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コラム

【涙あふれる猫実話】「僕ももう一度、がんばってみようかな」暗いトンネルから息子を救い出した子猫

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【涙あふれる猫実話】「僕ももう一度、がんばってみようかな」暗いトンネルから息子を救い出した子猫

コロナ禍で人々の在宅時間が増えたことにより、ペットブームが到来中です。とくに室内で飼うことができる猫の人気は高いそう。毎日に癒しとぬくもりを与えてくれる猫たちは、飼い主にとって家族同然ですよね。

ツンデレっぷりに振り回されながらも、その絶妙な距離感がまた心地良かったりして…。生きることに神経質にならざるを得ない昨今、猫から心のやすらぎや生きていく力をもらったという人はたくさんいます。

そんな猫たちとの暮らし、出会いや別れ、猫同士の愛情など、17本の実話を収録した『猫がいてくれるから』という本の中から、心温まるエピソードを1本ご紹介します。

今回は、子猫の世話を通じて自分を取り戻した青年と、見守った家族。そして、弱々しかった自分を一生懸命世話してくれた青年を、成長した今でも特別に思っている猫のお話です。

「息子を暗闇から連れ出した覚馬」

落ち葉に埋もれていた子猫と運命の出会い

そのころの私たちは、暗いトンネルの中にいるようでした。次男はいわゆる進学校に通っていました。けれど、しだいに成績が下がり、学校に行く回数も減っていきました。

3年生のときの担任の先生のご尽力で卒業はできたものの、大学受験は失敗。このころになると、本人もすっかり無気力になっていて「自分はダメな奴なんだ」と布団をかぶったまま、動けない日が続いていました。私も夫も、次男に対して腫れ物を扱うように接していたと思います。

本人も、内心では「これではダメだ」と思っていたのでしょう。しばらくして、私が見つけてきた塾に通い始めました。個人経営の塾で、学校を中退した子など、ちょっとワケありの子を受け入れているところでした。

やりたいこともないし、暇つぶしになるならいいか。たぶん、本人はそんな気持ちだったのだと思います。外に出る気持ちになってくれたのはありがたいことでしたが、このままでいいのかという不安はつきまとっていました。

しばらくたって、ふと気がつくと、次男は意外に熱心に塾に通うようになっていました。 なにげなく理由を聞けば、意外な答えが。「塾のななめ向かいの家に猫がいてさ。すごくかわいいんだ」。そういえば次男は昔から猫に興味があり、家で飼いたがっていました。

ただ、夫はあまり猫が好きではないし、私もフルタイムで働いています。そのため、うちで飼うのはちょっと無理だね〜と、なんとなくスルーしたままになっていました。

「本当にすっごくかわいいんだ。お母さんも見てきなよ」。その猫は窓辺によくいるそう。行ったからといって見られるとは限りませんが、次男のせっかくのすすめをむげに断るわけにもいかず、私は自転車を走らせました。

目的の家の前に到着するも、次男から聞いた窓際に猫はおらず......。「行ったけどいなかったよ」と言えばいいか。そう考えて、自転車の向きを変えました。スーパーで買い物をしてから帰ろうと思ったのです。

走り出した瞬間、排水溝に溜まっていた落ち葉がモゾッと動いた気がしました。え、なんで落ち葉が動くの!?普段の私なら、ちょっと気になっても、わざわざ戻って見たりしなかったでしょう。でもその日の私は、なぜか素通りできませんでした。

自転車を止めて戻り、濡れた落ち葉をかき分けました。出てきたのは、手のひらの上にのるほどの小さな小さな子猫でした。

濡れた落ち葉に埋もれていた子猫は体が冷たくなって、小刻みに震えていました。片目は目やにで閉じていて、もう片方の目は白くなっています。 このままでは死んでしまうかも。

私は子猫を抱えて、近くにあった動物病院に駆け込みました。獣医さんがとても親切で、子猫の診察のあと、目薬といっしょに、子猫用の離乳食なども分けてくれたのです。「これも何かの縁だから、ぜひ飼ってあげて」という言葉とともに。 

子猫の世話を通じて自分を取り戻していった息子

帰宅途中、私は子猫に「覚馬(かくま)」と名づけました。 以前、片目の猫を拾った友人が、大河ドラマの隻眼の登場人物にちなんで名前をつけていたことを思い出したのです。私もそれにならい、当時放送していた大河ドラマ『八重の 桜』の登場人物、山本覚馬から名前をもらいました。

山本覚馬は主人公・八重の兄で、途中失明してしまいますが、へこたれずに幕末〜明治の激動を生きた人物です。もしこのまま子猫の目が見えなかったとしても、「覚馬」という名前があればきっと強く生きていける。そう思っての命名でした。 

自宅に連れ帰った子猫を見て、次男はとても喜びました。「目が見えないかもしれない から〝覚馬〟と名づけたよ」と伝えると、「それがいい、それがいい」とはしゃぎました。

久しぶりに明るい顔を見せた次男に、猫が苦手の夫も何も言えません。 とはいえ、共働きの我が家で、どうやって覚馬のお世話をしようか。 頭を悩ませる私に、次男がきっぱりと言いました。「僕が世話をするから」 

皆さんもご存じのとおり、子猫の世話は大変です。 午前中に塾に行き、お昼ごろにいったん帰宅して覚馬のミルク、トイレの世話。午後また塾に行って、夕方に帰ってきたらミルク、トイレの世話と、次男は忙しく動きました。

体温調節や、危険なものがそばにないかの確認。ごはんをきちんと食べているかのチェック。さらに、日増しに元気になる覚馬の遊び相手まで。次男はよくがんばっていたと思います。 獣医さんの指示どおり、目薬も毎日さしていました。その甲斐あってか、1カ月ほどた つと、失明も覚悟していた覚馬の両目はきれいに開きました。

そのころ、次男がぽつりと言ったんです。「お母さん、僕もこうやって大きくなったのかなぁ?」。 毎日毎日、たくさんの時間を覚馬に費やした次男は、〝ひとつの命を育てる〟ということについて思うところがあったようです。 私はひと言、答えました。「そうだよ」「ふ〜ん......」次男から返ってきたのもひと言でした。 

このとき次男の胸にどんな想いがあったのか、私にはわかりません。でも、この会話があってから、次男は明らかに変わりました。「僕ももう一度、がんばってみようかな」そう言い出して、覚馬の世話を続けながら、勉強にも力を入れ始めたんです。そうして1年後。次男は見事に大学に受かりました。

幼い頃ころ一生懸命お世話をしてくれた息子は覚馬にとっても特別な存在

あれから7年。 落ち葉に埋もれて震えていた小さな子猫は、立派な体格の男の子になりました。 次男は、大学卒業後にひとり暮らしを始めました。家を出て行くとき、「独立はしたいけど、向こうには猫がいないんだよな〜」とブツブツ言っていました。

子猫のころに次男が献身的にお世話をしたおかげか、今でも覚馬の爪切りは次男しかできないんです。私や夫がやろうとすると暴れてしまったり、ときには指をパクッと噛んできたり......。

だから爪が伸びてくると、「覚馬の爪を切ってほしいんだけど」と次男に連絡します。 次男は「しかたないなあ、もう」と口ではおっくうそうなふりをしつつも、いそいそと 帰ってきてはパチンパチンと爪を切っています。

覚馬は、「爪切りはイヤだけど、兄ちゃんがやってくれるならしかたないかぁ」みたいな顔でおとなしくしています。今でも、次男は覚馬にとって特別な相手のようです。 

苦手な猫をなりゆきで飼うことになった夫も、すっかり覚馬にメロメロ。今では遊び友だちのような関係になりました。覚馬は物陰に隠れていて、通りかかった夫に飛びかかっておどかすのが大好き。何度もやられているのに、毎回新鮮なリアクションを返してくれる夫相手の遊びが楽しいようです。

私の場合は、飛びかかられても「あら、来たの?」ですませてしまうので、覚馬にはやりがいがないようです。ほとんどターゲットにされません。

新型コロナウイルスが広がってからは、我が家でも在宅勤務が始まったり、外出を自粛したり。夫婦だけだと会話もなくなってきますよね。でも覚馬のことなら、いくらでも話せるんです。夫と2人でずっと家にいてもイライラせずに過ごせるのは、覚馬のおかげです。

それに、覚馬はとっても頼れるんです。いつもはマイペースで、ちょっと噛みグセもあって、家でいちばんいばっていますが、私が疲れているときは、静かにそばにいてくれます。私の顔を見つめて、まるで話を聞いてくれるよう。本当に心があたたかくなります。覚馬は私たちみんなの大切な灯りなんです。 

あの日、私は次男の言葉を受けて、普段は使わない道を通りました。いつもなら気にとめないような落ち葉の動きに、どうしてか引かれました。そうして覚馬に巡り合ったのです。

この話を、猫を飼う皆さんにすると「猫に呼ばれたんだね」と言ってくれます。もしそれが事実なら、私はあのとき覚馬に呼ばれて本当によかった!次男の心を溶かし、我が家にあたたかさをもたらしてくれた灯り。これからも覚馬との生活を楽しんでいきたいと思います。

Profile
名前/覚馬 
年齢/ 7歳 
性別/オス 
種類/ミックス(白黒のハチワレ) 
性格/好奇心旺盛 ・人は好きだけどベタベタされるのは苦手 
特技/家族にいばること

好きなもの/猫じゃらしのおもちゃ ・お父さんを物陰からおどかすこと

「涙あふれる猫実話」は他にもこんな素敵なお話があります!
▶「涙あふれる猫実話」認知症の母と愛猫ぎんちゃんがつむいだ絆
▶︎「涙あふれる猫実話」ようやく通じ合えた路地裏子猫「さくら」との早すぎる別れ

猫を愛するすべての人の心に響く17話のエピソード集

 

 

主婦の友社の会員サービス「@主婦の友(アトモ)」に寄せられた、思い切り泣ける、ほっこりなごめる、17の実話を収録。出会ってからお別れのときまで、猫とのかけがえのない日々のエピソードばかりです。

■猫がいてくれるから

 

フリーライター/小学生男児の母

出産前は女性ファッション誌の編集&ライターをやっていました。

現在は、暮らし全般、ファッション、美容などのコラム執筆が中心。
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