S家の子どもたちはやんちゃ盛りの4人きょうだい。家の中はいつもにぎやかな笑い声にあふれています。「主人を含め、とにかくみんな自由なので(笑)、全員が好きなように過ごせる間取りを考えました」と奥さま。ご両親の持ち家だった100㎡のマンションを譲り受け、スケルトンリフォームを計画。4LDKだった間取りを、なんと2部屋にリフォームしてしまいました。
2つの和室と細長いLDだったスペースは、25畳の広々としたLDKに変身。それ以外にも2つの個室がありましたが、間を仕切っていた壁をとり払って、大空間の子ども部屋をつくりました。「わが家は家族が多い分、この先、何がどう変わっていくかわからない。だから何か変化があったとき、それに合わせて変えられる間取りにしたかったんです」。
間仕切り壁やドアが少ないオープンなプランは、コストダウンにも貢献。のびのびと気持ちいい空間とともに、予算内でのフルリフォームという成果も手に入れました。
LDK
以前は窓側に6畳、その隣に4.5畳の和室が並んでいました。壁を撤去してスケルトンにしてみると、その広さにびっくり!
窓ぎわに設けた小上がりは、じつは畳の下が収納スペース。「納戸がわりに大きなものもしまえて重宝です」。玄関ホールに続く壁面にはクローゼットを3つ並べ、家族の衣類をまとめて収納。ここだけ色をとり入れて、シンプルな空間のアクセントにしています。
小上がりにつけた室内窓。ユーズドならではの風合いが魅力的です。隣につくったワークスペースに光を届ける役割も。
壁はペイントのようなテクスチャーのクロス貼りに
真っ白な広い壁面をキャンバスのように使って、なごめるコーナーを演出。デスクは「ピーズ・サプライ」から購入したユーズド。奥行きが浅いのでディスプレイにぴったりです。
当初は対面式キッチンにする案も出ましたが、広さを優先して壁づけのI型に。天板にも木を使って、シンプルさとぬくもり感を両立。(左)
洗面所
洗面室とキッチンを一直線にレイアウト。水回りの家事を同時進行しやすいプランです。ドアも省いて出入りしやすく。(右)
朝晩に家族が同時に使えるよう、洗面室はツインボウルを採用。ボウルは「TOTO」の実験用シンクを選びました。カウンターはキッチンとおそろいのデザインに。
トイレはリフォーム前と同じ位置にプラン。ハンドルや鍵などのパーツで、さりげなくレトロな味わいをプラスしました。設備は省スペースなタンクレスタイプ。(左)
玄関ホール~洗濯室~キッチン~LDをぐるりと回れる回遊動線。行き止まりがないため、家族が渋滞するのを防げます。(右)
玄関
造りつけ収納より安価な既製品の家具を靴箱がわりに
玄関ホールで目を引くのは、「ジャーナルスタンダード ファニチャー」で購入したスティールチェスト。上には家族のイニシャルをディスプレイ。
子供部屋
個室も壁で仕切らず、手頃な家具で各自のコーナーをつくる
ワンルームの子ども部屋では、現在は1人1台ずつのハイベッドがマイスペース。将来、どうしても個室が必要になったら、室内の一角を仕切ることもできます。小上がりスペースのあるLDも、好きな場所に壁を立てたり、小上がりに引き戸をつければ、独立した個室ができる仕組み。「しばらくはこのおおらかな開放感を味わうつもり。将来、子どもたちと相談しながら手を加えていくのも楽しみです」
下にデスクを置けるハイベッドは「無印良品」のもの。「1人1室は無理なので、これが自分の“陣地”。ベッドの配置はいずれ子ども同士で決めると思います」
リフォームのポイント
Sさん宅のコスト調整のポイント
①間仕切り壁やドアを最小限にして開放感とコストダウンを両立
②造りつけ家具をなるべくやめて好みのデザインの置き家具を活用
③壁は安価なクロスで仕上げ、肌にふれる床は質感のいい無垢材に
設計のポイント
“がらんどう”の箱のような家で自由なアレンジを楽しんで
Sさん宅でつくり込んだのは、水回りを除けば小上がりとクローゼットのみ。ほかには何もない。大きな箱を2つつなげたようなプランです。造作する部分が少なければ、それだけ施工コストを抑えられますし、将来の暮らしの変化にも対応しやすくなります。収納も家具工事などで造りつけるより、置き家具がおすすめ。幅広い価格からデザインが選べる。好きな場所に動かせる、飽きたら買いかえられるなど、多くの利点があります。(「ピーズ・サプライ」井上徹さん)
設計士プロフィール
ピーズ・サプライ
1996年設立のハウスビルダー。「シンプル&ナチュラル」をテーマに、一戸建て新築からリフォーム、キッチン設計などを手がける。甘すぎずクールすぎない“米軍ハウス”などをモチーフにした作風も人気。ユーズド家具や日本の古い建具、レトロなパーツなど数多くそろえ、施主のイメージに合わせて提供している。ショールームは横浜に。
ご家庭プロフィール
家族構成 |
夫婦+子ども4人 |
住居形態 |
マンション |
築年数 |
35年 |
専有面積 |
101.40㎡(約30.67坪) |
リフォーム面積 |
101.40㎡(約30.67坪) |
リフォーム部分 |
全体 |
リフォーム期間 |
2013年12月~2014年3月 |
リフォーム費用 |
1300万円(防音工事費200万円を除く) |
リフォーム設計・施工 |
(有)ピーズ・サプライ |
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