もともと日本は、流行り物に弱い国民。江戸はいうに及ばず、「このごろ都に流行るもの・・・」という言葉は昔からあります。もうじき終わる平成の御代の流行り物は、「ネット」と「美容と健康」でしょうね。美容、健康は、これが「長期主流」というものはありませんが、テレビで紹介されると、スポット的にその商品がものすごく売れたりします。
ただそんな中にも、定番化しているものがあります。それは「野菜・果物ジュース」。朝飲むととても気分がいい一杯です。種類としては、ミニブレンダー(ミキサー)を使った「スムージー」と、スロージューサーを使った「フレッシュジュース(コールドプレスジュース)」。今回は、スロージューサーのお話です。
なぜ値が張るのか?
同じジュースを作る家電でも、ブレンダーとスロージューサーでは値段がかなり違います。これには明確な理由があります。それはスロージューサーは、機械としての精度がより要求されるためです。
スロージューサーは0.5〜1.5回転 / 秒で野菜、果物をゆっくりと搾ります。ゆっくりなのは、摩擦熱により成分が壊れるのを防ぐためです。この時、中で詰まったりすると逐一分解して掃除しなければなりません。そうならないためには、低回転でも力のあるモーターが必要ですし、スクリュー(下写真はヒューロム社製)、ジュースを濾すメッシュなどの組み合わせ精度が高いことが要求されます。高回転で刃をグルグル廻して、細かくカットするスムージーとは違うわけです。このため、どうしても値が張ってしまいます。
スロージューサーの凄味
しかし、一口飲めば、スロージューサーには、その価値があると納得して頂けると思います。絹のような滑らかな舌触りとのど越し。濃厚で、記憶に残る味わい。フルーツそのものを食べるより、実に強烈な味です。健康ドリンクとしてだけではなく、飲み物としても最上級の部類に属します。その上、栄養の劣化も少ない。エッセンスの塊のようなドリンクと言っても過言ではありません。
人の食べる楽しみは、終生です。ただ年を取るにつれ、量を受け付けなくなります。しかし、それでも美味しいものと出会うとうれしいモノです。スロージューサーはそんな体験を日常的にすることができます。
レシピは野菜と果物のミックスが基本
フレッシュジュースは、高くて手が出ないと思われている人はいないでしょうか?確かにりんごなども品種改良されまくり、昔のりんごでは考えられないような甘いりんごもあります。価格もかなり高め。しかしフレッシュジュースの基本は、「旬」を頂くことです。その季節の野菜と果物で、美味しいジュースを作れます。「旬」だと走りものは高いですが、量が出始めるとグッとリーズナブルです。
まず、野菜:2に対し果物1が、基本イメージ。野菜は「ニンジン」「小松菜」、果物は「りんご」が定番。りんご以外では「パイナップル」、もしくは「グレープフルーツ」などの柑橘類がおすすめです。この冬は大雪のため葉物野菜が異常なまで、高騰しましたが、小松菜はある程度の価格でしたし、ニンジンは安定していました。りんごはそれなりに持ちますので、通販で「わけあり」を買うのも手です。なんせ、食べるよりよほど甘いですからね。多少甘くなくても大丈夫。リーズナブル価格で体にも優しいです。果物のみのジュースを楽しむのも乙なもの。蜜柑を搾ると、名高い「××ジュース」より濃厚。濃縮還元では味わえない美味しさが、口いっぱい広がります。
パーツ洗浄のわずらわしさが評価の分かれ目
ユーザー寸評で、スロージューサーは評価が真っ二つに分かれることが多いです。それは、ジュースのよさを褒め称える人と、後片付けの手間が大変というものです。スロージューサーは、スクリュー、メッシュ、羽根の3つのパーツが重なり合い、それを上下でサンドする構成が一般的です。要するにバラすとパーツが5〜6個あることになります。後片付けの時の問題は、洗いより、乾燥時にあります。パーツが多いので、嵩張るのです。乾燥かごがもう一つ欲しくなるのは事実です。
メーカーも心得ていて、パーツを少なくしたり、専用の乾燥台(写真はヒューロム社の乾燥台)を用意したりして対応しています。
搾りカスも使いよう
またよく言われるのが「搾りカス」の多さがあげられます。精米機の「米ぬか」に次いで多い、ゴミに対するユーザーの指摘です。野菜クッキーにして食べたらとか、いろいろ提案されていますが、私のおすすめは、肉の下ごしらえ時の使用。搾りカスで肉をサンドしてやるのです。
お分かりですね。肉が柔らかくなるのです。肉を軟らかくするために、わざわざりんご、パイナップルを切り出したりしなくても済みます。広東流の酢豚のパイナップルは有名ですが、こちらはカスですから、使用後はポイします。
また、カレーに入れ煮込むのも、一つの手。ニンジン嫌いなお子さんだと、塊のニンジンを避けますが、細かく、味の薄い搾りカスだと違和感がありません。使える手です。
フローズンデザートを作ることも可能
夏になると、やはり冷たいモノは欠かせません。アイスクリームだと体型に影響がと思っている人もいることと思います。そんな時のお勧めが、果実を氷らせてスロージューサーで作るフローズンデザート。何たって天然成分100%。冷たい、美味しい、体にいい。三拍子揃ったフローズンデザートも作ることができます。
ただしこの機能、モーターへの負荷が大きく、全ての機種に付いているわけではありません。
男のこだわりにも対応
男は、基本的に凝るか、まったく凝らないか、両極端な人が多いです。料理をする人なら、狭い台所でも包丁セット、鍋セットを持っていたりします。料理に凝らない人でもしてみたいのが、食材作りでしょう。そのうちの1つ「豆腐」作りが、スロージューサーがあると簡単にできると言うのはご存じでしょうか?
豆腐の素は、豆乳です。要するに大豆を搾ったものです。スロージューサーがあると、完全無添加の豆腐を作ることができます。味は濃厚。実に美味しい。シンプルなだけに素材一つ、手順一つで味が変わります。旦那様が凝ってくれたらしめたもの。美味しいお味噌汁、やっこ、湯豆腐が楽しめます。素材によっては市販より高くなりますが、それは必要経費とお考えください。
お手頃!おすすめのスロージューサーをご紹介
さて今回は、市価:3万円を中心に、使いやすいスロージューサーをセレクトしてみました。
■シャープ EJ-GP1
「ヘルシオ」の名前が冠されているにもかかわらず、イメージカラーの赤を使わず、葉物の色「緑」をメインカラーにした意欲作。それだけに葉物をカッティングせずに投入できるよう工夫がなされています。ホームページにはいろいろな青汁レシピがあり楽しいですが、一番人気は「小松菜 × りんご」とのこと。フローズンデザートにも対応しています。
■シロカ SSJ-201
スロージューサーを取りあえず試してみたい人向き。スロージューサーはメカの精度が大きく、価格にダイレクトに反映されますが、基本性能に特化した作りになっていて、コストパフォーマンスの良さが光ります。また50種類掲載の本格レシピ本も嬉しいです。
■パナソニック MJ-L500
スロージューサーのポイント、「しっかり搾る」に合わせたスクリューを搭載しています。通常スクリューは、硬い樹脂製ですが、パナソニックはより確実に、強く搾りきるために、ステンレスパーツをはめ込んであります。
当然、味も美味しくなる。フローズンデザートにも対応しています。
■ヒューロム(HUROM) H26
スロージューサーの専業メーカー。日本より海外での知名度が高い製品です。美と健康にはフレッシュジュースが一番という考えから生まれた製品は、バーなどでも使われる程、信頼性が高いです。ギリギリまでうま味を様に、搾りカスにうま味が残らないよう、パーツの隅々まで工夫が凝らされています。フローズンデザートにも対応。
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【筆者プロフィール】
多賀一晃 さん
1961年生まれ。慶應義塾大学大学院理工学部卒。大手メーカーにて商品開発、企画を担当後独立。国内はもちろん、世界最大の家電見本市「IFA」等で世界中の家電を取材し、役立つ情報を「生活家電.com」から発信中。日本経済新聞夕刊の家電製品特集や土曜日別冊「日経プラス1」の「家電ランキング」選者、WEDGE Infinity「家電口論」主筆としても活躍。
生活家電.com
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