お持ちの衣類の中には、家で洗濯できないものが多くあります。典型的なものがスーツ。クリーニング代もかなり掛かりますので、なるべく汚さないように使うのですが、汗をかいたり、ニオイが付いたり、シワになったりと、夏は3日位でかなり汚くなった感じがする時があります。
そんな時便利なのが、スチーム。ニオイを取ることもできますし、シワを伸ばすことができます。今回は、一番楽な衣類ケア、スチーマーをレポートします。
スチームでニオイが取れるわけ
ミクロの目で見ると、ニオイは粒状です。それが繊維に付くと、繊維、つまり服がにおうわけです。スチームは粒状の水分。ニオイ粒子をはじき飛ばしたり、水の中にニオイ粒子を取り込み衣類から離れたりして、ニオイが取れます。
消臭剤はちょっと違います。ニオイ粒子の周りを消臭剤の粒子が取り囲むことにより、ニオイがしないようにします。
ニオイが消えるのは同じですが、微細な状態はちょっと違います。
スチームでシワが消える原理って?
シワは、衣類がよじれたりした形から元に戻らなくなったためにできます。スチームは熱と水とで、繊維が元の状態へ戻る素地を作ります。そこへ力を掛けてやると繊維は元の形になる。つまりシワが伸びることになります。熱と水分が逃げると、シワが取れたままの衣類が残ると言うわけです。
これが衣類スチーマーの原理です。
そして熱と圧力で形を整える。これがご存じの「スチームアイロン」です。
専用の衣類スチーマーとアイロンの違いとは?
スチームアイロンで使われているスチーム部分だけを独立させたモノを「衣類スチーマー」と呼びます。近年メジャーになってきましたので、ご存じの方も多いと思います。「わざわざ専用でなく、スチームアイロンにも同じ機能があるのなら、スチームアイロンでイイのでは?」と思われる人がいらっしゃるかも知れません。
しかし、使い方が違うのです。
スチームアイロンはアイロン台とペア。洗濯後の衣類のシワを伸ばすのが役目です。それに対し、衣類スチーマーはハンガーとペア。ハンガーに掛かった、使用中の衣類のケアが役目です。
スチームアイロンでハンガーに掛けた衣類のケア、できないことはありません。しかし、本来下向きに使うことを前提としたスチームアイロンだと、重すぎます。またスチームを掛ける範囲が広すぎ、コントロールしにくい。このため火傷の危険性が非常に高いです。しかもスチームの立ち上がりが遅かったりする場合もあり、「ちょっと」使いには面倒臭いと思います。
衣類スチーマーが今、注目されているのはなぜか
日本で、衣類スチーマーは去年くらいからすごく注目を集めています。これは理由があります。それは最近の衣類、一つの衣類にいろいろな素材が使われ出して、洗濯しにくいものが増えたためです。典型的なモノはファー。一部ファーを使った衣類はデザインは可愛いのですが、洗いにくい。しかも毛ですから、焼肉のニオイなどが付きやすいのです。そんな時便利なのが、衣類スチーマーです。素材を選ばずに掛けられます。
衣類ケアは、衣類によりどんどん変わって来ます。衣類スチーマーが注目を浴びているのは、衣類が変わってきているからです。
花粉症の人には特にお勧め
花粉症は今や国民病と言われます。全人口の1/3が花粉症と言われると、「そうだろうなぁ」と思ってしまいます。そんな花粉にも有効なのが衣類スチーマーです。花粉の季節、外から帰ってくると衣類には花粉が付いています。多くの場合、ハンガーにぶら下げて、部屋の中に掛けるのですが、その時スチームを掛けると、ニオイと同じように花粉を取り去ってくれるのです。その後、花粉は床に落ちますので、時間を見計らって、さっとお掃除すれば、完了です。
衣類スチーマーもいろいろ!人気商品は?
スチーマーは大きく分けるとアイロンとしても使える2in1タイプと、専用の衣類スチーマーとに分かれます。
アイロンの形状をしているスチーマーのお勧めの1つめは、コテ状のアイロン兼スチーマーになっている、ツインバードの『ハンディーアイロン&スチーマー SA-4086』です。
ツインバードはスチーマーの老舗。1987年から始めて今までに累計300万台を売り上げています。
次のお勧めは、パナソニックの衣類スチーマー『NI-FS530』(左)と『NI-FS330』(右)。
ちょっと古いアイロンの形状を思い起こさせるデザインです。面白いのは、NI-FS530がキチンとした折り目を意識したフラットなアイロン面に対し、 NI-FS330がラウンド形状のアイロン面で、ふんわり仕上げたい衣類に適していること。つまりNI-FS530は男性衣類に合い、NI-FS330は女性衣類に合うということです。
共通なのは、軽いこと、そして衣料スチーマーとして使う時、スチームがでる範囲をコントロールしやすい様、穴の配列が設計されていることです。
小さいため、旅行に持って行きやすいです。旅行ではシャツにシワが付いたり、ジャケットが寄れてきたりしますので、そんな時に心強い相棒と言えます。
次は、T-falの『アクセススチーム』(型番:DR8085J0)です。
専用の衣類スチーマーだけあって23g/分とスチームの量も多く、使いやすいです。アクセサリーの中に、「ドアフック」があり、ドアにハンガーをぶら下げるようなことができる工夫もされています。
最後は、スチーマーをクローゼット型にしてしまったLGエレクトロニクスの製品『LG styler(LGスタイラー)』です。
メーカーは、衣類スチーマーではなく「スチームウォッシュ&ドライ」と呼んでいます。密閉空間でスチームをふんだんに使い、きれいにしていく。シワは、人間の手ではなく、重力と振動できれいにします。標準のリフレッシュコースで、48分。他に「除菌プラスコース」「上質乾燥コース」などが付けられています。
スタイラーのアイデアは、出張で焼肉を食べた次の日、どうすれば良いかを考えたのが始まりだそうです。その時の奥さんのアドバイス「お風呂に湯を張って、上にジャケットをかけておけば大丈夫。」を元に、旦那が作り上げたとか。内助の功はいいですね。
日本では蔦屋家電をはじめ、全国の家電量販店で発売しています。価格は、246,240円(税込)。お高いという声もありますが、マンションデベロッパーのプロパティエージェントは、これを導入したマンションを考えているそうです。マンションの目玉に、高級家電メーカーとして名高い独ミーレ社のビルトイン型のオーブン、食洗機、洗濯機を導入している場合もありますが、今回はそのクローゼット版となるわけです。
色々、衣類スチーマーを並べ立てましたが、衣類スチーマーの効果はニオイ、シワ取りだけではありません。
スチームをかけた後の衣類を着ると、とても気持ちがイイのです。前向きに頑張るためにも、出掛け3分、衣類をチェック、スチームをかけるのは手かも知れません。
文/多賀一晃
1961年生まれ。慶應義塾大学大学院理工学部卒。大手メーカーにて商品開発、企画を担当後独立。国内はもちろん、世界最大の家電見本市「IFA」等で世界中の家電を取材し、役立つ情報を「生活家電.com」から発信中。日本経済新聞夕刊の家電製品特集や土曜日別冊「日経プラス1」の「家電ランキング」選者、WEDGE Infinity「家電口論」主筆としても活躍。
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