こんにちは。和田明日香です。
今年はいつもより早く夏がやってきましたね。夏好きのわたしでも、ちょっと待って、早くない?と、焦っております。体調崩してしまう人も多そう。お互い気をつけましょうね。
この暑さで、我が家のごはんはすっかり夏模様。夏の主食であるとうもろこし&枝豆はすでにスタメン入りしており、切っただけのトマトやきゅうりも乱発。梅干しやナンプラーの登場回数が増え、そしてとにかく冷たい麺を食べまくっています。
このままあと3ヶ月近くこんなごはんが続くんだろうなぁ、やっぱり今年はちょっと早いなぁと、食卓からも天候の変化を感じます。
▲夏はごはんを炊くより、この人たちを蒸したり茹でたりする方が多いんじゃないかと本気で思います。
2年前、コロナで閉鎖になっていた学校が再開したとき、外出禁止の日々をテーマに五・七・五を書く、という宿題が出ました。
学級通信を通じて子どもたちの作品を見ることができたのですが、家にいてつまんなかったこと、学校や友だちが恋しかったこと、いっぱいゲームしちゃったことなど、子どもたちの素直な言葉はとても心に響くものでした。
「チャイムの音がなつかしく感じた」なんてことを書いていた子もいて、切ない気持ちになったなぁ。
おかあさんおとうさんもぜひ一句、と、私たち親にも宿題が出ました。子どもを通じて短冊が渡され、めったに使うことのない筆ペンを手に、うーむと考え込んだのを覚えています。
本音を書けば愚痴になりそうだし、ポジティブなのも嘘っぽいしなぁと、なんだか体裁ばかりを気にしてしまって、子どもたちのような素直な言葉が全然出てきません。結局当たり障りのないことを書いて子どもに持たせました。
後日、匿名ではありましたが、親の五・七・五作品も学級通信で共有されました。「久しぶりに学校に行く子どもたちの姿を見て安心した」というような内容が多かった中、忘れられない一句があります。
「昼ごはん きのうも麺で 今日も麺」
最高です。
子どもたちがずっと家にいて、1日3食作り続けなくてはいけない鬱屈がなんともシンプルな言葉で表現されています。
きっと作者はとっくに麺に飽きている、いや、料理することにすら飽きているんだけど、なんとかキッチンに立っている姿が目に浮かぶようで、涙ぐましい。そしてこれを子どもの学校の宿題で書いてのけるところにも惚れます。どなたか存じ上げませんが、わたしの中でちょっとした英雄です。
来たる夏休みも、同じ状況になりますよね。子どもたちの毎日のお昼ごはんどうする問題。この時期になるといろんな雑誌からおなじような企画でオファーをいただくので、みんな悩みは同じなんだなぁと、あの英雄の一句をタスキにして身に付けたくなります。
ここでひとつ提案したいのが、チャーハン。先日、冷蔵庫の残り野菜が完全に夏仕様だった週末のある日、いつもなら麺にするところ、気分を変えてチャーハンにしてみようと思い立ちました。
この日の残り野菜は、大葉、みょうが、長ネギ、きゅうりといった薬味っぽいメンバー。きゅうりってチャーハンの具としてどうなんだろう?と、迷いながらもチャレンジしてみたら、意外なほど美味しかったんです。
▲チャーハンは季節感の出せる料理だってはじめて知りました。
長ネギ、にんじん、スパム、きゅうりを順に炒め、塩を振って具にしっかりと味をつけておきます。こうすることでどこを食べてもしっかり味がして、ムラが出ません。
具をフライパンの端に寄せたら、油を足して卵を落とします。目玉焼きを作るときのように、白身がしっかりと焼き固まってから崩すと、卵も存在感が出るのでオススメ。
それからごはん、この日は冷凍ごはんをレンチンで解凍して使いました。醤油で味付けしたら、最後に大葉、みょうが、小ねぎを投入。パラリと煽ってすぐお皿へ。薬味たちにはあんまり火を入れず、さわやかな香りを活かします。
炒めだしたらどんどん進んでいくので、具は最初に全て切っておくと焦りません。
わたしは胡椒をたっぷりかけて食べました。子どもたちは「え?きゅうり入ってんの?」とちょっと嫌そうでしたが、ペロリ完食でした。
ふいに生まれた夏っぽいチャーハン。「夏っぽいチャーハン」ってどんなのよ?って思うかもしれないけど、ぜひ試してもらいたいなぁ。
冷たい麺は正義ですが、もし気分を変えたくなった時には、その麺に入れようと思ってた具を全部チャーハンにしてみると新しい道が開けるかも。
のこりの麺つゆや袋麺の調味料をそのままチャーハンの味付けに使っちゃっても良し。そんな感じで、今年の夏も、英雄の一句を胸に乗り切ろうと思います。
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和田明日香(わだ・あすか)●料理家。東京都出身、3児の母。料理愛好家・平野レミの次男と結婚後、食育インストラクターの資格を取得。オリジナルレシピの紹介、企業へのレシピ提供のほか、講演会、コラム執筆、CM、ドラマ出演など幅広く活躍。近著『10年かかって地味ごはん。』は20万部を突破。
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