壁にとりつけられた、ボルダリングのカラフルなホールド。扉つきの小さな窓や、高さの違う床。そして、隠れ家のような書斎。遊び心やユニークな工夫がたくさん詰まった町上さん宅は、訪れた人が思わず笑顔なりそうな住まいです。
もともとは、あき家になっていたご主人のおじいさまの家。子どもの頃から知っている思い出深い家だったため、建てかえではなく、リノベーションという選択しか考えなかったそうです。「明るく、天井を高く家族の気配がわかる家に」というお二人の希望を受けて、「リノキューブ」の高木英恵さんは、南側のリビングに吹き抜けを提案。光や風が存分に行き渡るとともに、家族にとっても風通しのよい家をめざしました。
耐震も大きな課題で、頑丈な壁をつくるために構造合板を使用。その木目やラフな質感を、そのままデザインとして生かすことに。本来ならクロスを張ったり、しっくいを塗ったりするところを省略したため、コスト調整にも大きく貢献できたそう。
さらに、最初から完璧にしないで、徐々につくり上げる経過を楽しむという町上さんらしい選択も、初期費用を抑えるのに貢献。「生活形態が変わるかもしれないし、2重サッシや室内のドア、庭のテラスなどは、お金に余裕ができたり、必要に迫られたりしたときに、と考えています。」とはいえ、「グローエ」の水栓金具や4口コンロなど、ゆずれないものも。「ピンポイントで好きなものを選ぶと、贅沢感が得られます(笑)」
LDK
リビングの床は無垢のスギ材。ソファにしているのは、手持ちのマットをのせた「リノキューブ」オリジナル。「来客時にはローテーブルにもなります」(左)
書斎という名の、ご主人のこもり部屋。吹き抜けの一角にあり、はしごで出入りします。広さ1畳でも、リビングにつながる小窓で圧迫感なし。(中央)
「玄関から室内が見えすぎてしまうので」と、「イケア」のラックを目隠し&間仕切りがわりに置いて。(右)
扉や引き出しのないオープン収納キッチン
カウンターや棚も構造用合板で造作し、バスケットや木箱を引き出しがわりに。「すぐ使えて、しまうのもラク」というハンキング収納はディスプレイの楽しさも。(左)
将来、2重サッシをつけられるように、窓まわりの壁に厚みをもたせました。それを利用して、今は本やスピーカーを並べています。(右)
FAMILY ROOM
ボルダリングの壁のあたりは、以前は階段とホールでした。小さな窓があるだけで、暗くて風通しも悪かったとか。
2階のホールを広くし、家族が自由に使えるファミリールームに。季節物などを収納するロフトへは、ボルダリングで。
「最初ははしごの予定でしたが、カラフルで楽しいし、子どもも喜ぶと思って(笑)」
吹き抜けの柵は登山用ロープでDIY
ご主人が、登山用ロープで吹き抜けや階段の防護ネットを製作。ロープの色や張り方を変えれば、雰囲気も変わります。
KID'S ROOM
ロフトを設けるために床を1段下げた子ども部屋。上の窓はファミリールーム、下の窓はキッチンとつながっています。「子どもの様子がわかって助かります」(右)
ファミリールーム側からはこんな感じ。(左)
SANITARY
タイルと砂壁で、昭和な感じのレトロなトイレ。設備も一新することに。
トイレの壁の1面をフーシャピンクにペイント。ぐっと個性的な空間になりました。ネットで見つけたという鳥かごのランプも雰囲気にぴったり。
洗面台も構造用合板で造作しました。水栓金具と洗面ボウルは「カクダイ」のシンプルなものをチョイス。壁面には「イケア」のミラーをとりつけて。
JAPANESE ROOM
和室には木目がおとなしいシナ合板を使用。「時間ができたら、小上がり風の場所に腰かけて、お茶をしながらのんびり窓の外を眺めたいですね」
BED ROOM
「就寝時に入り口の扉を閉めると、収納扉が片方開いた状態になります」。本来3枚必要な扉を2枚に減らし、入り口と収納扉の1枚を兼用にしてコスト調整しています。
ENTRANCE
玄関扉はスギ材を使ったオリジナル(右)
「既製品より安くできましたが、外側だけはこだわって、手作り木工の取っ手にしました」。玄関ホールは、2つ並んだアンティーク照明とドア横の小窓がポイント。「帰宅すると出迎えの子どもたちの姿が見えて、癒されます」
リフォームのポイント
町上さん宅のコスト調整のポイント
-
構造用合板をそのまま生かし、仕上げ工事を省略
-
室内ドアや収納扉など建具を減らす
-
最初からパーフェクトをめざさない
設計のPoint
光、風、そして声や視線、さまざまなものが行き来する家に
南からの光が1階に届きにくい立地だったため、吹き抜けを提案。光や風だけでなく、声や視線も通る住まいになりました。ほかにも、小窓の設置や床の高さを変えることで、部屋同士をつなぎ、家族の気配を感じる工夫をしています。玄関からパントリー、キッチン、リビング、そして玄関へと回避できる動線など、利便性も考慮し、プランしました。(「リノキューブ」設計担当 / 高木英恵さん)
リノキューブ
「住まいに住まわされる」のではなく、リノベーションを通して「住まう人に合わせて、住まいを創ること」をモットーとする、名古屋リノベーション業界の先駆け的存在。どのような生活を望んでいるか、将来どのようなことをしたいかなど、建主と会話を重ね、具体的なイメージを共有し、その家族に合ったオンリーワンの空間を追求している会社です。
DATA
家族構成 |
夫婦+子ども2人 |
住居形態 |
一戸建て(在来木造2階) |
築年数 |
築36年 |
延べ床面積(改装前) |
114㎡(34.49坪) |
延べ床面積(改装後) |
108㎡(32.67坪)※吹き抜けをつくったため |
リフォーム面積 |
108㎡(32.67坪) |
リフォーム部分 |
内装すべて、アプローチ部分 (外壁、窓サッシは既存利用) |
リフォーム期間 |
2013年9月~12月 |
リフォーム費用 |
1280万円 |
リフォーム設計・施工 |
リノキューブ |
Profile
国際協力の仕事で知り合い、インドでの生活も経験したと言う町上さん夫妻。幼稚園年少の女の子と1歳の男の子、2人のお子さんと毎日にぎやかに暮らしています。
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