上質な暮らしのヒントを求めて、くらしのコーディネーター・yukoさんのおうちへお宅訪問!
今回のテーマは、「器」。ショップで使われる食器のコーディネート、スタイリングも手がけるyukoさんは、当然ながら大の器好き。料理に合わせて器を選ぶのは、yukoさんにとってはごく自然なことです。
ふだんのごはんが、おいしく、楽しくなる器の選び方、組み合わせ方を教えていただきました。
気分やシーン、料理に合わせて器を選ぶ
yukoさんの日々の食卓を見ていると、毎日のごはんに彩りを添える器の魅力に改めて気づきます。同じ献立も、盛りつける器によって表情を大きく変えるもの。
「今日も1日がんばってね」「苦手な野菜もひとくちチャレンジ!」「大好物で元気を出そう」、yukoさんの器選びには、家族へのそんなメッセージもこめられているようです。
特別な日はもちろん、なんでもない普通の日も、日々の料理に合わせて器を使い分けているyukoさん。食器棚には、じっくり時間をかけて集めてきたお気に入りが並びます。
「シンプルでいて、表情がある器に惹かれます。たとえば白いお皿でも、真っ白でつるんと均一な質感のものより、よく見たら釉薬の流れ方にニュアンスがあったり、温かみのある生成りだったり、器の個性が感じられるものが好きですね」
無機質な器はどんな料理にもそつなく合って便利ですが、万能な食器に頼りきってしまうのはちょっともったいないことなのかもしれません。
器の個性を見ながら、料理や気分、シチュエーションに寄り添う器を取り出し、盛りつける。食器棚を見渡して、「今日はこれにしよう!」とサッと考えるその時間は、日々の料理を楽しむことにもつながります。
組み合わせでこんなに変わる! スタイリングのコツ
「新しい器を買うときには、今使っている器たちとの相性をよく考えます。自分の作る料理を盛りつけた姿をイメージして、しっくりくるかどうか、がひとつの判断基準です」
“相性”は、yukoさんの空間づくりに共通する大きなキーワード。テーブル全体のバランスをイメージして、その日の献立にあう器にチョイスします。
器の選び方でどんなふうに印象が変わるのか、いくつか実例を見ていきましょう。
①形や色で変化をつける
Before
活躍度の高い白い器で作るコーディネート。色合いも丸い形も似ていて調和はとれていますが、少々単調でのっぺりした雰囲気です。
After1
右側の1枚を長八角皿にチェンジ。やわらかな曲線を描く丸い器のなかにすっきりとした直線の八角皿が入ることで、心地いいリズムが生まれました。
After2
さらに白い小皿の代わりに柄のある豆皿を投入! 絵付けの皿が入ることで、白い器たちの微妙なニュアンスも引き立つよう。しっとり上品でいて、遊び心も匂わせるスタイリングに変身しました。
②高さのバランスをそろえる
Before
たとえば、煮物を左側の白い深鉢に、おひたしを奥の丸皿に、焼き魚を手前の平皿に。日々の献立に活躍しそうな組み合わせに思えますですが、yukoさんはちょっと首をひねっています。
「それぞれ単品で盛りつければ料理にも合ってしっくりくるのですが、3つの器を並べるとどこか違和感が出るような気がします。その原因は、深鉢2つと平らなお皿の高低差がありすぎること」
After
高さのある器から平皿と、3つの器の高低差をなだらかに。形や色はそれぞれに違う器たちですが、違和感がなくまとまっています。視線がスムーズに流れることも、心地よい食卓をつくる隠れポイント!
③木やガラスをプラスする
before
yukoさんの食卓で最も活躍するのは、温かみがあってふだん遣いに扱いやすい陶器のお皿たち。まずは陶器だけで、普段の食卓をイメージしたコーディネートを見せていただきました。
それぞれの器の個性が引き立ちながら、全体としても心地いいまとまり。この器の組み合わせだったらどんな献立がいいかな、と妄想するのも楽しいですね。
After1
では、陶器の深鉢をガラスのものに変えてみましょう。ガラスの透明感で軽やかさがプラスされて、抜け感が出ました。ガラスボウルは、野菜やスープの色をきれいに見せてくれるため、食卓が明るく華やかになる効果も。
After2
木製のカッティングボードを加えてみると、さらに印象が変わります。陶器だけのスタイリングと比べて、よりカジュアルに楽しそうな雰囲気になりました。
カッティングボードは、小さく結んだおにぎりを並べたりと、yukoさんの食卓でも登場回数の多いアイテム。こうして置いてみるだけでも、みんなの手が伸びる様子が想像できますね。
盛りつけで毎日ごはんをバラエティ豊かに
撮影/yukoさん
こちらは、ある休日の朝ごはんの様子。「色や形では変化をつけること」「高低差をつけすぎないこと」「木やガラスも加えて重くなりすぎないようにすること」、さきほどの3つのポイントがすべて網羅されています。
カッティングボードには塩むすびを、奥の深鉢にスクランブルエッグ、黒い小鉢にひじきの煮物、楕円の平皿に鮭の塩麹漬け焼き、半透明のガラス鉢にはにんじんのみそきんぴら、手前にはブロッコリーのこんぶ茶あえ、豆皿に梅干し。お椀に、あつあつのお味噌汁をよそって「いただきます!」。
ブッフェ気分になれる盛りつけが、おやすみの日のちょっぴり特別な気分を盛り上げてくれますね。
撮影/yukoさん
yukoさんのおひとりさまランチ。木のトレイを使って、定食風のスタイリングに。
「冷蔵庫にある余り物です」と yukoさんは笑いますが、温かみのあるカフェのような和定食はとても余り物には見えません。全体をまとまりよく見せてくれる木のトレイは、スタイリングを格上げする優秀アイテムといえそうです。
撮影/yukoさん
こちらもある日のおひとりさまランチ。ワンプレートにおむすびやおかずがギュギュッ!
「手前の春巻きは、スティック状の野菜を春巻きの皮で巻いて素揚げ。塩をパラリと降っていただきます。簡単で、おいしくておすすめです! スパニッシュオムレツとキヌアと豆ときのこのサラダは前日の夕食の残りです」。
カジュアルなワンプレート盛りも、リムのあるお皿を使うとゆったり上品に。あわただしい毎日のなかで、「ひとりで食べるお昼はつい適当になっちゃう」という方も多いかもしれません。
「前日の残りばかりのランチも、盛りつけ次第で夕食とはまた違った雰囲気に。お気に入りの器に盛りつけて、ほっとひと息つける時間って、心の余裕にもつながりそうな気がします」。
思い込みにとらわれず、自由に遊んで
大皿、銘々皿、豆皿、木のトレイ、同じ料理も器を変えるだけで雰囲気がガラリと変わります。
大皿はメインのおかず用、豆皿は副菜用、といった風に用途を限定せず、いろいろな使い方を試してみるのも楽しそう。
yukoさんは、子どもが苦手な野菜は、小さな豆皿にちょこんとのせて「これだけだから食べてみよう!」と出してあげることもあるそう。
また、焼き魚を銘々皿ではなく、大皿にドーンと盛りつけて、各自がとりわけるスタイルにすることも。yukoさんに教わった3つのスタイリングのコツをおさえながら、今日からぜひ器遊びを楽しんでみましょう。
【プロフィール】
yukoさん
くらしにまつわるコーディネーターとして活躍。レンタルスペースオーナー、ショップのインテリアや器のコーディネート、レシピの考案などを手掛ける。日々の暮らしを切り取ったインスタグラムも人気(@_____.yuko)。女性誌や暮らしのムック本など、掲載誌多数。3児の母。
くらしのコーディネーター・yukoさんのおうち時間①、②はこちら
2018.12.05すてきなあの人の素顔の暮らしを知りたい! 連載第2回目はくらしのコーディネーターとして活躍するyukoさんのおうちへ。暮らしを楽しむアイデアやセンスのいいしつらえが注目を集めるyukoさん。日常を切り取ったインスタグラムも...続きを見る
2018.12.14yukoさんのお宅の中心は、キッチン&ダイニング。食事やお茶の時間はもちろん、子どもたちが遊んだり、テレビを見ながらくつろいだりと、家族が集うスペースです。また、yukoさんにとっては、一日の大半をここで過ごし、家事や仕事...続きを見る
撮影/土屋哲郎(主婦の友社)、取材・文/浦上藍子
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