子どもには失敗する権利がある
—お子さんを持つ親として、自身の事実婚解消という出来事はどう捉えていますか?
「私自身が父と母の不仲な関係に嫌な思いをし、1日も早く離婚してほしいと思っていました。
父と母は、妹が大学を卒業して、ようやく熟年離婚をしたわけですが、そんなこともあり、私は息子に夢や愛のある家庭を見せたい思いが人一倍強いのかもしれません。だからこそ、無理して一緒にいることは回避したかったんです。
それに、夫婦関係の悪化によって、家の中に不機嫌な人がいるという状況がどうしても耐えられなくて…。
私が彼を憎んで、息子にパパを嫌いになってほしくないという思いもありました。もちろん、ママである私に対しても然り。
パパ、ママどちらかの味方をすることなく、どちらも好きでいられる環境や距離感を大切にしたいと常々思っています」
—自身のお子さんを含め、今の子どもたちにはどう育ってほしいと思いますか?
「息子はもちろん、世の中の子どもたちには、とにかく自分の人生を楽しんでほしいです。子どもに失敗を経験させたくないと思うあまり、つい過剰に口出しをしたり、ときには邪魔をしてしまうことがあるのかなと。
でも子どもには挑戦する権利とともに、失敗する権利もあります。私の大好きな「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」というドラマでも、主人公が父に、失敗する権利を奪わないで欲しいと説得するシーンがありますが、「失敗しない」ことが正解じゃないんですよね。その体験が本人の貴重な宝物になる可能性もあるわけで。
だから、子どもが助けを求めてきたときは全力で手を差し伸べますが、そうでなければ、親である私は子どもをひたすら信じ、ときに失敗を体験させてあげることが、子どもへの究極の愛なのでは、と思っています」
はあちゅう●ブロガー・作家。慶應義塾大学法学部卒業後、電通、トレンダーズを経てフリーに。2018年7月に事実婚を発表し、2019年9月に第一子を出産。2022年9月に事実婚を解消。「週末野心手帳」などのプロデュースの他、著書多数。Twitter @ha_chu インスタグラム @ha_chu
撮影/MEGURO.8 ヘアメイク/山下光理 取材・文/濱田恵理