木造は主に戸建て住宅で採用されています。RC造(鉄筋コンクリート)やS造(鉄骨)に比べて加工がしやすく、前述の通り、「ライフスタイルが変わって部屋数を変えたい」といった間取り変更をともなうリフォームが容易です。
中でも在来工法の木造住宅は自由度が高く、建物を支える柱こそ移動できないものの、間仕切り壁をなくしてリビングを広くする、天井を抜いて吹き抜けを新設するといったことも可能です。
また、骨組みや柱を活用すれば、建て替えよりも解体費用や廃材処分のコストを安く抑えられるメリットもあります。
木造住宅は大きく分けて、在来工法、ツーバイフォー工法、プレハブ工法、認定工法などがあります。
工法によって性能や工期などが変わりますが、いずれもRC造やS造と比べて設計自由度が高く、手頃なコストも魅力。在来工法は“軸組”の工法、ツーバイフォー工法とプレハブ工法は“壁式”の工法で、壁式の方が工期は短めです。
最後の認定工法は、ハウスメーカーが独自に開発したオリジナル工法のこと。
上記の工法を組み合わせているケースが多いのですが、細部の構造は解体するまで分からないことが多いため、間取り変更をともなうリフォームをする際は、同じハウスメーカーに依頼することが前提となります。
中古の木造住宅を購入してリフォームを検討されている方や、新築で注文住宅を建てて将来的にリフォームを予定されている方は、あらかじめ工法の種類をチェックすると良いでしょう。
以下に、各工法の特徴をご紹介します。
日本の伝統的な建築方法として知られ、最も多く採用されている工法です。
基礎に土台をのせて柱を立て、梁を水平に渡して骨組みをつくり、柱と柱の間に斜めに筋交いを入れて補強。
軸組み全体を安定させることで、地震や風によって生じる横からの力に抵抗することができます。柱や梁などの軸で躯体を支えることから「木造軸組工法」とも呼ばれています。
かつては、柱や梁を直角に交差させて組む「仕口」や長手方向に組む「継ぎ手」で接合して軸組みを行っていましたが、現在は柱や梁の接合部を金物やボルトで補強するようになりました。
施工する大工や職人の熟練度によって仕上がりが大きく左右される工法ですが、柱や梁の入れ替えや継ぎ足し、筋交いの移動がしやすく、窓などの大きな開口部を設けやすいので、思い通りの間取りを作りやすいところが最大の魅力です。
木材で組まれた枠に構造用合板を打ち付けた壁や床によって、荷重を支える工法です。アメリカやカナダから導入され、日本では1970年代から建てられるようになりました。枠材の断面が一般的に厚さ2インチ×幅4インチであることからその名が付けられています。
在来工法が軸で重さを支えるのに対して、床・壁・天井の面で支えるのが特長。そのため、開口部の取り方にやや制約が出てきますが、柱のないすっきりとした空間がつくりやすい工法です。
面構造なので気密性に富み、高い断熱性能を持つことから「省エネ住宅」との呼び声もあります。柱の代わりに壁、梁の代わりに床や天井で支え、力を面全体に分散して受け止めるので耐震性にも優れています。
在来工法と比べて間取り変更をともなうリフォームに関しては制約が多く、抜ける壁と抜けない壁を慎重に判断できる施工先を選ぶことが重要です。
工場で前もって規格生産された木質パネルを組み立てて、壁・床・天井を組み立てる工法です。
ツーバイフォー工法が枠と合板を現地で接合するのに対し、木質系プレハブ工法はパネルを工場で生産します。
規格生産のため、品質は比較的安定していますし、現場では組み立てて接合すれば良いため、短い工期での施工が可能です。ただし、パネルは現場でクレーン車を使って組み立てるため、クレーン車が十分に稼動できるだけのスペースがないと施工は難しくなります。
また、ツーバイフォー工法と同じ壁式構造なので、大規模なリフォームを予定している際は注意が必要です。
このように木造住宅にも様々な工法があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
また、「木造は地震や火事に弱そう」という声をよく聞きますが、耐震性については、1981年の新耐震基準に続き、2000年の改正では地盤調査がほぼ必須となりましたし、耐火性についても、木造の耐火性能確保技術の進歩に合わせて、建築基準法の改正が重ねられています。
中古住宅を購入する際は「何年に建てられたのか」もチェックしながら、納得できる家探しをして下さいね。
斎藤若菜 フリーライター
ラジオパーソナリティを経てフリーライターに。住宅・インテリア・不動産分野を中心として、介護・グルメ・トラベルなどのジャンルでも執筆。リフォームや注文住宅関連の住宅情報誌をはじめ、雑誌、書籍、新聞、インターネットなどのさまざまな媒体で取材・執筆を手掛けている。ARUHIマガジンでは、「住宅購入者ストーリー」などを担当中。
【引用元記事】
https://magazine.aruhi-corp.co.jp/0000-0724/
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