暖かくなると心配なのが食中毒。お腹が痛くなったり、下痢をしたり、ひどい場合には入院をする必要がでてきます。食中毒というと、「外で出されたものを食べて…」というイメージかもしれませんが、実は家庭の食事でも発生します。免疫機能が未熟な小さいお子さんがいる家庭では特に気をつけたいものです。そこで今回は、食中毒にはどのようなものがあるのか、どうすれば防ぐことができるのか等についてご紹介します。
食中毒の原因となる病原菌
食中毒は一般的に細菌、ウイルス、自然毒が主な原因として考えられますが、他にも寄生虫や化学物質などが原因となることもあります。
●細菌
食品に付着するとどんどん増殖していくのが特徴です。生肉に含まれる病原性大腸炎、卵に多いサルモネラ菌、鶏肉に多いカンピロバクター、常在菌として身近に存在する黄色ブドウ球菌、魚介類に付着する腸炎ビブリオなどが細菌です。
●ウイルス
食品に付着しても、食品では増殖できません。人間の体内に入って初めて増殖を始める食中毒の原因菌になります。二枚貝などの魚介類に注意が必要なノロウイルスは比較的に冬に流行し、他にも豚、イノシシ、鹿など野生動物の生肉による報告があるE型肝炎ウイルスが考えられます。
●自然毒
植物や動物の中にもともと持っている毒素のことをいいます。ジャガイモの他にもフグの毒や毒キノコなどが有名です。
症状が出たときの対処法とは?
細菌やウイルスが体内に入った場合、潜伏期間はそれぞれ違っていて、食後数時間で症状が現れるものから、数日経って症状の出るものとさまざまです。症状としては下痢や嘔吐、腹痛が現れる点ではよく似ています。
それらの症状から、食中毒に心当たりがあるときには速やかに医療機関を受診するようにしましょう。しかし、お腹が冷えたかな?風邪かな?と考えて自宅で様子をみる人もいると思います。症状がひどくなければ問題はありませんが、以下のことには気をつけましょう。
●安易に下痢止めを使わない
風邪を引いたら体が熱を発して細菌やウイルスをやっつけるのと同様に、消化管に取り込まれた細菌やウイルスを下痢によって排出しようとしているので、安易に下痢止めを使うと逆効果になってしまいます。
●脱水に注意
下痢や嘔吐で体内の水分が大きく失われます。適宜、水分補給をして、脱水にならないように気をつけましょう。
●吐物や排便後の処理に注意
食中毒で意外に多いのが二次感染です。細菌やウイルスが付着した手で調理をしたり、ドアノブなどを介して違う人の手に付着したりして感染を起こします。入念に手洗いをしましょう。特に、調理者は十分注意しなければいけません。
家庭でもできる食中毒の予防法とは?
食中毒を予防するには、食品に原因となる菌を「つけない」、食品に付着している菌を「増やさない」、そして菌を「殺す」ということが大切です。厚生労働省では、家庭でできる食中毒予防策として、注意すべき6つのポイントを紹介しています。
【注意1】食品の購入において
・肉、魚、野菜は賞味期限を確認し、新鮮なものを購入するようにしましょう。
・購入した後は寄り道せずに、真っすぐ持ち帰るようにしましょう。
【注意2】家庭での保存において
・持ち帰ったら、速やかに冷蔵庫に保存して、なるべく早くに消費するようにしましょう。
・10度以下の冷蔵庫で、増殖のスピードが弱まり、15度以下の冷凍庫で増殖が止まるとされています。死滅するわけではありませんので注意しましょう。
・肉汁が他の食品にかからないように、気をつけましょう。
【注意3】下準備において
・必ず手を洗ってから行いましょう。
・できれば、野菜を取り扱うまな板と魚や肉を使うまな板を分けましょう。難しい場合は、肉や魚を取り扱った後は念入りに洗います。アルコール消毒や熱湯消毒ができると尚良いでしょう。
・食品の解凍は自然解凍を行うと菌が急激に増える可能性があるので、電子レンジの解凍機能を利用すると良いでしょう。
【注意4】調理において
・生肉を口にするのは極力控えるようにしましょう。
・中までしっかり加熱をします。75度以上で1分以上加熱をするのが目安です。
【注意5】食事において
・食事の前には必ず手を洗うようにします。
・冷たいものは冷たいうちに、温かいものは温かいうちに食べるようにして、常温で置きっぱなしにしないようにします。
【注意6】残り物の保存において
・小分けにして、冷蔵庫で保存し、なるべく早くに食べきります。
・食べる前には再度過熱をし、少しでも怪しいと思えば、もったいなくても食べずに捨てましょう。
多少の手間はかかりますが、上記のポイントに気をつけておけば、食中毒は予防できるでしょう。それでも、もし異常を感じたら、速やかに医療機関を受診してください。
写真 © naka - Fotolia.com
<参考>
厚生労働省 家庭でできる食中毒予防の6つのポイント
農林水産省 食中毒の原因と種類
日本ではナースとしてバリバリ働いていましたが、長年の夢であったオーストラリアへの移住を果たしました!今は子育ての真っ最中、フリーランサーとして働きながら、家族5人ブリスベンで、のんびり生活しています。ナースの経験を活かした健康記事をお届けしたいと思っています。
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