【Nさん宅(熊本県)】の間取り実例
ご夫妻とYちゃん(4歳)、Tちゃん(3歳)の4人家族。ご夫婦ともに仕事を持ちながらの子育てで、毎日が大忙し。家づくりの打ち合わせも、夫婦そろって行けないときは、どちらか一方で対応したそう。新居の完成後は「休日の家族そろってのインテリアショップめぐりが加速しています」
ナチュラルなカフェのようなNさんのお宅。この家を1000万円台で建てられたのには、Nさんの“ぶれない”気持ちと、設計者の工夫の積み重ねがありました。
約2年前、近隣のアパートに暮らしていたNさん一家は、「ほぼ興味本位で」県が開発した格安の分譲地の抽選に応募し、みごと当選。「いつかは家を……」という思いがにわかに現実となり、限られた資金と時間で家づくりをスタートすることになりました。
インテリア好きな奥さまは通勤途中にあるハウスビルダー「コムハウス」が気になり、じつは2度ほどオープンハウスにも参加。しかし「おしゃれだから、きっと高いだろうな」とあきらめて、値引きをしてくれるという別のビルダーで家づくりを考え始めました。ところが何度かの打ち合わせで、Nさんが思い描いていた住まいとは別の方向へ……。「やっぱりダメもとでコムハウスに相談してみよう」と舵をとり直し、コストと夢の実現を調整するべく、何十回にも及ぶ打ち合わせと、カタログやインテリア洋書を「見ておいてください」と渡されるコムハウスからの“宿題”をこなしました。
Nさんが希望したのは、かわいすぎず、かっこよすぎない「レトロでナチュラルな家」。共働きなので、家事効率がよく、家族のつながりが感じられるオープンなLDKと書斎も希望でした。
家の個性にもなっているダイニングとキッチンの間のガラスの仕切り壁は、木製パネルの塗装費用を抑えるために考えた工夫。同時に、「こもりたい」「家族の気配を感じながら家事をしたい」「目の前に窓がほしい」という奥さまの希望をすべてかなえたキッチンが実現しました。「希望の雰囲気を伝えると、それは予算オーバーだから、かわりにこれはどう?と、同じ方向性で価格を抑えたものを提案してもらえたのが助かりました」。こだわりの家を予算内で実現した好例です。
理想の住まいが「1000万円台」で実現したポイント
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家の形や外装材はシンプルに。窓などの開口部もむやみにふやさない。
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ウッドデッキやバルコニーは用途を吟味して、必要最小限の面積に。
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こだわりたい場所以外の収納や水回りなどの部材や建具は、既製品を採用する。
1F リビング
【こだわりPoint】子どもの様子を見ながら作業できるパソコンコーナー
リビングには3.5畳の畳スペースと1.5畳ほどのパソコンコーナーを隣接。建具で仕切ろうと思ったそうですが、パーティションのみにしてコストを削減し、開放感も出しました。
1F LDK
【こだわりPoint】波板ガラスを使った仕切り壁でゆるやかに目隠し
床は無垢のオーク材のホワイトオイル仕上げ。羽目板にするはずが塗装費削減のためガラスにしたという、キッチンの仕切り壁がおしゃれです。家具は新居の依頼先の「コムハウス」が運営するショップ「nid」で購入。
1F LD
室内ドアはオーダー品ですが、造りつけ収納のルーバー扉は既製品。寝室のある2階に1階の音がもれないように、階段室への動線にもドア(中央)を設けて音を遮断。
1F キッチン
【こだわりPoint】「薬箱みたいに」と希望した引き出しがアクセント。
手元を明るくする窓やみ目地の壁面タイルなど、奥さまのこだわりを盛り込んだオーダーキッチン。3段の引き出しは面材をオーク材にし、ワークトップのタイルは奥さまの好みでライトブルーをチョイス。
【写真左】ガラスの仕切り壁の裏側は、棚板を渡しただけのシンプルなつくり。食器棚や家電用収納などは、使いやすい既製家具を利用。そのサイズに合わせてカウンターを設けました。
【写真右】「全くのクローズドではないけれど、こもれる感じにもしたい」という希望をかなえたキッチン。暮らしを考えると、ここに勝手口は不要と判断し、コストダウン。
【こだわりPoint】“レトロな感じ”を 出したくて選んだ スイッチプレート。あえて段差をつけて LDと区別。
【写真左】「一般的なものはスイッチ部分が大きくて使いやすそうですが、おばあちゃんの家にあったようなデザインが気に入って」、奥さまが「コムハウス」のカタログからセレクト。
【写真右】キッチンを1段低くしたのは、「子どもに“段差には気をつける”ことを教えないと」という奥さまの持論に基づいているとか。
1F 畳スペース
「どこかに1カ所、和の部分がほしかった」という理由でつくった畳スペースは、現在は子どもたちのプレイルーム。畳はリビングと違和感なくつながる縁なしにしました。
1F トイレ
ゆずれない部分をはっきりさせたからローコストでも大満足の住まいに
【こだわりPoint】六角形の色つきモザイクタイルでレトロな雰囲気に
奥さまが「家の中でいちばん好き」というトイレ。1段高くした床や、そこに張った六角形のカラーモザイクタイルで、レトロな雰囲気をめざした、奥さまこだわりの空間。
1F 手洗いコーナー
あえてトイレの外につくった手洗いコーナーは、子どもたちが帰宅後すぐに手が洗えるように考えた動線計画。奥さまが選んだ雑貨でかわいらしくデコレーションしています。
1F パソコンコーナー
リビングの一角にあるこのコーナーは、パソコン作業をする手元は隠しつつ、目線の部分は開放して子どもたちの様子を見守れるように、という希望から生まれました。内部は、モルタルを部分的に使ってアクセントに。
2F 子ども部屋
【こだわりPoint】窓枠をブルーグレーにして かわいらしく。洋書風のオーダードアで 雰囲気アップ。
【写真左】2階の床は、コストダウンのために比較的安価な無垢のパイン材に。子ども部屋の壁は板張りを希望しましたが断念。そのかわり、一部をストライプのクロス張りに。
【写真右】ドアが並ぶ2階の廊下は、壁は一般的なクロス張り。雰囲気を出すために「素敵なドアはゆずれない」と、ブリキの数字オブジェもプラスして、おしゃれなドアをオーダー。
2F 寝室
寝室のドアはシックなネイビーに。「洗濯が趣味」という奥さまの、洗う、干す、しまうの作業がスムーズなよう、洗濯機置き場と寝室のバルコニー&クローゼットの配置を考慮。
2F 洗面室
TOTOの実験用シンクやモザイクタイル、キッチンとおそろいの“薬箱風引き出し”で、レトロ&ナチュラルにデザインした洗面台。洗濯機の右手にはタオル用の収納スペースも。
2F 浴室
人目を気にせず入りたいと浴室は2階にプランし、上階用のシステムバスを採用。浴室と洗面室が2階にあることで、身じたくや洗濯、就寝時の動線がスムーズになりました。
階段
【こだわりPoint】階段の蹴込みは洋書で見てあこがれた板張りに。
インテリア洋書で見た階段のデザインが忘れられず、がんばって実現してもらいました。そのかわり、階段下収納の扉はシンプルなものにしてコストを調整。
1F 玄関ホール
【写真左】 センスのよさがうかがえる、さりげないディスプレイ。正面のチェッカーガラスの小窓は、パソコンコーナーの明かりとりです。
【写真右】外のポーチから続く、落ち着いたレンガが張られたたたき。ご主人が「帰ってくるとほっとする」という、あたたかみのある玄関になりました。
外観
箱形のシンプルな外観。「当初は塗り壁にしたかった」という外壁は、サイディング張りにしてコストを調整。希望していた上げ下げ窓も、割高だったので開き窓にしました。
【こだわりPoint】ご主人お気に入りのアンティーク風レンガのポーチ
玄関ポーチは、シンプルな外観とナチュラルな室内をつなぐような、素材感を大切にしたデザイン。ブルーグレーに塗装した玄関ドアや、ショップ風の木製表札もこだわった部分です。
設計のPOINT
間取り図
Nさん宅は、こだわりとコストの調整が課題だったので、徹底的に優先順位を決めてもらい、お金のかけどころを明確にしました。まず外観は、切り妻屋根の家より小屋裏の構造材を節約できる箱形のシンプルなフォルムにし、窓の位置と数を吟味して必要最小限に。2階の洗面室やトイレ、収納スペースなどのドアやドア枠、幅木などの部材は既製品のシンプルなものでコストダウンをはかり、逆に見せ場となるドアやキッチンはオーダーで仕上がりを優先させました。
設計士プロフィール
コムハウス
インテリアショップからスタートした、熊本のハウスビルダー。新築時より時を経てよりよい状態になっていく住まいをコンセプトに、住宅の設計&施工、リフォームなどを手がけている。
ご家庭プロフィール
家族構成 |
夫婦+子ども2人 |
敷地面積 |
192.62㎡(58.27坪) |
建築面積 |
53.82㎡(16.28坪) |
延べ床面積 |
105.99㎡(32.06坪) 1F 53.82㎡ + 2F 52.17㎡ |
構造・工法 |
木造2階建て(在来工法) |
工期 |
2010年10月〜2011年2月 |
本体工事費 |
約1950万円 |
3.3㎡単価 |
約61万円 |
設計 |
㈱コムハウス TEL: 096-371-7525 |
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