ジャムなどの保存食を用意するときや、赤ちゃんの哺乳瓶を洗ったあとなどに行なう「煮沸消毒」。ちょっと面倒だな~と思ったことはありませんか?
「そもそも煮沸消毒って必要なの?」、「どんな効果があるの?」、「正しい方法は?」といった煮沸消毒にまつわる素朴な疑問をここで解決しておきましょう!
煮沸消毒とは?
保存食を作ろうとしてレシピを見ると、「煮沸消毒をした容器に…」といった説明書きを見かけることがありますよね。この「煮沸消毒」とは、鍋でお湯と容器をぐらぐらと煮立てることで容器に付いている細菌をやっつける方法のことです。
細菌の多くは熱に弱いため、アツアツの湯のなかで煮立てることは消毒するために有効と考えられています。
消毒するにはほかにも洗剤や薬剤を使う方法がありますが、その方法では洗剤などをわざわざ買わないといけません。
その点、煮沸消毒なら鍋と水があればOKなのでコスパも◎。しかも薬剤に比べて安全性が高いのもうれしいポイントです。
ちなみに、煮沸消毒と似たような方法に、「熱湯消毒」がありますよね。
熱湯消毒は、ヤカンなどで沸かした熱湯を容器にザザーッとかける方法。煮沸消毒よりも手軽ではありますが、殺菌効果は煮沸消毒よりも低くなることがあると言われています。
煮沸消毒は必要?
食品を入れる容器は、しっかりと洗剤を使って洗いますよね。ただ、キレイに洗ったつもりでも、目に見えない細菌やウイルスが残っていることがあります。
細菌は温度や栄養分などの条件がそろうと増えてしまい、中に入れる食品を腐敗させる原因に。ですので、比較的長く保存するような食品の容器は、面倒でも煮沸消毒をしておきたいもの。
とくに煮沸消毒をしておきたいのが哺乳瓶です。と言うのも、赤ちゃんは生後6カ月ごろまではママから免疫を受け継いでいると考えられていますが、6カ月ごろからは赤ちゃん自身の免疫になります。
そうなると、細菌やウイルスから身体を守る力がやや弱く、病気になったり発病すると重症化したりする可能性が高いのです。
また、赤ちゃんが母乳や粉ミルクを飲み終えたあとの哺乳瓶には、吸い切れなかったものがわずかに残ってしまいます。
母乳や粉ミルクには栄養がたっぷり含まれているので、細菌が増えやすくなります。
赤ちゃんの健康を守るために、哺乳瓶はしっかりと煮沸消毒をしてあげたいですね!
煮沸消毒の効果は?
食中毒を起こす原因になる細菌やウイルスは、そのほとんどが高温に弱いもの。例えば腸炎ビブリオなら65℃で5分間加熱すると死滅し、病原大腸菌なら75℃で1分間加熱すると死滅します。
ただし、煮沸温度や時間については細菌の種類によっても異なり、セレウス菌など一部の微生物は煮沸消毒が効かないことも。
それでも、大部分の菌やウイルスをやっつけられるのですから、効果は大きいもの。実際に殺菌方法として、医療機関でも煮沸消毒が取り入れられています。
では、煮沸消毒の効果を上げるために注意したいことや、加熱時間や正しい方法について、さらに詳しく見ていきましょう。
煮沸消毒の注意点が知りたい!
煮沸消毒については、いくつか注意したいポイントがあります。おさらいしておきましょう。
◎よく洗ってから行なう
容器に汚れが残っていると、消毒効果が落ちてしまいます。消毒したい容器はあらかじめ洗剤でよく洗ってから煮沸消毒をしましょう。
◎耐熱性があるか素材かどうか
耐熱性のないものを煮沸消毒するのは危険。保存容器としてガラス瓶を買うときには、パッケージや瓶底の記載をチェックして、耐熱性があることを確かめておくとよいでしょう。
また、密閉容器に付いているゴムパッキンなどは長時間煮沸すると変形・劣化することがあるので、沸騰後は1~2分で取り出すのがおすすめ。
◎水から温めるor沸騰してから投入する
耐熱性のある素材でも、周りの急激な温度変化には耐えられないことも。ガラス瓶を煮沸消毒するときは、必ず鍋に水と消毒する容器を入れて、この状態から熱を加えていくようにします。
一方で、プラスチックなどは鍋の温度変化によって変形することがあるため、お湯が沸いてから入れます。
このように、素材によって投入のタイミングに違いがあるので、ちょっと注意したいところ!
◎お湯はねでヤケドをすることも!
煮沸消毒中や容器を取り出すときには、鍋からお湯がはねてしまうことも。とくに赤ちゃんなど小さな子どもがいるご家庭では、煮沸中は子どもから目を離さないようにするとよいでしょう。
◎自然乾燥させる
水滴が残っていると雑菌がわく原因になるので、煮沸消毒を終えたあとはしっかりと自然乾燥をさせます。瓶は逆さに置くなど水切れしやすい状態で、清潔なふきんや水切りかごなどの上に置いておきましょう。
煮沸消毒の時間はどれぐらい?
「煮沸消毒はどれくらいの時間加熱すればよいの?」といった課題については、いろいろな考え方があるようです。目安としては、農林水産省のホームページにて、「厚生労働省や都道府県が推奨するもの」として次のような条件が提示されています。
◎ガラス容器を使う場合の煮沸消毒時間
・100℃で30秒間
・90℃以上で5分間以上
・80℃で5分間以上
・75℃以上で15分間以上
・沸騰してから5分間以上
家庭でお湯の温度をきちんと測ることは、なかなかしないですよね。ですから、容器自体が熱に耐えられるのであれば、上の条件のなかでも温度が高い「沸騰してから5分以上」という加熱時間を目安として覚えておいてはいかがでしょうか。
もちろん、購入した保存容器に煮沸時間の説明書きなどがあれば、そちらを十分参考にしてみてくださいね。
容器別の煮沸消毒の方法が知りたい!
最後に、煮沸消毒の一般的な方法についてまとめました。ガラス瓶、プラスチック容器、哺乳瓶、ふきん、まな板、鍋の6種類について、それぞれ手順をご紹介します。煮沸時間については、さきほどお伝えしたものを目安に調整しましょう。
◎ガラス瓶の煮沸消毒
<用意するもの(共通)>
鍋(大きめのもの)、トング、キッチンペーパーや清潔なふきん、消毒をしたいガラス瓶
<手順>
(1)ガラス瓶の本体とフタを洗剤でよく洗います。
(2)フタを外した状態でガラス瓶とフタを鍋に入れ、ガラス瓶がかぶるまで水を入れます。
(3)強火にかけて沸騰させ、グラグラと煮立った状態を数分キープ。
(4)火をとめ、トングでガラス瓶とフタを取り出し、キッチンペーパーやふきんの上に置いて乾燥させます。
◎プラスチック容器の煮沸消毒
プラスチック容器は耐熱温度を確認してから煮沸消毒をすること。耐熱温度が100℃以上なら、下記の方法で煮沸消毒を。耐熱温度が100℃以下の場合は、熱湯をかける、アルコールスプレーで消毒するなどの方法を。
また、プラスチック容器は食品を長期保存するのには向かないので、長期保存する場合は、やはりガラス容器などを使用したほうがよいでしょう。
<用意するもの(共通)>
鍋(大きめのもの)、トング、キッチンペーパーや清潔なふきん、消毒をしたいプラスチック容器
<手順・耐熱温度が100℃以上の容器の場合>
(1)プラスチック容器本体とフタを洗剤でよく洗います。
(2)鍋にプラスチック容器がかぶるくらいの水を入れ、強火にかけます。鍋底は水温よりも高温になるため、ふきんなどを底に敷いて、容器が直接鍋底に触れないようにするとより安心。
(3)沸騰したら、フタを外した状態でプラスチック容器とフタを鍋に入れ、煮立った状態を数分キープ。
(4)火をとめ、トングでプラスチック容器とフタを取り出し、キッチンペーパーやふきんの上に置いて乾燥させます。
◎哺乳瓶
※哺乳瓶によっては、煮沸ができない素材であったり、煮沸時間が異なることもあるので、哺乳瓶のパッケージや説明書をよく読んでから行ないましょう。
<用意するもの(共通)>
鍋(大きめのもの)、トング、キッチンペーパーや清潔なふきん、消毒をしたい容器
<手順>
(1)哺乳瓶の本体と、キャップなど各パーツを洗剤でよく洗います。
(2)各パーツを外した状態で哺乳瓶本体と各パーツを鍋に入れ、水をたっぷり入れます。
(3)強火にかけ、沸騰させます。グラグラと煮立った状態を数分キープ。
(4)火をとめ、トングで哺乳瓶本体と各パーツを取り出し、キッチンペーパーやふきんの上に置いて乾燥させます。
◎ふきん
<用意するもの(共通)>
鍋(大きめのもの)、トング、消毒をしたいふきん
<手順>
(1)ふきんを洗剤でよく洗います。
(2)ふきんを鍋に入れ、かぶるまで水を入れます。
(3)強火にかけて沸騰させ、グラグラと煮立った状態を1分ほどキープ。
(4)火をとめ、トングでふきんを取り出し、水ですすいで絞り、ハンガーなどにかけて乾燥させます。
◎まな板
まな板が入るほどの大きな鍋がない場合は、次のように熱湯をかける方法がおすすめです。
<用意するもの(共通)>
鍋やヤカン、トング、消毒をしたいまな板
<手順>
(1)まな板を洗剤でよく洗います。
(2)鍋やヤカンに水を入れて火にかけ、沸騰したら熱湯をまな板にかけます。
(3)まな板を立てて置き、自然乾燥させます。
◎鍋
鍋ひとつがすっぽり入る、大きな鍋があれば、ガラス容器などと同様に煮沸消毒ができます。鍋が大きくてまるごと煮沸ができない場合は、熱湯消毒などをするとよいでしょう。いずれにしても、鍋についた汚れをよく取り除いておくことが大切!
まとめ
煮沸消毒は家庭にあるものですぐにできて効果が高い、コスパ抜群の消毒方法ですよね。安全に行なうために、また効果を高めるためのいくつかの注意点は守りながら、これからも暮らしに煮沸消毒を役立ててくださいね。
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文/北浦芙三子
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