軽量で耐久性のあるところから重宝され、住宅の壁面などによく見かけられるようになったガルバリウム。金属系のサイディングボードの一種ですが、「ガルバリウム鋼板」とも呼ばれ、比較的新しい外壁材として注目を集めています。
ガルバリウムとは
ガルバリウムは、鉄合金の板を、亜鉛、アルミニウム、シリコンで構成されたメッキで表面に加工を施したもの。そのため、同じ金属系でも亜鉛メッキのトタンにくらべて、サビが出にくく耐用年数が長いという特性があります。
デザイン面の特長は、モダンな雰囲気を演出できること。比較的よく見受けられる黒いガルバリウム外壁の家は、家全体がきりっと引き締まった印象が際立ちます。
また、加工性にも優れているため、シンプルな見た目のタイプから立体感のあるタイプまで、さまざまなデザインの製品が揃っています。
ガルバリウムの特徴
メリット
○耐用年数が長い
トタンの寿命が10〜20年程度とされるのにくらべて、ガルバリウムは、20〜30年近くもつともいわれています。(塩害の多い地域、工業地帯などはそれより短くなるおそれがあります)
○金属系外壁材のなかではサビに強い
特殊な表面加工が施されているガルバリウムは、金属の弱点とされるサビに強い特性をもっています。ただし、潮風や高温多湿といった気候条件や、表面のキズや錆びた釘の接触面からサビが生じることはあります。
○薄く軽量で加工性に優れている
薄くて軽い外壁材であるため、加工がしやすく施工の手間もかからない利点があります。また、軽量で壁面への負担が少ないことから、耐震性の面でも優れているという指摘もあります。
デメリット
△防音性・断熱性が低い
金属製の素材は、防音性と断熱性が弱点。雨音が家のなかに伝わりやすく、室温が上がりやすくなってしまいます。ガルバリウム自体は、ほかの金属系外壁材にくらべて低価格といわれることもありますが、断熱材の使用や壁面の防音加工を考えた場合、コストは一概に安いとは言えません。
△キズがつくと目立つ
薄い金属板を使っている車のボディと同様に、ボールなどが勢いよく当たってへこむ、または硬いものがぶつかり擦れてキズがつくと、その部分が目立ってしまいます。
△経験豊富な施工業者が限られる
比較的新しい外壁材であるため、豊かな実績と高度な技術をもつ施工業者の数が限られている面があります。下調べをおこない積極的に問い合わせをして信頼できる専門家を見つける姿勢が肝心です。
ガルバリウムの種類
幅広いデザインの製品が揃うガルバリウムには、100以上の種類があるともいわれています。そのなかでも、比較的多く用いられているのが次のタイプです。
〈横葺きタイプ〉
水平方向に一定間隔でくぼみをつくって、シンプルな見た目ながらもデザイン性を高めているタイプ。ただし、緩い勾配の屋根には、排水の面から不向きとされます。
〈縦葺きタイプ〉
ラインが水平方向の横葺きに対して、垂直方向にラインをつくったタイプ。シンプルで美しく引き締まった外観を演出できます。
〈瓦調葺きタイプ〉
瓦の形を模した見た目が特徴。薄くて加工性に富む素材だからこそ、複雑な曲面のあるデザインも可能に。瓦にくらべて軽量で割れるおそれがないのが利点。
サイディングとの違い
サイディングのなかでも主流となっている窯業系サイディングは、耐火性に優れていてデザイン面が豊富。ガルバリウムも種類は少なくありませんが、原材料と表面の質感のバラエティの豊かさという点では、サイディングには及びません。
一方、ガルバリウムは、窯業系サイディングにくらべると軽量で、住宅の壁面への負担を抑えられます。耐久性の面でも、諸条件にもよりますが、概してガルバリウムのほうが寿命は長いといえます。
ガルバリウムの補修・メンテナンス
施工して10年ほどで、ガルバリウムの表面に施されている塗膜が陽射しや風雨などの影響で劣化するといわれています。その際は、全体的な再塗装がメンテナンスとして必要になります。
また、表面の変形やキズから腐蝕や穴あきが生じた場合は、その時点での補修が必要です。小さなものであれば穴を埋める程度の補修で済みますが、程度によっては部分的に取り外して新しい鋼板と交換します。
費用は補修の度合いによって大きく変わるため一概に言えませんが、耐用年数が比較的長いガルバリウムの場合、長い目で見たときに他の外壁材にくらべてリーズナブルと言えるかもしれません。
ガルバリウムの施工法
外壁の下地となる合板などの上に透湿防水シートを貼って、そこへガルバリウムの板をビスで固定していくのが、一般的な施工法です。
防音性、断熱性が高くないガルバリウムの特性を補うために、壁面に断熱材を入れる方法があります。
ガルバリウムはサイディングと同じく、板どうしのつなぎ目部分の施工精度が劣化の度合いを左右する面があるため、その施工にはしっかりとした技術が必要です。
まとめ
金属系の外壁材としてはサビに強く軽量なガルバリウムは、耐用年数の長さが大きなメリット。住まいの外観をモダンで引き締まった印象にするのにも役立ちます。その一方で、初期費用として、弱点とされる防音性、断熱性を高めるためのコストが必要となる点に注意しましょう。
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記事作成協力:株式会社北九州住宅診断研究所
http://jyutaku-shindan.com
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