パクチーは好きですか? “パクチニスト”と呼ばれるパクチー好きな人たちがいる一方で、「パクチーは大の苦手!」という人も多いのではないでしょうか。
それでも、一度そのおいしさに目覚めるとやみつきになる人が多いのが、パクチーのすごいところ。
今回はそんな魅惑の食べ物、パクチーについて、味や香りの秘密にアプローチ。
パクチー嫌いをきっと克服できるレシピも集めてみました!
そもそもパクチーって?
パクチーとは、地中海沿岸を原産とするセリ科の香味野菜。
日本では「パクチー」というタイ語の名称が広まっていますが、中国語では「香菜(シャンサイ)」、ヨーロッパなどでは「コリアンダー」と呼ばれています。
古代ギリシャではすでにパクチーの種が薬草として医療に役立てられていたと伝わるほど、長い歴史を持つ食材です。
葉・茎・根・種が食べられる
パクチーを特徴づけるのは、なんと言っても強烈な芳香。
その香りを生かして、薬味として使うほか、サラダやスープ、煮物、炒め物、揚げ物、オーブン焼き、麺類などいろいろな料理方法で楽しめるのが、パクチーの魅力です。
とくに葉や茎はハーブや主に葉物野菜に、「コリアンダーシード」とも呼ばれる種は、スパイスとして使われるのが一般的。根を食べることもできますよ。
パクチーは各国で人気!
パクチーを使った代表的な料理は、タイ料理のトムヤムクンやタイスキ、ベトナム料理の「フォー」や「ゴイクン(生春巻き)」、メキシコ料理のサルサソースなど。
タイ料理や中国料理、ベトナム料理、メキシコ料理などでは欠かせない食材ですよね。
また、ヨーロッパでも肉料理や魚料理の香りづけに使うことがあります。
日本へは平安時代ごろに伝来し、近年になってパクチーブームが続いています。
パクチー料理専門店が登場し、パクチーを大量に使うパクチーサラダなど、パクチー好きな人にはたまらないメニューが並びます。
パクチーをよく使うタイでも、本場ではパクチーは薬味に少し使う程度で、日本のようにパクチーの葉をもりもり食べる料理は邪道だ、と言うこともありますが…。
日本ならではのパクチーの楽しみ方がされているのも、またパクチーの魅力によると言うもの!
パクチーの旬は春から初夏
パクチーはスーパーマーケットなどでも売り場に並ぶことが増加。
ますます身近な食材になってきましたよね。
売り場では通年見かけることがありますが、露地栽培のものなら春から初夏に収穫されたものが旬。
この時期に手に入ったら、味の違いを噛みしめながら味わってみるのもいいかもしれません。
デトックス効果と栄養価も人気の秘密
パクチーには体内に蓄積された水銀やスズなどの金属を、体外に排出させるデトックス効果が期待できると考えられています。
さらに、疲れを解消してくれるビタミンB2、美肌効果が期待できるビタミンCを含むほか、抗酸化作用があって活性酸素を抑えるβカロテンやビタミンEがたっぷり。
カルシウムを骨に定着させる働きがあるビタミンKも豊富です。
パクチーが女性から人気を集めている理由には、こうした面もあるかもしれませんね。
パクチーってどんな味?
パクチーの味を思い浮かべることはできますか?
青々しい香りがあって、後味はすっきり。独特の香りで風味が増し、辛い料理を引き立ててくれて…。
こうして考えると、思い浮かぶのはパクチーの香りのことばかり。「舌で感じるパクチーの味はどう?」と聞かれると、「あれ、どうだったかな?」と答えるのが難しいかもしれません。
実は、パクチー自体には甘い、酸っぱい、辛いといった味の特徴はほとんどありません。
鼻をつまんで香りを嗅がないようにして味わってみると、わかりやすいかもしれません。
葉や茎などには、味の癖はなく、噛むとほんのり苦みが出る程度。
口に入れた瞬間、強烈な香りが広がるので、「パクチーは癖がある食材」というイメージを持ちがちなのですが、これはあくまでも香りの話なのです。
ただし、食べものの味の感じ方については諸説あるものの、視覚や嗅覚、聴覚などいろいろな感覚が混ざり合った感覚が味覚である、と言われていますよね。
なかでも、嗅覚は味覚の95%を占めるという説もあり、味の印象を決めるのに重要なポイントです。
ですから、舌だけ感じる味なら「パクチーは味がしない」となりますが、やはり嗅覚で感じる香りを含めたすべてがパクチーの味。
「青々しい」、「清涼感がある」といった香りの印象は、すなわち味の特徴と言っても過言ではないようです。
どうして好き嫌いが分かれるの?
パクチーは好き嫌いがはっきり分かれる食材です。
これまでも「パクチーが好きですか?嫌いですか?」といった調査が各種団体によって行われていますが、その結果、「パクチーが嫌い」と答える人のほうが多数を占めることも珍しくないようです。
つまり、パクチーはやみつきになる人がいる一方で、嫌いにもなりやすい食材ということ。
その原因について考えてみましょう。
諸説ありますが、ここでは3つ挙げてみました!
日本ではなじみが薄い
日本ではパクチーブームが続き、日ごろからパクチーを食べる人はずいぶん増えていることでしょう。
それでも、パクチーは日本の家庭料理では登場することが少ない食材。
和食にはないエキゾチックな香りがあり、慣れるまでには戸惑う人も多いようです。
香りのクセが強い
日本ではなじみの薄いスパイスやハーブのなかでも、パクチーの香りはとりわけ強烈。
パクチー嫌いの人の多くは、そうしたパクチー独特の芳香に抵抗感を持つようです。
厳密には、パクチーの香りは葉や種といった部位や成熟具合によって異なるもの。
葉や未熟果のほうは、防虫剤などに用いられる樟脳のような青々しい香り。
これは複数の「アルデヒド」という成分が組み合わさったものです。
一方、完熟した種子や実のほうは「コリアンドロール」が主成分で、甘くオレンジにも似た香りがします。
ただ、いずれも癖が強く、嗜好性が強い香り。
ですから、一度口にしただけで嫌いになってしまう人とファンになる人、どちらかにはっきり分かれてしまうと考えられています。
遺伝子が関係する?!
パクチーの好き嫌いが分かれる理由としては、ほかに遺伝子が関係しているとする説があります。
これは米国のある研究結果によるもの。
その研究によると、パクチーの香りを苦手に感じる遺伝子が存在するのだとか!
パクチーの葉や未成熟の実が持つ香りの主成分は「アルデヒド」であることは先ほどお伝えしましたよね。
そのアルデヒドの成分を嗅覚が感じると、過敏に反応してしまうのが「OR6A2」という遺伝子。
生まれつき「OR6A2」を体内に持つ人は、パクチーの香りを嗅ぐと「パクチーは食べ物ではない」と脳が認識してしまうのだそうです。
この場合、パクチー嫌いを克服するのは至難の業かもしれませんね。
カメムシと同じ...?パクチーの匂いの真実
日本ではパクチーは「カメムシ草」と呼ばれることもあります。
食べ物なのにカメムシとは!
カメムシを実際に食べたことはなくても、なんだかマズそうだな…という印象を持ってしまいますよね。
この名前の由来にもやはり香りが関係していて、パクチーの葉の香りがカメムシの匂いに例えられることがあるため。
さらに成分で比較しても、パクチーとカメムシの香り成分には同じものがあることがわかっています。
その成分とは、アルデヒド系の成分。
アルデヒドとは、先ほどから話に何度か登場している通り、パクチーの香りを主に作るものです。
そのアルデヒド系の成分は、カメムシの匂いのもとにもなっています。
パクチーとカメムシの香りが似ているのは科学的にも根拠があるのですね。
ちなみに、アルデヒド系の成分は石けんにも含まれています。
石けんの香りはよいものですが、「食欲をそそる」という香りではないかもしれませんよね。
また、口にするもので言えば、シナモンの香りもアルデヒド系の成分によるもの。
パクチーが苦手な人はシナモンも苦手ということが多いようですよ。
強烈なにおいを抑えるには?
パクチーの強烈な香りを抑えるには、いくつかコツがあります。
ここでは5つの方法を挙げてみました。
「みんなと一緒にパクチーが食べたいけれど、あの香りが苦手で…」と困っている人や、「好き嫌いを克服したい!」と願っている人は必見!
逆に、パクチーの香りが大好きな人は、次に挙げた方法を避けるようにすると、香りをより楽しめるようになります。
よかったら、試してみてくださいね。
パクチーの匂いを抑える方法1…乾燥
パクチー好きの人なら、ドライパクチーを振ったチップスを食べて物足りなく感じたことがあるのではないでしょうか。
パクチーは乾燥させると香りがほとんどなくなるので、慣れないうちは乾燥タイプのパクチーから食べ始めるのもおすすめ。
生のものを買ったときは、天日干しにすることでも手軽に乾燥させることができます。
乾燥させることで長く保存しやすいのもメリット。
パクチーの匂いを抑える方法2…加熱
パクチーの香り成分は蒸発しやすく、熱を加えることでも飛びます。
炒めたり煮込んだり揚げたりと、加熱することでパクチー自体の香りはかなり弱くなります。
加熱調理をしないときでも、熱々のパスタやスープなどに添えて、よく混ぜるだけでもパクチーの香りを弱める効果が期待できますよ。
パクチーの匂いを抑える方法3…混ぜる
香り成分をめいっぱい飛ばす、というわけでないのですが、気にならない程度に紛らわすのがこの方法。
玉ねぎ、にんにく、生姜、ハーブ、納豆、ごま油、オリーブオイルなど、香りの強い食材と混ぜて味わうとパクチーの香りが感じにくくなります。
パクチーの匂いを抑える方法3…包む
包む、そして加熱をする、という2段階で香りを抑える方法。
春巻きや餃子の皮などにパクチーやほかの具材を包みこみ、揚げる、または焼きましょう。
出来上がったものに生のパクチーを添えるより、具材として包み込んだほうがはるかに香りは和らぐはず。
包むときには、玉ねぎや生姜など匂いの強い食材と一緒に混ぜればさらに効果的。
パクチーの匂いを抑える方法5…刻まない
「苦手なものは細かく刻んで」が好き嫌い克服のための定番方法ではありますが…。
パクチーに限っては逆。パクチーの香りは、刻むことで強く感じられるようになるのでます。
ですから、パクチーの香りが苦手な人はできるだけ刻まないようにするのがおすすめ。
とくにサラダなど、パクチーを生で食べるようなときには細かく刻むのは避け、思いきって大きいまま口に入れるとよいでしょう。
苦手克服!?パクチーを使ったアレンジレシピ5選
パクチーの香りが気になる人は、乾燥、加熱、混ぜる、包む、刻まない、の5つのコツで香りを抑えることができるとわかりましたよね。
それをふまえて、パクチー嫌いな人でも食べやすい工夫がされたレシピを5つ厳選。
家庭でカンタンに作れて、かつ、パクチーのおいしさにきっと目覚められるレシピばかりなので、ぜひ作ってみてくださいね。
旨すぎ!エスニックオムレツ
【材料(2~3人分)】
卵…3個
ツナ缶(オイル漬け)…1缶
あおさ(焼きのりを細くしてもOK)…大さじ3
パクチー(パクチーチューブでも)…適量
玉ねぎ…1/2個
塩・こしょう…各少々
スイートチリソース…大さじ1
ナンプラー…小さじ1/2
レモン汁…小さじ1/2
ハバネロソース…数滴
匂いの強い玉ねぎと一緒に。
しかも卵で包んで焼くからパクチーが食べやすく変身!
ツナやあおさ、パクチー、炒めた玉ねぎなどを入れて焼いたオムレツは、ピリ辛のつけダレと相性抜群です。
卵は半熟でササッと仕上げるのがおすすめです。
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スイッチポンでやわらか♪本格よだれ鶏
【材料(2~3人分)】
鶏むね肉…1枚
片栗粉…適量
しょうがスライス…3~4枚
ねぎの青い部分…1本分
ピーナッツ、パクチー…適量
<たれ>
しょうゆ…大さじ3
はちみつ、酢…大さじ2
ラー油…大さじ1
しょうが(みじん切り)…小さじ2
長ねぎの白い部分(みじん切り)…1本
白ごま…大さじ1
生姜やラー油、ねぎなど香味が効いているから、パクチーの香りが気になる人でもきっと大丈夫。
しかも炊飯器のスイッチを押すだけ調理できる、簡単レシピです。鶏むね肉をしっとりやわらかな味わいに仕上げられるのもポイント。
カリカリとしたナッツが好アクセント。
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レモンの香りがたまらない!アボカドとお豆のサラダ
【材料(3人分)】
アボカド…2個
茹で豆(レッドキドニービーンズ)…200g
トマト…1個(102g)
紫玉ねぎ…20g
パクチー…10g
クリームチーズ…80g
白ごま…小さじ2
レモンのしぼり汁…大さじ2
オリーブオイル…大さじ2
ハチミツ…小さじ1
塩・コショウ…少々
レモンの皮のすりおろし…1/2個
クミン…少々
生のパクチーは、香りのよいオリーブオイルやレモンと混ぜることで食べやすい味わいに。
パクチー、アボカド、キドニービーンズ クリームチーズ、トマト…個性豊かな食材を、レモン風味のドレッシングがうまくまとめてくれます。
クミンがエスニックな香りを生むのもポイント。
2018.05.17これからの季節にピッタリなさわやかでボリュームたっぷりのサラダです。アボカドとキドニービーンズ クリームチーズとトマトにパクチー何となくバラバラな食材ですがこれをうま~くまとめてくれるのがレモンです。このレモンの酸味とオリ...続きを見る
簡単!ヘルシーランチ☆鶏だしでフォー
【材料(2人分)】
水…500g
鶏ガラスープの素…大さじ1
ナンプラー…大さじ2~3
しょうゆ…小さじ1
鶏のササミ…1枚
塩・こしょう…少々
お酒…大さじ1/2
もやし…1/3袋くらい
パクチー…好みの量
レモンなど…好みの量
鶏ガラスープの素でササッと作ったスープは、ナンプラーと醤油を入れて、パクチーを添えることで本格的な味わいに。
もやしをたっぷり入れると、よりヘルシーに仕上がります。
パクチーに慣れていない人は、もやしと一緒に加熱したり、レモンを入れたりすると食べやすくなりますよ♪
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ラテン系魚介類のマリネ☆セビーチェにしらたきプラス。ピリッと爽やかつるるんダイエット!
【材料(2人分)】
刺身用のタコ…150g
しらたき…1袋
オニオンスライス…半玉分
トマト…半玉分
刻みネギ…適量
レモン汁…大さじ2
オリーブ油…大さじ2
塩…小さじ1
ブラックペッパー…少々
唐辛子…1/2本
ドライパクチー…好みの量
ペルーやブラジルで人気の料理、セビーチェ。
タコやエビ、ホタテなど好みの魚介を使って作りましょう。
しらたきプラスでボリュームもアップ!
乾燥したパクチーを使うので、パクチーの香りは控えめ。
パクチーが好きな人は生のパクチーを刻んで加えるのもいいですね。
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まとめ
パクチーの香りがカメムシと同じ成分を持つというのは衝撃的ですよね。
それでも独特の芳香を生かすことで、トムヤムクンやゴイクンなど世界各国のおいしい料理が作られているのも事実です。
「臭い!」と嫌う人がいるにもかかわらず、世界で親しまれている魅惑の食材、パクチー。避け続けるのももちろん自由ですが、もし、食わず嫌いであったなら一度チャレンジしてみてください!
取材・文/北浦芙三子
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