「若いときより、声が低くなった」「おじさんみたいな声になってきた…」
更年期以降から、声が低くなる女性が増えてきます。
声はその人の印象を左右する大事なポイント。老け声だと実年齢より上だと勘違いされてしまうこともあるので、困りものですよね。
今回は「老け声」の原因と対策を解説します。
(文/薬剤師 竹田由子)
老け声の原因は?
老け声の原因は、喉の奥にある声帯(せいたい)の機能が衰えることです。喉の乾燥や声をあまり出さない生活、更年期以降の老化などが、声帯の筋肉を衰えさせていきます。
1. 喉の乾燥
喉が乾燥すると、喉にある声帯も乾燥して動きが悪くなります。声帯の動きが悪くなると、「高くて響く声」が出づらくなり、低めの男性のような声になってしまうのです。
喉の乾燥は、加齢によって起こりやすくなります。歳をとると肌細胞の潤いが失われて乾燥肌になりやすくなりますが、声帯も肌と同様に乾燥傾向となるのです。
さらに、湿度の低い冬場は喉が乾燥しやすくなるため、老け声予防のためには喉の保湿を心がけましょう。
2.生活様式の変化
老け声で悩む女性が増えている背景には、生活様式の変化も関わっているようです。
コロナ禍で人と会う機会が減り、会話を控えるようになった結果、声を出す頻度が減ってしまった方も多いのではないでしょうか。
声を出さないと声帯の筋肉が衰えて、老け声が悪化してしまいます。
3.更年期による喉の違和感
更年期になると声が低くなったり、食べ物が飲み込みにくくなったりという喉の違和感を覚える女性が多くなります。
その原因は、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が更年期に減少することです。
エストロゲンが減ると声帯がむくみやすくなります。声帯がむくむと音域が下がり、低い老け声が出るようになるのです。
老け声を予防する乾燥対策
老け声を予防するためには、喉の乾燥対策が欠かせません。生活面での工夫をお伝えします。
1.秋・冬にはマスクと加湿器を
乾燥しやすい秋や冬には、喉を乾燥から守るためにマスクをつけたり、加湿器を使用したりするのがおすすめです。
コロナ禍で1年を通してマスクを着用する機会が増えていますが、喉の潤いをキープするためにも、とくに秋・冬はマスクの使用を徹底しましょう。
鼻から入った空気が乾燥していると、喉の乾燥につながるので要注意。マスクで鼻をしっかり覆ってくださいね。
室内の最適な湿度は40~60%といわれており、40%未満では喉の乾燥が起こりやすくなります。湿度計をチェックしながら、加湿器を活用しましょう。
2.こまめな水分補給で乾燥予防
こまめな水分補給は、喉を濡らすことにつながり乾燥対策になります。喉の渇きを感じなくても、意識的に水分を摂るようにしましょう。
ただし、熱すぎたり冷たすぎたりする飲み物は、喉への刺激となるのでおすすめできません。常温かぬるめの水分で喉を潤してくださいね。
3.喉アメで唾液の分泌アップ
喉アメを舐めると唾液の分泌がよくなるため、喉の乾燥予防に効果的です。
喉アメは成分によって食品、医薬部外品、医薬品の3タイプが市販されていますが、喉の痛みなどの不調がなければ、スーパーやコンビニのお菓子コーナーにあるような「食品」の喉アメがおすすめです。
ただし、喉アメには糖分が含まれているため、食べ過ぎには注意してください。
喉の乾燥防止におすすめの飲み物・食べ物は?
喉の乾燥を防ぐのにおすすめの飲み物や食べ物を解説します。
1.飲み物
どんな飲み物でも喉を潤せるので乾燥対策になりますが、とくにおすすめなのは生姜の入った飲み物です。
生姜にはジンゲロールやショウガオールなどの成分が含まれており、血流をよくしてからだを温めたり、炎症を鎮めたりする効果が期待できるからです。
また、「どんな水分でも喉は潤う」とはいうものの、炭酸飲料の摂りすぎは喉への刺激になるので注意しましょう。
さらに、アルコールや過度のカフェインは利尿作用から乾燥につながる恐れもあるため、あまりおすすめできません。
2.食べ物
喉の乾燥予防には、大根おろしがおすすめです。
生の大根をすりおろすと出てくる辛味成分イソチオシアネートには、殺菌・抗炎症作用が期待されており、乾燥によって弱った喉粘膜をいたわるのに効果的とされています。
ただし、イソチオシアネートは熱に弱く、時間がたつと揮発して失われてしまうので、すりおろしたばかりの新鮮な大根おろしを食べるようにしましょう。
3.老け声や喉の乾燥には漢方も有効
「もっと効果的に老け声対策をしたい」という方には、漢方薬がおすすめです。漢方薬は耳鼻咽喉科など実際の医療現場での治療にも使われています。
東洋医学では、喉の違和感は気や水分代謝の乱れによって生じる潤い不足が原因と考えられています。漢方薬は、からだの内側から水分や気の巡りをよくすることで、不調を改善します。
さらに、漢方薬は自然由来の生薬成分が穏やかに働くので、一般的に西洋薬よりも副作用が少ないとされているのもメリットといえるでしょう。
<声の枯れや喉の違和感でお悩みの方におすすめの漢方薬>
・半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
気分がふさいで、咽や食道に異物感があり、ときに動悸や嘔気などを伴う方のしわがれ声などの改善に用いられます。
・甘草湯(かんぞうとう)
しわがれ声やのどの痛み、咳などのある方に用いられます。喉の痛みや炎症をやわらげて、声の枯れた状態を改善します。
漢方薬を選ぶときに重要なのは、その人の状態や体質に合っているか、ということです。うまく合っていないと、場合によっては副作用が生じることもあります。
どの漢方薬が自分に合うのかを見極めるためには、プロの力を借りるのがおすすめです。「あんしん漢方」などのオンライン漢方サービスに、一度相談してみるのもいいでしょう。
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喉の潤いをキープして、いつまでも若々しい声でいよう!
男性のような低い声「老け声」は、更年期以降に多くなる喉トラブルです。
喉が乾燥していると老け声が悪化しやすくなるため、日ごろから水分補給や保湿を意識して、喉の潤いをキープしましょう。
喉トラブルには漢方薬も効果的です。専門家に気軽に相談してみてくださいね。ハリのある澄んだ声を保って、明るい毎日を過ごしましょう!
<この記事を書いた人>
あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師 竹田 由子
薬剤師。元漢方・生薬認定薬剤師で薬膳漢方マイスター。
大学院では臨床薬学を専攻、病院に10年間勤務。結婚後は調剤薬局へ勤務するのと並行して、ライターとしての活動も始める。
腎機能低下を機に、月経痛への鎮痛剤使用量を漢方で減量成功した経験があり、「日常の不調はまず漢方」をモットーに生活を送る。
病院時代の長いDI経験を生かし、薬の面から分かり易くサポートしたいと考えている。
現在は、漢方のプロがAIを活用して自分に適した漢方薬を選びお手頃価格で自宅に郵送してくれる「あんしん漢方」でも情報発信をしている。
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