コラム

膀胱炎はなぜ女性に多い？その原因と対策とは？

更新日：2017.10.27

女性の5人に1人は膀胱炎にかかるというデータがあるほど、女性にとっては身近な病気です。女性と言っても大人の女性にだけ起こるものではなく、子供にも十分に起こりえます。繰り返すことが多いと言われる膀胱炎の原因や対策をご紹介します。

膀胱炎の基礎知識

膀胱内に細菌が入り込んで炎症を起こしてしまうと「膀胱炎」になります。原因となる細菌の8割以上は大腸菌だと言われていますが、他にブドウ球菌やセラチア菌なども考えられます。

●症状は？
特徴的な症状に、残尿感というのがあります。排尿したにもかかわらず、まだおしっこが出るような感じがするのです。また排尿時に痛みがあるのも膀胱炎の特徴です。おしっこの出始めに痛いときは、尿道に炎症がおこっている状態でまだ膀胱にまで達していないこともあります。膀胱炎になるとおしっこが出終わるときに痛みが伴うことが多いでしょう。

●放っておいてもいい？
水分をしっかり摂ってたくさん排尿をすることで、細菌が一緒に流れ出て症状が治まることはあります。しかし、症状がひどくなったり、いったん治まっていたのに再発したということであれば、診察を受けて、抗生剤によってきちんと治した方が良いでしょう。

尿検査で簡単に診断がつき、抗生剤が比較的効きやすい病気です。放っておくと、膀胱よりも更に奥の腎臓などで炎症が進んでしまい、腎盂腎炎などを起こしてしまうこともありますので、放っておいてはいけません。

●膀胱炎は繰り返すの？
通常はきちんと細菌を排除すれば、そう簡単に繰り返すものではありません。処方された薬を数日飲んで症状が緩和したからと、勝手に薬を止めたりすると、残っていた細菌が再び勢力を増して、再び膀胱炎になることは考えられます。

更年期の女性におこる膀胱炎に関しては、繰り返すことも考えられます。閉経に伴い女性ホルモンが減ることで、粘膜が弱くなり、炎症が起こりやすくなっているからです。細菌でなくとも少しの刺激で炎症を起こしてしまいます。

また、他の疾患が原因で尿道を圧迫するなどして、排尿時にきちんと細菌が流されずに炎症が起こりやすい状況を作っていることも考えられます。繰り返し膀胱炎をおこすという人は、きちんと受診した方が良いでしょう。

どうして膀胱炎は女性に多いの？

女性に膀胱炎が多い理由は、男性に比べて女性は尿道が短いことにあります。膀胱炎の原因の多くは外部から侵入した細菌ですから、尿道が短いということは、尿道入り口から入った細菌が膀胱にたどり着く可能性が高くなるのです。

また、女性は尿道の入り口が肛門や膣の近くに位置することもあって、細菌にさらされるリスクも男性よりは高いと言えるでしょう。そのような理由から、年齢を問わず、女性であるだけで膀胱炎になりやすいと言えます。

大人だけではなく女の子にも多い膀胱炎！その対策は？

女性の構造が膀胱炎になるリスクを高めているわけですから、子どもも大人も関係なく膀胱炎になりやすいことがわかります。女の子に対して、どんなことに気をつけてあげればよいでしょうか？

●水分をしっかり与えて、トイレに行かせよう
排尿をすることで、尿道内に入り込んだ細菌を一緒に洗い流しています。おしっこの間隔が長い人ほど入り込んだ細菌が膀胱に達する可能性が高くなります。トイレが遠いというお子さんは細菌が膀胱に入るチャンスを増やしているので、水分補給を促して、適度にトイレに行かせるようにしましょう。

●ウォシュレットの使い方に注意
女性は男性と違い尿道が肛門の近くにあるので、ウォシュレットの使用時に尿道に細菌が入り込むことが起こりやすいと言えます。

あまりに強い水圧では常在菌を尿道内に押し込んでしまうこともあるでしょうから、ほどほどの水圧で使用しましょう。また、使い過ぎにも注意が必要です。デリケートゾーンの皮膚はとても繊細です。1日に何度もウォシュレットで洗ってしまうと、逆に保護機能が低下してしまいますから、ウォシュレットを必要以上に使わないように注意しましょう。

●トイレットペーパーでの拭き方は前から後ろ
トイレットペーパーを使用するときの拭き方にも注意が必要です。女性は肛門と尿道が近いので、必ず尿道のある前方から、肛門のある後方へ拭くように教えてあげましょう。

後ろから前に拭くと、膀胱炎の原因の8割を占める大腸菌をわざわざ尿道に近づけていることになります。必ず前から後ろに向かって拭くようにしましょう。赤ちゃんのおむつ替えの時も同様です。お腹の方から背中の方に向かって拭いてあげてください。

これらのことを普段から心がけておけば、膀胱炎の発症や再発予防にもなるので、子どもが辛い思いをしないよう、小さいうちから習慣づけておくといいでしょう。

写真　© beeboys - Fotolia.com

Profile松下歩

日本ではナースとしてバリバリ働いていましたが、長年の夢であったオーストラリアへの移住を果たしました！今は子育ての真っ最中、フリーランサーとして働きながら、家族5人ブリスベンで、のんびり生活しています。ナースの経験を活かした健康記事をお届けしたいと思っています。

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