Mさん宅(東京都)
2人のお子さんをのびのびした環境で育てたいとの思いで、家を新築することにしたMさん。家族の気配を感じながら、さまざまな過ごし方ができる住まいをと、スキップフロアで間仕切りのない家を調べていました。そんな時にイメージに近い物件を手がける「i+i 設計事務所」の存在を知り、建築家の飯塚豊さんに土地探しから相談することに。奥さまが生まれ育ち、今もお母さまが暮らす下町に土地を購入し、家づくりをスタートさせました。
近くに住むお母さまや、親戚、地域とのつながり、友人との時間を大切にしたいと思っていたMさん。そこで飯塚さんに提案されたのが、人が自然に集まり、くつろいで過ごせるよう“和風住宅”の意匠をとり入れた設計プランです。
2階のリビング&ダイニングには大きなコの字形のベンチを設置。ゲストが大勢来ても余裕で座れるだけでなく、足をくずしたり寝転がったり、思い思いの姿勢でリラックスして過ごせます。窓からは自然光が注ぎ、まるで“縁側”のようなスペースになっています。
玄関は通常の倍ほどの広さにして、両サイドに部屋を配置。昔の土間玄関のように、靴のまま段差に腰かけて立ち寄ったご近所さんとおしゃべりができるようにしました。
友人を呼んで夕食をもてなしたり、気軽にお母さまが訪れたり。コミュニケーションが広がる暮らしを日々満喫しています。
2F LD
和風住宅を意識して“縁側”のイメージでベンチを造作。床材には美しい年輪が和と相性ぴったりの、針葉樹のカラマツを選びました。
壁沿いの細長いベンチの中は、可動式ボックスがおさまるつくりにして生活用品の収納場所に。垂木構造のこまかい梁に合わせ、ロフトには格子をとりつけ、和風のデザインに。
屋根裏の勾配を生かしたツリーハウスのようなロフト。ご主人が音楽を聴いたり、お子さんが隠れ基地のように使っています。
いろいろな過ごし方ができるコの字形ベンチつきのLDK
LDKをぐるりと囲むように造作したベンチは、ゲストが腰かけてくつろぐほかにも活用法がたくさん。(上)キッチン側のベンチは、お子さんの格好の遊び場。寝転がって、トランプなどをして遊んでいます。(下)広めにとったダイニング横のコーナー。陽光が注ぐため、奥さまのヨガスペースに。
リビング&ダイニングとつながるオープンなキッチン
(写真中)子どもの様子を見たりゲストと話したりしながら調理ができるよう、キッチンはオープンに。モノが落ちないよう手元に立ち上がりをつけました。(写真上)コンロは壁側に配し、油が飛んでも掃除しやすいように工夫。「聖和セラミックス」のグレーのタイルが味わいを加えます。(写真下)リビング&ダイニングとキッチンは回遊できます。
2F キッチン
人目にふれるだけにインテリアにもこだわりを。背面の壁には「ベンジャミンムーア」の淡い藤色の塗料を。扉は焦げ茶色にして落ち着きをもたせて。
大きな土間を備えたコミュニケーションが広がる玄関
玄関は5畳と広めに設計。土間には奥さまがひと目惚れした「アドヴァン」の天然スレートを使用。玄関ドアを背に右に子ども部屋、左に寝室を配置し、段差をベンチのように使って腰かけられるようにしました。夏はここにローテーブルを置いて、ご近所に住むお母さまが涼むこともあるそう。
外観
レッドシダーパネルの外壁、バルコニーを掘り込んだ急勾配のガルバリウム鋼板の屋根がユニークな印象。玄関ドアをガラスにするなど、ところどころに採光の工夫が見られます。
1F 浴室
清潔感のある白で統一した浴室。やわらかな船形の「日ポリ化工」のユニットバスをセレクト。「掃除がしやすくお気に入りです」
1F サニタリー
(上)生活用品がすっきりおさまるよう収納スペースを確保したサニタリー。白とブラウンでシンプルなデザインに。(下)「アドヴァン」の大きめの洗面ボウルをセレクト。靴や習字道具を洗ったり、バケツを置いたり。小さなお子さんがいるMさん宅で大活躍しています。
1F 玄関
(上)広めの玄関は、LDKとは違う憩いの場に。立ち寄ったご近所さんと段差に腰かけて会話を楽しめます。(下)「個室にしたくなかったので、子ども部屋は上部が開放された障子を採用しました」。将来は壁を立てて長女と長男で分けて使えるようにする予定です。
profile
会社員のご主人と医療関係で働く奥さま、9歳の長女と5歳の長男の4人家族。家を建てたのは奥さまが育った場所。近隣に住むご両親をはじめ、地域のかたとの交流を大切にしながら暮らしています。
設計のポイント
i+i設計事務所 飯塚 豊さん
966年東京都生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。サイト「住まい手の立場から住宅を考える」主宰。著書に『間取りの方程式』(エクスナレッジ)がある。
道路からのプライバシーを保ちながら南向きの日当たりを生かすため、2階リビングに。2階バルコニーとつながるコの字形ベンチは、大勢のお客さまにも対応でき、まるで縁側のようなくつろぎの場になっています。勾配屋根、垂木の並ぶ天井、茶色い木の外壁、縁側、土間、障子などが和をイメージさせ、町家のような懐かしい趣もありますが、過去の伝統表現にない形に翻訳され、和でも洋でもない複雑な見え方をする住宅に仕上げました。
DATA
家族構成 |
夫婦+子ども2人 |
敷地面積 |
109.79㎡(33.21坪) |
建築面積 |
51.34㎡(15.53坪) |
延べ床面積 |
107.65㎡(32.56坪) 1F 49.27㎡+2F 49.07㎡+ロフト9.31㎡ |
構造・工法 |
木造2階建て(軸組み工法) |
工期 |
2012年8月~2013年2月 |
本体工事費 |
約2380万円 (設計料別、地盤改良70万円、外構50万円含む) |
3.3㎡単価 |
約73万円 |
設計 |
i+i設計事務所 ☎03-6276-7636 |
施工 |
タケワキ住宅建設 ☎047-387-8840 |
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