一戸建てには木造や鉄骨造、RC造などさまざまな工法があり、それぞれ特徴が異なります。
なかでも日本では圧倒的に木造住宅が人気。
家づくりの際に検討する人も多いのではないでしょうか。
そこで気になるのが、木造住宅のメリットやデメリットです。
「木造住宅の耐震性は 」「建築費用は高い 安い 」「間取りやデザインの自由度は 」などの素朴な疑問のほか、「寿命の長い家ができるの 」についても知りたいところですよね。
ここでは、木造住宅を検討するときに押さえておきたい基本ポイントをまとめました。
木造住宅にはどんな種類があるの?
木造住宅には、おもに木造軸組み工法( 在来工法 )と2 ×4 ( ツーバイフォー )工法という2 つの種類があります。まずはその特徴から見てみましょう。
木造軸組み工法( 在来工法 )
柱や梁、桁( けた )などの部材で建物の骨組みをつくる建て方です。
設計の自由度が高いので、大きな窓や広くて開放的なリビングなど、好みの空間づくりができ、狭小地や変形敷地での家づくりにも向いています。
ほかの工法に比べて壁を移動させやすく、増改築しやすいのもメリットのひとつです。
在来工法についてはこちらの記事も参考に。
2015.12.07日本に古くからあり、戸建て住宅の工法としては最も多いのが、木造軸組み工法。「(木造)在来工法」とも呼ばれており、コンクリート基礎の上に木の柱や桁、すじかいなどを組み上げて構成します。木材を多用するので、良質の木材に恵まれた...続きを見る
2 ×4 ( ツーバイフォー )工法
2 ×4 工法では「面( 壁 )」で建物を支えます。
壁・床・天井の6 面で構成される箱型の構造なので、地震などの力をそれぞれの面で分散して受け止められる、気密性や断熱性が高い、といったメリットを備えています。
工場生産したパネルなどを現場で組み立てることが多いため、工期が短く、職人さんの技量によるできあがりの質のバラつきも少なくなります。
ツーバイフォー工法については、こちらの記事も参考に。
2015.12.072×4(ツーバイフォー)工法は正式には「(木造)枠組み壁工法」といい、もともとは北米で発達した工法です。2×4インチ(日本では通常38mm×89mm)の構造材を組み上げて枠をつくるため、この名前がつきました。構造材の枠に合...続きを見る
木造住宅のメリット
ここでは木造軸組み工法と2 ×4 工法のそれぞれのメリットをまとめました。
国土交通省の統計によると、木造住宅の平均的な坪単価は50万円台。
鉄骨造やRC造では70万円台~になるので、
一般的に木造住宅は安く建てられる建築法といえるでしょう。
特に木造軸組み工法はプランの自由度が高いため、ローコスト住宅も実現しやすくなります。
木造軸組み工法のメリット
・狭い敷地や変形した敷地でも対応できる。
・大きな窓や広い部屋など、希望の空間づくりができる。
・将来の増改築・リノベーションがしやすい。
・和風から洋風まで幅広いデザインに対応できる。
・鉄骨造やRC造の家より坪単価が安い。
・設計自由度が高く、プラン次第ではローコスト住宅にもできる。
2 ×4 工法のメリット
・耐震性、気密性、断熱性にすぐれている。
・職人さんの技量による品質のバラつきが少ない。
・工場生産する部分が多く、工期が短い。
・和風から洋風まで幅広いデザインに対応できる。
・鉄骨造やRC造の家より坪単価が安い。
木造住宅のデメリット
次に、木造住宅のデメリットです。
木造軸組み工法のデメリットとして考えられるのは、工事がすべて現場での作業になるため、大工さんの技術力によって仕上がりにバラつきが出やすいこと。
安心して暮らすためにも、耐久性を高めて建物の寿命を延ばすためにも、
なるべく熟練した大工さんを抱えている施工業者を選びたいところです。
2 ×4 工法では、工場で加工したパネルを組み立てることが多いため、
軸組み工法に比べると品質のバラつきは少なくなります。
ただし、壁で建物を支えるために、ドアや窓の位置・大きさが制限されたり、リノベーションで間取り変更をするのが難しくなるというデメリットもあります。
木造軸組み工法のデメリット
・職人さんの技術力によって品質が左右されやすい
・ほかの工法に比べると、気密性や遮音性が低くなりやすい。
2 ×4 工法のデメリット
・開口部の位置に制限があり、大きな窓をつくりにくい。
・壁の移動が難しく、将来のリノベーションに対応しにくい。
木造住宅の地震・火事・シロアリに対する対策は?
木造住宅では本体が鉄やコンクリートではなく、構造材と呼ばれる木材になります。
そのため「木造住宅は地震や火災に弱いのでは 」「木造だとシロアリの被害は大丈夫 」といった不安の声もよく聞かれますよね。
実際はどうなのでしょうか。
住宅には建築基準法で定められた「建築確認申請」「中間検査」「完了検査」などの手続きを行う義務があり、それをクリアしなければ建てることはできません。
つまり、こうした手続きを経て完成した建物であれば、一定の耐震性や防火性、耐久性などは保証されているといえます。
とはいえ「自分たちでチェックできる対策があれば知りたい! 」というかたのために、ここでは木造住宅の構造によく使われる木材の種類や、耐震性・耐火性・耐久性アップの工夫についてご紹介します。
木造住宅のおもな構造材
●ヒノキ、ヒバ……抗菌性が高く、シロアリや腐食に強い。土台や柱によく使われる。
●スギ……全国各地で生産される、日本の代表的な木材。柱、桁( けた )、母屋、垂木などに使われる。
●ベイツガ……やや柔らかく加工しやすい。柱、桁( けた )、母屋、垂木などに使われる。腐食にやや弱いため、土台に使う場合は防腐剤を注入した建材を使う。
●ベイマツ……強靱だが加工しやすく、くるいも少ない。腐食への強さは中程度。梁、桁( けた )、母屋、垂木などに使われる。
耐震性を高める工夫
単純な外観デザインにする
家は四角に近いシンプルな形のほうが、耐震性・耐風性・耐久性にすぐれています。細長い形状の建物は、地震や強風など水平方向からの力に弱くなりがち。また凹型の家は内側に風をはらみやすいため、それに耐えられるだけの構造的な工夫が必要になります。
耐力壁をバランスよく配置する
耐力壁とは、地震や強風などに耐えられるようにつくられた壁のこと。この耐力壁を外周にバランスよく配置することが、地震に強い木造住宅をつくるポイントになります。
日当たりなどを考えて、建物の片側だけ窓が多く、反対側は壁が多いプランにしてしまうと、壁の少ない部分が地震の際に変形し、ねじれるようにして倒壊しやすくなります。検討中の間取りプランに不安があるなら、専門家に構造計算を依頼する手もあります。
耐火性を高める工夫
火気を使わない部屋にも不燃材料を使う
建築基準法では、火気を使用する部屋( キッチンなど )では、壁と天井を不燃材料または準不燃材料で仕上げるように義務づけられています。ただ、ストーブなどの暖房器具からの出火に配慮するなら、ほかの居室も同様の建材で仕上げておくと安心です。
建物の外側にも火災に強い建材を使う
火災に強い木造住宅を考えるときは、近隣からの類焼(もらい火)に対してもしっかりした対策が必要。外壁や軒の裏側、屋根などに不燃材料や準不燃材料を使うほか、窓に網入リガラスを使うなどの方法があります。
シロアリ対策&&耐久性を高める工夫
床下の通風を確保する
木材の腐食やシロアリ被害を防ぐためには、土台の湿気対策が欠かせません。土台の施工には、床下を空気が流れるようにすき間をあける「基礎パッキン」という部材が使われますが、さらに通気性を高めるためには「床下換気口」を設けるのが効果的といわれています。
壁の内部に空気の通り道をつくる
木造住宅のなかでも、2 ×4 工法は建物が「面」で密閉されるため、冬場はあたたかい反面、もし壁体内(壁の内部)に水がしみ込んでしまうと、その水分の逃げ場がなくなってしまうことも。そこから内部の木材が傷んだり、断熱材が湿気を含んで断熱性能が下がるという事態も考えられます。
そこで効果的とされているのが、外壁材の内側に通気層を設ける「通気工法」です。
壁体内に空気の通り道ができるため、中に入った水分を早く乾燥させることができます。
木造住宅に長く住むためのコツやメンテナンス
大切な木造住宅を長持ちさせるためには、やはり定期的なチェックとメンテナンスが必要です。
ここでは住まいのスペース別に、理想的なメンテナンスやリフォームのタイミングについてご紹介します。
外壁
専門業者に依頼して、2 ~3 年ごとに汚れ、はがれ、ひび、シーリングの劣化などをチェック。15~20年で全面リフォームを検討。
屋根
5 ~6 年ごとに色あせ、ずれ、割れなどをチェック。瓦屋根は20~30年、スレート屋根は15~30年で全面リフォームを検討。
バルコニー
2 ~3 年ごとに腐食や破損をチェックして補修・塗り替え。10~15年で全面リフォームを検討。
玄関ドア、窓、網戸
2 ~3 年ごとに建てつけや不具合をチェックして補修。20~30年で取り替えを検討。
キッチン・浴室・トイレ
水漏れや詰まりはそのつど補修。設備機器や配管は15~20年で取り替えを検討。
まとめ
「間取りの自由度が高い」「ローコストにできる」など、木造住宅には魅力がいっぱい。そのメリットを生かして、強くて長く暮らせる木造住宅を建てるためには、なんといっても依頼先探しが大切です。じっくりと時間をかけて、自分たちの目で信頼度を見きわめるのが理想的です。
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