コラム

子どもが幼稚園・保育園でケガをしたら責任は誰にある？

更新日：2017.10.28

子どもにとって、幼稚園や保育園がお家以外の社会と初めて関わる場所といっても過言ではありませんよね。でも、お友達と楽しく遊ぶ姿を見て親として嬉しく思う反面、心配なのは集団生活につきもののケガやトラブル。
ニュースでもよく問題になることですが、ここでは、幼稚園や保育園で子どもがケガをした場合の責任の所在や対処方法についてご紹介したいと思います。

原則、責任は幼稚園・保育園側にある

朝、元気に登園した子どもがケガをして帰ってきたら、それはショックですよね。しかも、すり傷程度ならまだしも、骨折や出血をともなうほどのケガであれば、事故の原因や責任の所在を知りたくなるのは当然のことです。
では、子どもが幼稚園や保育園でケガをした場合、その事故の責任は誰にあるのでしょうか？

結論から言うと、保育時間内の事故の責任は、原則“幼稚園・保育園側”にあります。小さな子どもは判断能力が著しく低いため、子どもを預かる幼稚園・保育園に監督義務責任があるためです（民法第714条）。

責任追及したら慰謝料がもらえる？

では、園側に責任があるのなら慰謝料を請求できるのか？となりますが、それは簡単ではないのが実情です。
というのも、もし園側が充分監督義務を果たしているうえで起きてしまった事故であれば、園側は損害賠償責任を免れることができるからです（民法714条1項但書）。
そもそも事故現場に大人がいなければ事故の詳細を知ることは難しく、園側に過失があったのか立証して慰謝料を求めることは極めて困難…。
しかも、小さな子どもの行動は予測が難しく、注意深く監督していてもケガをともなう事故を100％防ぐことはできませんよね。
そのため、死亡事故や高度障害が残るといった深刻な状況で慰謝料が発生することはあっても、通常は治療費の負担程度と考えたほうがよさそうです。

大切なのは事故後の対応

園では毎日のように大なり小なり事故が発生します。小さな傷なら絆創膏ひとつで説明もないかもしれませんが、大きなケガをするほどの事故が起きたときは、必ず事故発生の経緯や原因を担当の教諭・保育士に詳しく聞き出しましょう。
「園側に落ち度はなかったのか？」「事故後の園児への対応は適切だったのか？」など、事故の状況を確認することは、後遺症が現れた場合や、今後も安心して通園するために必要な情報です。
もちろん、誰でも普段お世話になっている先生方を批判するようなことはしたくないものです。とはいえ、保育中の出来事を把握し、事故がゼロになるよう対策を講じるのは園の責任であり、園の対応を後押しして園児を守る責任は保護者にもあります。
先生方の説明に納得がいかない場合や、園に改善が必要と感じたら、園長に相談したり、PTAミーティングの議題に挙げたりしてもらうのもいいでしょう。

自分の子どもが加害者になってしまったときは？

もし自分の子どもがお友達にケガをさせてしまったと知ったなら、親として本当に悲しい気持ちになりますよね。
小さな子ども同士のトラブルでは、口より先に手が出てしまうことはよくあること。しかし故意ではないとはいえ、お友達を傷つけてしまったことは事実です。
幼稚園・保育園の監督責任は横に置いておいて、園側から状況説明を受けたら速やかに被害にあった園児と保護者に謝罪することが大切です。
そのときに心がけたいのは、「うちの子だけが悪いのではなく、被害にあった子も悪かった」などと相手を否定しないこと。そして、自分の子どもを一方的に叱らないことです。
子どもには子どもの言い分があり、上手く口で表現できません。子どもが怒った気持ちに寄り添ったうえで、「お友達を叩いたり、ケガをさせたりすることはいけないよ」と言い聞かせましょう。

いかがでしたか？　幼稚園・保育園で子どもが事故やケガをした場合の責任や対応方法についてお伝えしてきましたが、ケガをするのは子どもが元気な証拠かもしれませんが、親としては心配の種。困ったこと、気になることがあれば先生方に相談して、子どもが安全に過ごせるよう応援しましょうね。

＜プロフィール＞
西ノ宮ふゆみ
イギリス在住。かつて金融機関で富裕層向け金融アドバイスや社員教育を担当。イギリス人と結婚後に渡英し、現在男児二人の母。メディア向けライターとして、金融・医療・育児・美容などあらゆる分野の問題を分かりやすく発信している。

写真© hakase420 - Fotolia.com

Profile西ノ宮ふゆみ

イギリス在住。かつて金融機関で富裕層向け金融アドバイスや社員教育を担当。イギリス人と結婚後に渡英し、現在男児二人の母。メディア向けライターとして、金融・医療・育児・美容などあらゆる分野の問題を分かりやすく発信している。

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