新築時はとにかくイニシャルコスト(はじめにかかる費用)に気をとられがちですが、ライフサイクルコストを考えるとおろそかにできないのが、実はランニングコストです。
今回の記事にご協力頂いた建築家の方
- アトリエ71 倉田充さん
- KURASU 小針美鈴さん
住宅におけるランニングコストとは?
ランニングコストとは運転・維持のための費用で、住み始めてから発生する電気代、ガス代、修繕費など。工事費を安く抑えたとしても、暮らしてから冷暖房費がかさんでしまっては、かえって家計の負担になります。
ランニングコストを抑えることは、トータルコストを削減することにもつながるのです。(小針さん)
ランニングコストを抑えた家を希望するなら最初に伝える
設計者に家づくりを依頼するとき、当たり前のことですが、自分たちは何を希望し、何を優先させたいのかを最初に伝えることが大切です。
特に省エネ住宅の設計はは建物の構造やプランが大きなポイントになるので、最初のリクエストが重要になるのです。
「住み始めてからの光熱量をできるだけ抑えたい」「メンテナンス費用がかからない素材を使いたい」「採光と通風を優先させたい」などの要望を最初に伝えれば、日当たりのよい、風の通る間取り、手入れがラクな素材、効率のよいライティングなど、省エネを優先させたプランを提案してくれるでしょう。
これを伝えておかないと、デザイン優先だったり、設備に頼る空調システムだったり、数年で改善が必要な素材を提案されることも。(倉田さん)
ランニングコストを抑えるプランニング
照明はLEDを基本に
照明器具に使われる光源は、白熱ランプに変わって、今や蛍光ランプやLEDが主流です。
特にLEDは「電球の価格が高い」といわれますが、器具一体型なら、今までの白熱球タイプとほぼ変わらないくらいの価格になりました。消費電力量が少ないうえに長寿命なので、ランニングコスト削減に効果的。
せっかく考えた照明計画も、電気代が気になって楽しめないのではもったいないですね。新居では照明の数がそれまで暮らしていた住まいよりふえる住宅が多いので、その効果は実感しやすいと思います。(小針さん)
断熱を考えて冷暖房効率のいい家に
屋根、外壁、床下に断熱材をしっかり入れて断熱工事がされた建物は、冷暖房費を節約できるほか、結露を防止して建物を長持ちさせることにもつながります。
また、断熱材と合わせて検討したいのが窓の仕様。断熱性能の高い複層ガラス(ペアガラスやトリプルガラスなど)を採用し、熱損失の大きい窓の断熱もはかりましょう。(倉田さん)
通風・採光を配慮して節約できる家に
夏に熱気が自然に外へ抜ける間取りや、冬に太陽光が部屋の奥までさし込む開口。そんな配慮があると、エアコンや照明などのランニングコストを大幅に節約することができます。
また軒をつけると夏の直射日光を遮り、雨などの汚れから開口部や外壁の劣化を防いでくれます。
軒がつけられない場合は、夏の日ざしをカットするオーニングも冷房費の節約に効果的です。(小針さん)
高効率・節水などの設備を選ぶ
高効率給湯器や節水型トイレなど、国内メーカーは今や省エネ設備が主流です。
特別に高価なものでもないので、暮らしに無理なくランニングコストを抑えられる設備として、採用を検討してみてください。(小針さん)
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取材協力
アトリエ71 倉田 充さん
大学卒業後、現事務所に入社。自然素材を随所にとり入れたデザインが人気で、「適正コスト&ハイセンス」をコンセプトに、一般住宅や店舗の設計、住宅リフォームなどを手がけている。(http://www5b.biglobe.ne.jp/~a71/)
株式会社KURASU 代表 小針美玲さん
大手ゼネコンの現場監督を十数年務めたのち、2009年に設計・施工を一貫して行う現事務所を立ち上げる。女性&主婦目線でのきめこまかい家づくりに定評があり、おしゃれなカフェのような自社サロンで行う「家づくりセミナー」も好評。(http://kurasu.co.jp)
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