすすめ
シミュレーションを行って、契約アンペアを算出したところ、必要以上のアンペア数になっていることが判明したとします。この場合、より小さなアンペア数に下げると、基本料金は安くなります。
ただし、使用する電力量料金を含めたトータルの電気代が安くなるかどうかは、一概にはいえません。なぜなら、電力使用量は時期や季節により変動するからです。また、消費電力の大きな家庭電化製品に買い替えた場合などは、逆に料金が上がってしまう可能性もあるのです。
電気代の節約が目的であれば、契約アンペアの変更と同時に、電力会社の変更も検討してみましょう。電力自由化にともない、さまざまなライフスタイルに合った契約も利用できるようになっています。気になるサービスがあれば、見積もりを取ってみることをおすすめします。
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