新築とは違う、自分らしい家が手に入るのが「中古物件購入+リフォーム(リノベーション)」ですが、失敗しない中古物件選びには、必ずおさえておきたいポイントがあります。
1. 法的条件の確認
中古物件を購入するときには、その土地の法的条件をきちんと確認しておきましょう。土地には用途地域が設定されていて、建築可能な建物の種類や高さ制限のほか、建ぺい率や容積率などから面積にも上限が。
特に増築を考えている場合、たとえ敷地に空きスペースがあっても増築できないこともあるので要注意です。
2. 接道状況は?
古い住宅では前面道路が幅4mに満たないことも多く、建てかえの際に道路中心線から敷地を2m後退させる義務があり、この部分には建物を建てられません。これを「セットバック」といいます。
また、接道義務といって、下図ように4m以上の道路に敷地が2m以上接していないと新築できない決まりも。
リフォームには直接影響しないかもしれませんが、物件を購入する際には注意が必要です。
3. 水道引き込み管や電気容量は?
最近では、道路の本管から各住戸に引き込む水道管の口径は20mm以上が主流ですが、古い物件などでは13mmといったことも。
家族が多くて水道の使用量が多いと、水の出が悪くなる可能性もありますので、口径が大きい管を引き直す必要が。
電気容量も同様。最低でも60アンペアは確保したいところですが、古い住宅で屋内への引き込み線の容量が極端に小さい場合、新たな引き込み工事が必要になります。
4. 図面が保管されているか
中古住宅は正式な図面がなく、販売用の簡単な間取り図のみといったケースも少なくありません。ですが、できれば平面図や立面図のほか、内外壁や断熱材の仕様などがわかる矩計図や仕様書などを入手できると理想的です。
そのほか、建物が建築基準法に適合している証明となる検査済証が交付されているかどうか、さらに建築当時の地盤調査書などもあると安心です。
5. 増改築やメンテンナンスの履歴
中古物件の場合、築年数も気になりますが、じつは住み方やお手入れ次第で老朽化に大きく差が出ます。
これまでにいつどこをメンテンナンスしたのか、担当者に確認してみましょう。築10年で一度もメンテナンスをしていない場合は要注意。
建物自体の補強や修繕工事に予想以上の出費がかかる場合もあります。
6. 建物が建築された年はいつか
戸建ての場合も、1981年6月1日以降に建築確認を受けているかどうかが耐震性の目安に。
この年に施行された「新耐震基準」に適合していれば、震度6〜7程度の地震でも倒壊しない基準を満たすといわれています。
ただし、適合していても100%安心というわけではなく、中には工事不良や施工ミスなど危険性の高い家も。
基準はひとつの目安と考えて、実際の建物の状態を確認することが大切です。
7. 建物の工法を確認する
リフォームの自由度が高いのは、柱と梁、すじかいで建物を支える木造軸組み工法(在来工法)。
一方、壁で建物を支える2×4工法は、構造上動かせない壁があるなどプランの制約を受けることも。
壁式のRC構造も同様です。ハウスメーカーのプレハブ住宅は、独自の工法を採用しているので、リフォームできる範囲の確認が必須です。
8. 基礎や外壁をチェックする
外壁に、目に見えてわかる亀裂や異様にふくらんだ箇所があるのは、雨もりなど建物内部の老朽化が進んでいる可能性大。
基礎に大きな亀裂がある場合は、軟弱地盤などで建物が不同沈下していることも。こういう物件は要注意です。
9. 床下の状態を確認する
床下収納庫や洗面室の下にある点検口から床下をのぞいてみましょう。基礎のコンクリートにひび割れがないか、床下の裏の断熱材がはがれていたり傷んだりしていないか、土台や床組みに水もれの跡がないかどうかを確認します。
10.床の傾き・きしみがないか
部屋の中心にビー玉を置いてみて1方向に転がっていくのはNG。床や柱など建物全体がゆがんでいる可能性が。
建具の開け閉めがスムーズにいかないのも要注意です。素足で歩いてみて、床のへこみやきしみがないかも確認を。
床下の基礎部分が傷んでいて、修復が必要な場合も。
11.壁や天井にカビやシミがないか
特に壁と天井の境にシミがある場合は、雨もりのサインかもしれません。家具の裏や部屋の隅にあるカビや黒ずみは、壁の内部に結露が発生している可能性も。
構造内部の通風や断熱材の施工状況に問題がある場合もあります。
12.断熱材がきちんと入っているか
正確には解体してみないとわかりませんが、ある程度の予測を立てるのは可能です。
屋根裏をのぞいて壁の断熱材が天井まで施されているか、床下をのぞいてみて断熱材がすき間なく入っているか、たれ下がっていないかをチェック。
13.水回りの設備と給湯器を確認
設備機器はすべて動かしてみて状態を確認。残して使えるかどうかでプランや費用が大きく変わります。
給湯器の性能も要チェック。不便なくお湯を使えるようにするには、ガス式なら最低でも24号の容量は確保したいところです。
14.日当たりと風通しは?
道路に面している方角や隣地との間隔など、日当たりや風通しがどれくらい得られそうかをチェック。
その際、現在の間取りではなくリフォーム後の部屋の配置を想定しましょう。
15.車庫の位置をチェック
車を保有している人は、車と車庫のサイズをチェックし、道路からの車庫入れがスムーズにできるか検討を。
車の乗り降りと玄関までのアプローチや、自転車の置き場も要確認。
戸建て物件の下見はリフォーム担当者と一緒に
戸建ての場合、建物の老朽化の進み具合を見極めることが重要です。表面的にはきれいに見えても、構造内部や基礎部分など隠れたところが傷んでいると、大がかりな補強・修繕工事が必要になり、予想外に費用がかさんでしまいます。
現場でぜひチェックしたい断熱材の状態や床下の点検、基礎や外壁の状況などは、素人ではなかなか判断が難しいもの。
できれば専門家にお願いして、一緒に確認してもらいましょう。
雨の日にも現場をチェック
外壁や屋根などの雨もりや、敷地の水はけの状態など、雨の日に現場を見に行くと顕著にわかることもあるので、この日を狙うのも意外におすすめ。
また、雨が降った翌日に、雨もりの跡が室内の壁や天井、屋根裏の構造体にシミになって残っている場合もあるので、翌日に行ってみるのもいいでしょう。
ほかにも、午前と午後など時間を変えて日当たりをチェックしたり、外部の音の聞こえ方を平日と休日で確認するなど、時間や曜日を変えて現場に足を運べると完璧です。
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