毎月の光熱費、家計を圧迫していませんか? 領収証を見ながらもう少し削れたらいいのにと思いつつ、どんな工夫をしたらいいか、わかりませんよね。そこで、かつて一世を風靡した人気番組「TVチャンピオン」で2002年にス−パー家電通選手権で優勝した中村剛さんに、電気代の節約法を伺いました。
中村さんは現在、東京電力エナジーパートナー株式会社で、家電を暮らしの中でどう使うかの情報を発信しています。
小さい冷蔵庫は電気代を損する?
暮らしニスタ(以下、暮らし):中村さん、今日は家の中で電気をたくさん使っていそうな冷蔵庫について、教えてください。まずは、冷蔵庫ですがどうやったら節電できますか?
中村さん(以下、中村):冷蔵庫は365日、1日中稼働していて、電気代がかさむイメージを持っている人が多いですよね。ところで、皆さんのお宅の冷蔵庫は何年前に買ったか覚えていますか? 内閣府の消費動向調査によると冷蔵庫の平均使用年数は11.3年ですから、10年以上使っている人も多いと思います。
実は10年前の冷蔵庫と、今販売されているモノでは、断熱性能がぜんぜん違うんですよ。とくに、容量400ℓ以上の大型タイプでは省エネが進んでいます。次のデータを見てください。
暮らし:わっ!容量が500ℓ以上あるのに、消費電力はいちばん小さいんですね。これはどうしてですか?
中村:よく気がつきましたね。これが今売られている冷蔵庫の傾向です。これは断熱材の性能が進化しているためです。容量400ℓとか500ℓといった上位機種は、断熱材も最新のものが使われているのです。
一方、容量が小さい冷蔵庫には、最新の断熱材はあまり使用されません。コストが上がるのを避けるためです。それで断熱性が悪くなり、消費電力が大きくなるのです。
4人家族の必要容積は450ℓ
暮らし:ここまで差があるとはびっくりしました。大型のほうが電気代は安くなるんですね。でも、ここまで容量が必要ない人もいるのでは?電気が無駄になりませんか?
中村:各家庭の冷蔵庫の必要容積の目安は次のように計算してください。
家族数×70ℓ+(常備品100~150ℓ)+予備70ℓ
夫婦+子ども2人なら450~500ℓになりますね。最近は共働き家庭が増えていますから、週末にまとめ買いをすることも多いでしょう。まとめ作りした常備菜や、正月のおせち料理、ママ友からのいただきものなども余裕をもって保存できたほうがいいので、このくらいはあったほうがいいと思います。夫婦2人でも大型を選ぶことをおすすめします。
それに冷蔵庫内は空間があいていてもいいんですよ。空気は食材に比べて熱を蓄えにくいので、電気代にはあまり響きません。狭いところにギューギューに詰め込むと、置き場所によっては、冷気の循環が悪くなり凍ってしまったり冷えにくくなってしまうこともあります。また、隙間があったほうが、入っている食材が見えやすいので、賞味期限切れで食品ロスになるということも減るでしょう。
暮らし:暮らしが変化しているから、容量も大きいほうが合っているんですね。でも、今ある冷蔵庫のスペースに置けるか心配です。
中村:断熱材の性能が上がり、大型冷蔵庫のスリム化、コンパクト化がますます進んでいます。しかし、設置場所の制約があるのは事実ですから、購入時に、特に横幅は注意して計測して下さい。メーカー仕様では左右は各5mm空ければ良いのです。
最上位機種でなくても節電になる
暮らし:価格はどのくらいなのですか?
中村:容量400~500ℓの冷蔵庫は実勢価格が30~40万円くらいします。確かに高いですよね。
しかし、これは新機種が出たばかりの時点での値段です。1年間かけて価格もこなれてきますので、新製品と入れ替わる秋に最安値になります。夏のあいだに目星をつけておき、在庫がある秋口に価格交渉をするのがコツですね。
ところで最近の冷蔵庫の電気代って、いくらか知っていますか?1年間で1万円もしないくらいなんです。スマホに毎月払っている金額と比べると少ないでしょう?
冷蔵庫は省エネの技術が10年前よりもグンと進んでいるので、最高機種を買わなくてもある程度は省エネになります。ですから、最上位機種より少し安い・小さいモノを選ぶことになっても、今より節約ができます。カタログや店頭で容積と消費電力をチェックしながら、予算と置き場所に合ったものを選んでくださいね。
構成・文/福本千秋
写真 © polkadot - Fotolia.com、© kazoka303030 - Fotolia.com
【中村 剛さん プロフィール】
東京電力エナジーパートナー株式会社商品開発室高度化技術グループマネージャー。テレビ東京系列にて放送された人気番組「TVチャンピオン」のスーパー家電通選手権において2002年に優勝。「くらしTEPCO」の中で家電製品の情報を一元管理できるコンテンツ「家電アシスト」の開発も担当している。節電や家電について、わかりやすく実践的な解説に定評があり、多くのメディアに登場。「暮らしニスタ」ではGOUさんとして家電に関する記事を投稿中。
暮らし TEPCO https://www.kurashi.tepco.co.jp/
中村さんが語る「冬場の節電!エアコンの暖房コスト」も見る
https://kurashinista.jp/column/detail/27281480679787
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