【Oさん宅 (京都府)】
海外暮らしの経験があるご主人とインテリア好きの奥さまが家づくりでこだわったのは、素材の“本物感”。質感のいいパイン材の床、しっくいの塗り壁、存在感のある古材の梁など、素材使いは必見です。
ご夫妻とサッカーが大好きな9歳の息子さんの3人家族。アウトドア派だったご主人も、この家が完成してからは家で過ごす時間がふえたそう。「住まいの大切さを実感しています」
Oさんが家づくりを考え始めたのは5年ほど前。設計・施工監理をお願いした Salaʼs(Home Sala)は、インターネットで見つけたそう。「いろいろな依頼先を検討しましたが、私たちが求めていた、自然素材を使った、アンティークが似合う家づくりを得意とするところに、なかなか出会えなくて。Salaʼsさんのホームページで目にしたお宅は、まさに理想でした」
「はじめての家づくりで不安もあった」と奥さま。そんなとき、Salaʼsから「イメージがわいたら、どんどん伝えてください。どんな思いも形にします」という心強い言葉をかけてもらい、依頼を決めたそう。「新築でも古びた味わいのある家が建てたい。そう伝えたら、素材やアンティークの建具の効果的な使い方を教えてくれました」。内装材は、アンティークが似合う自然素材をセレクト。「これからどんな経年変化を遂げるのか、楽しみです」
Dining & Kitchen
素材にこだわったナチュラルなキッチン
【Point】重厚感のある古材の梁が引き締め役に。床は防汚性にすぐれたテラコッタ調タイルに
ワークトップは木とタイルを使い分けて、単調な空間にならないように工夫。シンクは「コーラー」。
木、テラコッタ、しっくいなど 自然素材にこだわって
【Point】コンロまわりにタイルを張って、清掃性とインテリア性をアップ
リビングの床は、ラフな印象でアンティークと相性のいい、幅の広いラフなパイン材。キッチンにはテラコッタ調タイルを敷いて。
収納は1カ所にまとめて “すっきり”を維持
家電や食品など生活感のあるものは、リビングからは見えないキッチン横のスペース&造りつけの白い収納棚へ。
アンティークの扉に合わせて収納棚を造作
【Point】造りつけなので地震のときも安心
造りつけの収納棚は、壁と同じしっくい仕上げに。棚の上やニッチに雑貨を飾れるデザインに。
壁に合わせて 白い木製サッシに
建具にこだわり、空間の完成度を高めました。「厚く塗って、質感よく仕上げた」というしっくい壁とも好相性。
思い描いたとおりのアンティークの似合う家に
窓枠やドア、梁などの部材から照明器具、小さなノブまで、至るところに奥さまセレクトのアンティークが使われているOさんのお宅。「古いものに囲まれた生活は、なぜか落ち着くんです。新しいものにはない味わい深さが、アンティークの魅力。この家も、もっとボロボロでもいいくらいです(笑)」。そこには、アメリカで築100年の住宅に住んでいたご主人のこだわりも反映されています。
リビングの床には、パイン材の中でもラフな雰囲気でアンティークと相性のいい、幅広のパイン材を採用。しっくい壁は、あえてコテむらを残して素朴なテクスチャーを楽しんでいます。「自然素材の家は、室内の結露が少ないのもうれしいですね。四季を通して快適です」
暮らしの中心となるLDKに面積を割いた分、玄関はコンパクトに。さらに、洗面室や浴室は2階に設置しています。「洗濯物を干すバルコニーも2階にあるので、動線に無駄がなく、結果的に大正解のプランニングでした。プライベートなスペースが2階に集まっているので、使い勝手も居心地もいいですね」
「これからは庭仕事に励む予定です。外構にもこだわったので、やりがいがあります」とご主人。O家の家づくりはまだまだ始まったばかりです。
Living Dining
ワンルームのLDKは 視線計画を入念に
【Point】おさまりよくするために家具の位置や高さに合わせて 窓の位置を決定。
キッチンからLDを見たところ。窓やエアコンなどはシンメトリーに配置して見栄えよく。
リビングの一角に見せ場をつくって、おしゃれに
【Point】アイキャッチ効果のあるニッチをつくって壁にメリハリをプラス
動線のじゃまをしないスリムなコンソールは、花とアンティークを扱う大阪のアンティークショップ「ミディ」で購入したもの。
ソファ上の壁にはステンドグラスを
カラフルなステンドグラスではなく、クリアなものを選ぶところがおしゃれ。アンティークの照明ともマッチ。
AVボードも 新築時にオーダー
【Point】扉の横幅が足りない部分を ニッチでカバー
造りつけのAVボードは、アンティークショップ「パイングレイン」で購入して施主支給した扉が主役。
巧みな素材使いで、統一感とくつろぎ感を両立
Bedroom
穏やかに眠りにつけるようシンプルにまとめて
アイアンのブラケットが白い壁のポイント。ベッドを窓ぎわに置くため、窓は開閉時に場所をとらない上げ下げ式に。
壁は“しっくい塗り風”の クロスでコストダウン
【Point】クローゼットの扉は通風性にすぐれたルーバーつきに
寝室をはじめ2階の子ども部屋や洗面室は、しっくい塗りに似た質感のクロスで仕上げ、コストを抑えました。
Kid's room
学習机は造りつけにして空間になじむように
【Point】仕切り棚はクローゼットに向けてつくって モノが見えないように。造りつけの学習机は床と同じ木材で。
日当たりのいい南側に子ども部屋を配置。床は、1階と同じパイン材を採用。ベッドは「無印良品」。
子ども部屋の家具もアンティークを使って雰囲気よく
小さな引き出しがたくさんついた棚とスクールチェアは、岡山のアンティークショップ「シェテラ」で購入。
Entrance
ゲストをあたたかく迎える ナチュラルな玄関
LDKを広くするため、玄関はコンパクトに。全面タイル張りの床や目線の高さの窓など、視覚的な効果で狭さを克服。
エントランスはアンティークの白い扉が主役
【Point】たたきと小上がりを同じテラコッタタイルにして広々と
「アンティークショップ『パイングレイン』でひと目惚れだった」という扉をシューズクローゼットに採用。
バルコニーへと続く 扉からたっぷり採光
暗くなりがちな廊下は、南側にガラス張りの扉を設置し、光が入るように工夫しました。
アンティークショップに足しげく通って気に入ったアイテムを厳選
1F Sanitary
こだわりの部材で洗面コーナーもおしゃれに
【Point】室内窓をつけて空間に広がりとアクセントを
古材やアンティーク風のタイルを使った1階の洗面コーナー。シンクはSala’sで手配した輸入品です。
味わいのある古材&タイルを採用
古材のカウンターのまわりに2段だけタイルを張って。「タイルの独特の色みがお気に入りです」
Toilet
小さな空間だからこそコーディネートを楽しんで
大理石の床に、「コーラー」のアンティーク風の便器や味わいのある小棚が美しくマッチ。
2F Sanitary
白が基調のさわやかな空間にアンティークのぬくもりをプラス
【Point】あとづけしたアンティークの棚がアクセントに
洗面台は陶器のボウルとモザイクタイルでシンプルに。アンティークのミラーや照明は施主支給したもの。
洗面室で使う素材も アンティーク風のデザインのものを
【写真左】床は吸水率の低いテラコッタ調の磁器タイル。汚れがしみ込みにくく、お手入れも簡単です。
【写真右】モザイクタイルは甘めの雰囲気の1.5㎝角に。目地幅は広くして、汚れを拭きとりやすくしています。
外観
建物と外構をトータルにプランニング
レンガや枕木、植栽でナチュラル感を高めた外観。「車も、外観に合わせてミニに買いかえました(笑)」
外観にぴったりの雰囲気のいい木製ドア
玄関ドアはSala’sがアメリカから輸入しているもの。自然塗料で落ち着いた色に仕上げています。
門扉やポストもアンティークで
いい具合にさびた門扉や郵便ポストは、施主支給したもの。「森の小道をイメージした」という階段も素敵。
Pick up
心地よい住まいを実現するためにOさんが選んだ、こだわりのパーツや設備。暮らしてみて、「やっぱりここが好き」「これを採用して正解!」だったポイントをご紹介します。
ペンダントライトもアンティークで統一
アンティークのペンダントライトは、シーンごとにテイストを使い分けて。
【写真左】トイレにはシャンデリアを。どちらもリペアされた状態で購入しました。
【写真右】子ども部屋には、男の子らしくシンプルなホウロウ製を。
小さくても存在感のあるアンティークのノブ
家の随所にある造りつけ家具のノブは、ショップで奥さまが見つけたアンティーク。「ノブはアクセサリーのような存在。ノブの合わせ方で、家具の雰囲気が甘くなったり、シンプルになったりします」
デザインの異なるガラスをはめて個性的に
ガラスが入っていなかったアンティークの扉。花模様のガラスとくもりガラスをはめて、さりげなく個性的にリペアしました。
しっくいの壁にアイアンの手すりがアクセント
開放的な階段ホールをアイアンの手すりで引き締めて。統一感が出るように、ペンダントライトもアイアンを
セレクト。
DATA. Oさん宅(京都府)
設計のPOINT
自然素材の分量や組み合わせを じっくり考え、甘すぎない空間に
アンティークや自然素材の魅力が生きるよう、箱としての住まいはシンプルにデザインしました。厚めに塗ったしっくい壁もポイント。リビングとキッチンの造りつけ家具は躯体と一緒につくり、空間との一体感を高めています。
Sala’s(Home Sala)
高断熱・高気密で耐震性にもすぐれた自然素材の家が人気のハウスビルダー。インテリアコーディネートや外構デザインも得意。
企画・設計 伊賀 千恵さん
ヨーロッパ各地のカントリースタイルをモチーフに、質感とディテールにこだわった家づくりを提案。施主の思いを最大限に取り入れたプランニングに定評あり
家族構成 |
夫婦+子ども1人 |
敷地面積 |
170.00㎡(51.43坪) |
建築面積 |
90.96㎡(27.52坪) |
延べ床面積 |
85.87㎡(25.98坪) 1F 46.33㎡ + 2F 39.54㎡ |
構造・工法 |
木造2階建て(枠組み壁工法) |
工期 |
2010年1月〜5月 |
設計・施工監理 |
㈱Sala’s (Home Sala) TEL: 086-250-3800 |
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