スーパーでもデパートでもコンビニでも、 お正月気分が過ぎると、あちらこちらで見かける特設のチョコレート売り場。
今年もバレンタインデーが近づいてきました。
有名パティシエの高級チョコレートから、手作り派にうれしい本格カカオの板チョコまで、令和の時代になっても変わらず、この期間はまさにチョコレート天国。
14日までの間、今年はどうしようと悩むのも楽しいものです。
ところで、いったいいつからバレンタインデーにはチョコレートが欠かせなくなったのでしょうか。
世界のバレンタイン事情
現在、40代前半の筆者。
小学生のころにはすでに、女性から男性へチョコレートを贈り、愛を告白する日として親しまれていました。
ふだんは見かけない、かわいい形のチョコレートやリキュール入りの大人のチョコレート。
そして大きなリボンのついた華やかなラッピングに、初恋のドキドキもともなって胸がときめいたものです。
しかし、これは日本独自の文化!
世界のバレンタイン事情を調べてみると、 アメリカやイギリスでは男性から女性へプレゼントを贈ることがほとんど。
チョコレートのほか、キャンディやシャンパン、バラの花束やジュエリーなどプレゼントのバリエーションも豊富です。
少し変わったところでいうと、フィンランドでは、「フレンズデー」と呼ばれ、
博愛を意味するチューリップやちょっとしたプレゼントを友人同士で贈り合う日なのだそう。
バレンタインの起源とは?
このように世界各地で、さまざまな楽しまれ方をしているバレンタインデーですが、
そもそもは、古代ローマに起源があります。
当時のローマでは、皇帝であるクラウディウス2世により、兵士が家族をもつと士気が下がるという理由で婚姻が禁止されていました。
しかしキリスト司教ウァレンティヌス(バレンタイン)はこの考えに反発し、若者たちの結婚式を執り行いました。
その結果、皇帝の怒りに触れ、270年の2月14日処刑されることとなります。
その後、496年にローマ教皇ゲラシウス一世が、
キリスト教の布教の立役者でもあるバレンタインにちなんで
2月14日を「St.Valentine’s Day(バレンタインデー)」と制定。
制定目的としては、バレンタイン司祭の死を悼む宗教的意味合いが濃いものでしたが、長い年月をかけてそれぞれの国の文化と融合し、「愛の日」として親しまれていくようになったようです。
(※バレンタインデーの起源については明確な史実がないので、諸説あります)
日本のバレンタインヒストリー
ところで、ここ日本で最初に「バレンタイン」という言葉が発されたのは、1936年のこと。
神戸に拠点をおく製菓メーカー「モロゾフ」が、
東京で発行されていた英字新聞に「あなたのバレンタイン(=愛しい方)にチョコレートを贈りましょう」という広告を掲載したことが記録に残っています。
しかし、その頃日本は、日中戦争が始まろうとしている不安定な社会情勢。
バレンタインという言葉、そしてチョコレートを贈るという風習は世間に浸透することなく、年月が流れました。
再び、「バレンタイン」が注目されたのは1958年のこと。
東京に拠点をおく製菓メーカーの「メリーチョコレートカムパニー」が、日本初の「バレンタインフェア」を百貨店で行ったのです。
ですが、そのとき売れたのは板チョコレートが3枚とメッセージカードが1枚…。
売り上げは、たった170円だったのだとか。
今考えるとSNSのない時代、
風習の元となるヒット商品や流行はそう簡単に生まれるものではなかったのかもしれません。
しかし、翌年、同メーカーがハート型のチョコレートに鉄筆で贈り手と相手の名前を入れられるチョコレートを発売したところ、たいへんな注目を集めることとなります。
この頃日本では、女性週刊誌が次々と創刊され、女性のライフスタイルに変革がおき始めていた時代。
その風潮のなかで『1年に1度、女性から男性へ愛の告白ができる日』というメリー考案のキャッチコピーは女性の心を捉えたのでしょう。
(※出典「メリーカムパニー公式サイト[メリーのバレンタインヒストリー])
1970年に入ると、子どもたちの間でもバレンタインデーがもてはやされることとなります。
なんといっても「告白できる日」。
校内で淡々と日々を過ごす子どもたちにとっては、これ以上のドキドキはありません。
文化祭や卒業式、修学旅行などと並んで、気分が盛り上がる特別な日として、好意的にとらえられ、いよいよ社会全体に日本独自のバレンタイン文化が浸透することとなりました。
そんな風潮のなか、1980年に誕生したのが「義理チョコ」。
バレンタイン文化が定着したからこそ生まれたものであり、その当時の国民性を物語っているともいえます。
多様化するバレンタイン
博報堂生活総研「生活定点」調査によると、
「お中元・お歳暮以外で、1年以内に贈り物をもらった時はどんな時?」という質問に対し、
「バレンタイン」と答えた方は、 男性は、1998年、2008年、2018年、共に2位なのに対し、
女性は、1998年11位、2008年7位、2018は6位と上昇傾向に。
つまり、女性がバレンタインにチョコレートをもらうようになってきているということ。
この結果は、バレンタインデーが多様化していることを意味していますね。
ここ数年で「友チョコ」「ご褒美チョコ」「逆チョコ」などという言葉も生まれ、
自由に楽しく、バレンタインを楽しんでいる様子がわかります。
そこで気になるのが、みなさんのバレンタイン事情。
チョコレートの種類も、贈る目的も多様化するなか、今年はどんなふうに楽しむ予定なのでしょうか。
みんなのバレンタイン&今年のトレンドは?
『暮らしニスタ』の「主婦100人!アンケート隊」にご協力いただき、リアルな声を聞いてみました。
「バレンタインデーに旦那さんへチョコレートを贈りますか?」
―はい 72%
―いいえ 22%
―その他(チョコレート以外のプレゼントや外食、母子家庭の方) 6%
回答を見ると、時代はかわっても、この日ばかりは女性から男性へのチョコレートプレゼント文化は健在のよう。
「いいえ」と答えた方の理由をみてみると、 甘いものが苦手、一緒に食べられるものを選んだり外食するという合理的な意見の一方、
なんとなく渡さなくなったり、娘さんがかわりに渡してくれるようになったなど、
時間の経過とともに変化する関係性も影響しているようです。
「はいという方に質問です。それはどんなチョコレートですか」
―デパートなどでちょっと高級なものを買う 25.5%
―手作りする 23.5%
―スーパーなどで購入 21.6%
―子どもたちと手作り 21.6%
―その他(チョコ以外の好きなものなど) 7.8%
なんと購入派と手作り派がほぼ半々という結果に。
購入する派としては選ぶ楽しさ、手作り派としては作る楽しさ。
そしてどちらにも共通するのが、旦那さんが喜んでくれることのうれしさ。
プレゼントは贈る側も楽しいということにほかなりません。
購入派の方の予算については、1000円までが一番多く、ついで3000円まで、500円までの順でした。
ちなみに、今年のチョコレートのトレンドは、日本酒や日本茶入りの和風テイストのものなんだそうです。
写真はメリーチョコレートの「日本茶コレクション」
宇治抹茶やほうじ茶など、日本人に馴染みのある6種類の日本茶とチョコレートのハーモニーを楽しめます。
9個入 ¥1,512 4個入 ¥756
こちらから購入ができます。
http://maryshop.jp/shop/g/g4637/
まとめ
時代とともにバレンタイン事情が変化していることがわかりました。
イベント化したバレンタイン文化に疲れを感じる人もいるようですが、それならそれで「参加しない」と意思表示できるのも、今の時代のいいところ。
なにごとも「社会の波に乗る」から「自分で流れをつくる」時代なのでしょう。
競争から協奏へ。
嗜好品であるチョコレートが注目される、平和なバレンタインデーが続きますように。
今年もハッピーバレンタイン♡
取材協力/メリーチョコレートカムパニー
文・小野広美
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