予算内で住み心地と使い勝手のよい住まいを手に入れるにはプランニングが大きなポイントに。
満足度100%のリフォームを実現させるための予算とプランの考え方をご紹介します。
中古物件とリフォーム費用の予算配分
いろいろな物件を見ていると、どうせなら少しでも広いほうが・・・と、ついつい購入予算をオーバーしがち。結果、リフォーム費用がほとんど残らないといったケースが多々あります。
リフォームにかかる費用は物件しだいでまちまちです。中古物件を下見する際には、その物件ならどれくらいのリフォームが必要かを概算して物件価格に上乗せし、予算内でおさまるかどうかを判断しましょう。
壊すか残すか線引が大事
リフォーム費用を抑える方、取材協力先の川上さんが提案するのが次の2つ。
1つ目は「壊さないで必要なものをつくる」スタイル。使える設備や残しても支障のない壁はそのままに、解体は最小限にとどめて足りないものを追加でつくるという提案です。
2つ目は、「壊してあまりつくらない」スタイル。まずはすべてを壊し、そこから必要最低限のものだけをつくるという考え方です。
リフォームする部分の決め方
部分リフォームの場合、リフォームする場所としない場所の区切り方がポイントに。
たとえばLDKのオープンキッチンのみをリフォームする際、リフォームした部分としていない部分の床や壁がつながっていると、手をつけていない部分の古びた感じばかりが目につきます。
扉を境にするなど視覚的にスペースが分割できるところで区切りをつけると、完成後の満足度も格段に上がります。
仕上げや家具工事をシンプルにする
構造体のコンクリートに直接塗装したり、天井を張らずに配管を見せるデザインにするなど、仕上げを省くことでもコストを抑えられます。
オープンスタイルのプランにして壁や建具を減らしたり、設備機器の選び方でもコスト調整は可能。「イケア」の家具や設備を買って設置した家もあるそう。
コストが高い家具工事をできるだけシンプルにするのもコストダウンに。
DIYでコストダウン
予算カットの方法として、DIYもひとつの手。家づくりのすべてをプロにまかせっきりにするのではなく、壁に珪藻土を塗ったり、ペンキを塗ったり、素人でも比較的簡単にできる作業を自分でやれば、その分、職人の手間賃をカットできます。
家づくりに参加するのは予想以上に楽しいもの。住まいへの愛着もわくので、家族や友人も巻き込んで積極的に挑戦してください。
戸建ての場合は建築機能性能をとり戻す
リフォームを考える際には、プランやデザインにばかり目が向きがちですが、戸建ての場合、まずは老朽化した建物の修繕や補強など、基本性能をとり戻すことが最優先です。
そのうえでデザインするという手順を踏まないと、せっかくリフォームしても、結局10年しかもたない・・・などということにもなりかねません。
その分の費用がかかることもしっかり覚えておいてください。
予算300万円でできること
たとえば水回りのリフォームをする場合、ユニットバス本体の価格が60〜100万円、システムキッチンが100万円前後として、これに配管やとりつけなどの工事費用が加わると、だいたい300万円くらいの見積もりになります。
古くなった水回りを一新するなど、場所を限定した部分リフォームなら、この予算内におさまります。
キッチンまわりのインテリアにこだわった部分リフォーム
キッチンの内装とダイニングの造作家具をメインに、それ以外はクロスのはりかえを行っただけの部分リフォーム。
ダイニング側の収納を撤去し、キッチンまわりはシックな色みの仕上げに変更。壁に合わせて製作したダイニングテーブルは、90×280cm。ワインセラーと飾り棚も造作して、シックでモダンなDKになりました。
データ
所在地 / 東京都
家族構成 / 30代夫婦
住居形態 / マンション
築年数 / 11年
専有面積 / 74.69㎡
リフォーム費用 / 378万円(設計料込み)
予算500万円でできること
マンションにしろ戸建てにしろ、500万円の予算では、全面リフォームをするのは難しいでしょう。
この予算でだと、たとえばシステムキッチンのリフォームに加えてLDの間取りを変えるなど、広範囲にわたって部分リフォームなら可能です。
既存の間取りは残し、全面的に内装をやりかえるなどインテリアにこだわったリフォームもできます。
間仕切り壁の部分撤去と水回りの移動で間取り変更
小さな部屋に区切られていた3LDKのマンションの部分リフォーム。
玄関側の1部屋をなくすことと、居室のほぼ中央に配置されていたキッチンとトイレを動かすことで、LDKを視線と風が抜ける東西に細長いスペースに広げています。
最小限の変更で間取りが大きく変わるプランを計画して工事費を抑え、予算内におさめました。
データ
所在地 / 東京都
家族構成 / 50代夫婦
住居形態 / マンション
築年数 / 15年
専有面積 / 54.60㎡
リフォーム費用 / 510万円(設計料込み)
予算800万円でできること
依頼先によっても異なりますが、リフォーム工事の費用も、新築の場合と同様に坪単価60万〜70万円が目安になります。
コンパクトサイズの住宅なら、800万円の予算でもフルリフォームが可能。とはいえ、それほど余裕のある予算ではないので、職人の手間がかかる工事は極力省くなど、コストを抑えるプランニングが必要です。
フルリフォームに加えてユニークな設備も導入
2方向をサンルーム状のスペースに囲まれた居室のリフォーム。寝室を残したほかはすべてばらし、LDKを広く確保した間取りに。
予算とスペースの都合で断念した床暖房のかわりに、天井裏に店舗用エアコンをビルトインし、ダクトで床下に風を送り込んで床面を冷暖房する仕掛けに。
冬寒く夏暑いという住環境のハンディを克服。
データ
所在地 / 東京都
家族構成 / 30代夫婦+子ども2人
住居形態 / マンション
築年数 / 30年
専有面積 / 61.75㎡
リフォーム費用 / 882万円(設計料込み)
予算1, 000万円以上でできること
1000万円を超える予算なら、戸建て・総2階のフルリフォームも視野に入ってきます。
リフォームする面積が広ければ広いほど、その分、コストもかさむので、手をかける部分と既存のまま残す部分をバランスよく考えることがポイント。
クロスの張りかえや床の補修など、建物の原状回復に坪2〜3万円の費用がかかることも覚えておいてください。
中古マンション購入からスタートしたスケルトンリフォーム
水回りを1カ所にかため、それをとり囲むように本棚を造作。室内は壁で囲わず、LDKや寝室がゆるやかにつながる間取りに。
天井の仕上げを省き、配線や配管を見せるインテリアにして趣をプラス。
子どもが小さいうちは広く住みたいという要望も反映して、必要なもの以外はつくり込まないプランを提案。コストも抑えています。
データ
所在地 / 千葉県
家族構成 / 30代夫婦+子ども2人
住居形態 / マンション
築年数 / 20年
専有面積 / 88.75㎡
リフォーム費用 / 1, 674万円(設計料込み)
★リフォームを検討される方はこちら
取材協力 / エトラデザイン 川上堅次さん
こちらの記事もおすすめ!
2016.12.01住宅の大きな買い物だけに、資金繰りをあやまると住宅取得後に家計が破綻!なんてことにもなりかねません。そうならないためにも最初の資金計画が肝心です。このページをよく読んで、ゆとりある資金計画を立てましょう。 返済できるお金と...続きを見る
2016.12.19新築と違ってリフォームは、今住んでいる家の場合も、新たに中古住宅を購入する場合も「現状を壊す」作業が必要です。「つくる」のに必要な工事費や材料費にプラスして、リフォーム特有の「壊す・捨てる」工程にも意外と費用がかかりますか...続きを見る
2016.11.24インテリアパーツや設備機器などをインターネットで手軽に取り寄せられるようになり、一気に普及した「施主支給」。その分、意外なトラブルもふえているのでご注意を!そこで、宮地亘設計事務所の宮地さんに、施主支給の気をつけるべきポイ...続きを見る
2016.12.01住宅の大きな買い物だけに、資金繰りをあやまると住宅取得後に家計が破綻!なんてことにもなりかねません。そうならないためにも最初の資金計画が肝心です。このページをよく読んで、ゆとりある資金計画を立てましょう。 返済できるお金と...続きを見る
コメント
全て既読にする
コメントがあるとここに表示されます