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【専門家直伝】鬼母になってない?子供の心に届く叱り方とは!?

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【専門家直伝】鬼母になってない?子供の心に届く叱り方とは!?
ほめる子育てをしたいのに、つい子どもを叱ってしまう自分は「ダメな親」……最近、こんなふうに思っている人が増えているような気がします。でも、それは正しい考え方なのでしょうか。

子どもの発達を専門とする、お茶の水女子大学の菅原ますみ先生が、迷えるママたちに指南します!

正しい叱り方、2つのコツ

叱る場面というのは、実際に子どもが何かよくないことをしたときですから、まずは「それはいけないことなのよ」と教えなくてはいけません。

たとえばスポーツの世界なら、ルール違反をした人にそのまま競技をつづけさせることはありませんよね。サッカーならイエローカードが出ますし、陸上ならその場でピストルが2回なってストップがかかります。しつけも同じです。


【1】よくない行動をしたら、その瞬間にストップさせる

たたこうとする子は、手を押さえてでもやめさせます。ソファでジャンプしている子には「降りなさい」と指示し、降りるまで見届けます。遠くから「やめなさーい、もう、なんでやめないの」と言ってるだけでは、やっぱり効きめがありません。子どもは「親の言うことなんて無視しても平気」と思ってしまいます。
「ここでは叱る」と決めたのであれば、その場・その瞬間に、必ずやめさせましょう。

【2】目を合わせて、短い言葉で理由を説明する

次のステップとして「してはいけない理由」を説明します。これはやめさせた直後に言うのが大原則。子どもの記憶力はまだ全然あてになりませんから、時間がたってから説明しても「ママ何を言っているんだろう」という表情をされて、ますますカチンとくるのがオチです。

「してはいけない理由」は、子どもと目線を合わせながら、短い言葉で説明します。なにぶん子どもの集中力もあてにはなりませんから、長々話すとポイントがぼやけてしまうのです。

スーパーで「お菓子買って」とだだをこねるなら…

では、ここで少しイメージトレーニングをしてみましょう。
3才のハナちゃんがスーパーのお菓子売り場で、「お菓子買って」と棚から勝手にお菓子を手に取ったとします。「今日はお菓子を買わない」あるいは「かってに棚から商品を取ってはいけない」と約束しているのであれば、これはルール違反です。

まず、①ハナちゃんに「ダメよ」と言い、ストップをかけます。②次に「今日はおやつを買わないと約束したね。もうすぐ夕ごはんだからガマンしよう。お菓子は棚に戻してね」と言います。目線を合わせて、毅然と。

ここでハナちゃんが棚にお菓子を戻せば「叱る」は終了です。「ハナちゃん、ママの言うことを聞けたね。よかった! ママうれしい。ありがとう」とほめ、ギューっとハグなどしてあげましょう。

ハナちゃんは「お菓子を勝手に取るよりも、ママにほめられたほうがいい」と思い、「お菓子を勝手に取らない」という学習が強化されるのです。

公衆の面前で“鬼”化してませんか?


とはいえ、常にそううまくいくとは限りません。
叱る場面というのは、お互いの要求がぶつかり合う場です。不安の強いタイプの子なら、「ママが怒っている。言うことをきかなくちゃ」と行動を切り替えられるかもしれませんが、強気な子や、年齢が幼ければ幼いほどむずかしいものです。

さきほどのハナちゃんのケースに戻りましょう。
「お菓子は棚に戻してね」と言われても、ママをにらみつけてお菓子を離さなかったり、お菓子を持って逃走したり、ひっくり返って泣き始めたりするケースは多いものです。ここからが「叱る」の第2ステージです。

まず大事なことは、ママが子どもと同じ土俵に立たないことです。ママが同じテンションで怒り始めると、子どもはさらに感情的になります。しかもここはスーパーの店内。恥ずかしいやら腹が立つやら……親だって泣いて激高したくなるでしょう。

どうぞここで「第三者の目」をとり入れてみてください。泣き叫ぶ子をヒステリックにどなるあなたの姿は、傍目にはまさに“鬼”。なんとか深呼吸して怒りをしずめ、次のような作戦を実行しましょう。

交換条件を具体的に示して交渉する

「明日は買ってあげる」「家に帰ればチョコがあるのよ」「ママ、お菓子をがまんできるハナちゃんが大好きなんだ」「お菓子は買わないけど、ハンバーグ作ってあげるね」などなど、その子にもっとも効果がありそうな交渉材料を提示しましょう。

別のネタで気分転換させる

小さい子であれば「あのお魚、何かな?」とか、「あ、そういえばママ、おしょうゆさがしていたんだ! ハナちゃん場所知ってる?」など、まったく違う話題に変えることで、気持ちを切り替えられるかもしれません。あるいは、手持ちのあめなどをなめさせるという方法もあります。

それでもダメなら強制終了

それでも泣きつづけたり、お菓子を離さなかったりするなら、本日の買い物はあきらめましょう。強制終了です。「約束守れなかったから、今日はもう帰りましょう」と、そのままハナちゃんを抱えてスーパーを出ます。冷静に。

これが家の中でのバトルであれば、ハナちゃんが泣き止むまでほうっておくこともアリですが、さすがにスーパーではむずかしいのが現実です。

絶対にしてはいけないのが、「きょうだけよ」とお菓子を買ってしまうことです。「泣けば要求が通る」と学習してしまい、同じことを繰り返します。

この作戦で子どもの気持ちが落ち着いたなら、これ以上叱る必要はありません。交渉に応じたとき、気分転換できたとき、強制終了で泣き止んだとき、「よかった」と笑顔を向けましょう。そうすることで子どもは、「固執し続けるよりも、気持ちを切り替えるほうがいいことがある」と学ぶのです。

文/神 素子

『その叱り方、問題です!― 「個性診断」でその子に合った「叱り方」がバッチリわかる!(菅原ますみ著/主婦の友社刊より)
お茶の水女子大学基幹研究院人間科学系教授。子どものパーソナリティー発達と精神病理を専門とし、0才~30才までの発達を追う、日本では数少ない長期にわたる縦断研究をおこなう。働きながら子どもを育ててきた先輩ママでもある。
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