【Sさん宅(滋賀県)】
暮らしとデザインが両立する工夫をひとつずつ積み上げて
知人に紹介されたビルダーで、モダンヴィンテージスタイルの家を建てた佐賀枝さん。「今でもそのビルダーの完成見学会に顔を出す」というほど家好きのご主人が積極的に参画する形で、カッコよくて暮らしやすい住まいをつくり上げました。
「日々の生活をおしゃれにしたい」という佐賀枝さん夫妻。たとえば、玄関のサブ動線や洗面室からキッチンへとつながる家事動線、和室の床下収納などは、メインの空間をすっきりと保ちながら、暮らしにも無理が生じない工夫です。「バルコニーの壁が高く、外が見えにくいと思ったのですが、外から洗濯物が見えず正解でした」。最も重視したリビング階段も、想像以上に家族のコミュニケーションに生かされているそうです。
1階 間取り図
【01.】広い洗面台やパントリーが便利。公園で遊ぶ子どもに声かけができる窓も。
玄関から洗面室、パントリー、キッチンへの動線は、設計のかたに提案してもらいました。浴室前の広さを十分にとったことで、お風呂上がりや歯磨きのときの大混雑もストレスになりません。うちの洗面室は幅180㎝あり、洗面台も幅120㎝あるので、3人が横並びで歯を磨けて、とても気に入っています。当初、洗面室やパントリー兼家事コーナーの窓はフィクスタイプが提案されましたが、北側には公園があり、遊ぶ子どもたちに声をかけやすいようにと、開閉できるものに変更しました。
【写真左】洗面室からパントリー、キッチンを見たところ。一直線につながり家事動線もスムーズ。【写真右】パントリー内にはデスクを造りつけて家事コーナーに。北側には開閉できる窓を。
【02.】普段はシューズクローゼットから出入りする動線なので、玄関はいつもきれい
玄関は、家族はシューズクローゼットから出入りする2ウェイの動線にしたので、たたきはいつもすっきりしています。仕事用のバッグも帰宅と同時にシューズクローゼットに置くので、リビングも散らかりません。動線のよさもさることながら、使って感じるよさはスペースのとり方です。玄関が広く、このクローゼットをつくったことで、玄関のごちゃごちゃをすべて隠せます。来客の際は必ず引き戸を閉めています。
【写真右】たたき部分からホールにかけて設けたクローゼットには、コートかけも設置。【写真左】2ウェイの動線なので、たたきはいつもきれいな状態をキープできます。
【03.】休日に寝転べる和室はつくって大正解。1段高くした畳の下は引き出し式の収納に。
リビングに隣接する和室は、子どもが小さいときはお昼寝の場所として、また両親が来たときの宿泊部屋として計画。これは大正解でした。休みの日も寝転がりたくなります。日本人は少なからず和室好きだと思いますね。また、うちの和室は1段高くなっており、そこには大きな引き出しを造作してもらって、大容量のおもちゃ箱となっています。子どもたちがおもちゃを出して遊んでもすぐに片づけられ、すっきりとした空間を維持できます。
スリット窓がアクセントの和室。1段高くしたので、腰かけることも。
【04.】オープンキッチンでも手元を隠せるカウンターに
夫はフルオープンのアイランドキッチンがいいと言っていましたが、設計のかたと私の意見が一致。やはり手元は隠したいので、「ダイニングから見たときに水栓の曲線が見えるように」という夫の要望をふまえ、限りなく低いカウンターを設けて対面式にし、手元を隠しました。水栓は、施主支給をした「グローエ」のものです。
オーク材と黒板塗料で仕上げたオーダーキッチン。テーブルは「CAMP」のオリジナル。
【05.】ソファの配置を先に決め、リビングの間取りを考えた
ダイニングはウッドデッキにも続き、明るく広がりが感じられる空間にしました。リビングは、そこにソファを置くと100%決めていたので、大きな窓を必要としませんでした。落ち着いてくつろげる空間になったので、このようにして正解だったと思います。
リビングとダイニングをL字形に配置し、空間をほどよく分けて。床は無垢のオーク材。
2階 間取り図
【06.】広くておしゃれな空間は子どもの頃からの夢でした
寝室に10畳もとった理由……子どもの頃からの夢だったからです。僕は市営団地に住んでいて友達の一戸建ての家がうらやましく、大人になったら、広くておしゃれな空間で暮らすんだ!と強く思っていました。建築家になりたかったくらいです。家を建てると決めたとき、自分の努力で建てたのだから、いちばん広いスペースは自分がとる!(笑)と、わがままですが決めました。なので、この部屋の広さに今回のテーマである、スペースや動線の工夫の話はないのです(笑)。自分の毎日をおしゃれで快適にしたい、それを実現させるために建てた家なのです。
【写真右】「大きな窓を選んだのは、起きたときに空を見たかったから。外は公園で何も建たないので、北側の窓ですが朝から明るいですよ」 【写真左】寝室の一角に設けた書斎コーナー。
【07.】屋根裏収納から下ろしたものや洗濯物の一時置きに便利
スタッドレスタイヤやスノーボード、ストーブ、節句飾りなどを収納する屋根裏収納をつけてもらいました。荷物を屋根裏から下ろしたときに、いったん置くスペースが十分ないと非常に困るよと設計者から聞き、確かにそうなので、2階の廊下はこの広さになりました。普段はバルコニーから洗濯物をとり込む場所として使ったり、子どもたちが絵本を読む場所になったり、バルコニーでプール遊びをするときは子どもたちの着替え場所にもなります。
南のバルコニーに面して明るい廊下。天井には屋根裏収納の出入り口が。
【08.】吹き抜けのリビング階段は、座ったり、子どもの遊び場としても活躍
リビング階段は、必ず家族と顔を合わせるという意図で希望しました。特に思春期の子どもたちとのコミュニケーションを想定したのですが、今は、ときに椅子がわりに、ときに子どもたちの遊び場として、リビングの家具の一部のような、アスレチックのような(!?)役割を果たしています(笑)。吹き抜けなので、上下階のコミュニケーションもとれます。
黒皮鉄の手すりがカッコいい階段。上階からの光も気持ちいい空間です。
【09.】将来2部屋に仕切れるよう子ども部屋はドアを2つ
今はまだ子どもたちが小さいので、のびのび遊べるワンルームに。将来は2部屋に仕切れる設計にし、ドアを2つつけました。収納もそれぞれの部屋にきちんとつくれるように計画。ドアの上部にはガラスをはめ込んで、明かりがもれるようにしています。
室内ドアは床と同じ“ピスタチオ色”に塗装したオーダー品。
どうやって決めたの? 基本の間取りの選択理由
Qリビング&ダイニングを1階にした理由は?
LDを2階にする発想はありませんでした。毎日のことで、必ず2階に上がらないといけないというのは、単純に面倒くさいと感じます。
Qキッチンをオープンにした理由は?
圧迫感のある暗いキッチンにしたくなかったので。最初はオープンなアイランドキッチンもいいと思いましたが、手元を隠すスタイルに。
Q浴室を1階にした理由は?
これも2階にする発想がありませんでした。万が一、故障して水もれが起きたとき、被害は1階設置の場合より大きいと思ったので。
Q動線ってどう考えた? 重視した動線は?
いちばんの希望は、リビング階段でした。必ず家族と顔を合わせられるので。
Q風水や家相は気になった?
まったく気にしませんでした。
Q窓の配置でこだわったところは?
和室のスリット窓とウッドデッキ側の地窓。スリット窓はデザイン上のアクセントが欲しかったため。地窓は吊り型の押入れを導入したので、南東方向から光をとり入れられると考えたためです。寝室の北側の窓も、空を見たくて大きなものを希望しました。
DATA. Sさん宅(滋賀県)
家族構成 |
夫婦+子ども2人 |
敷地面積 |
136.27㎡(41.22坪) |
建築面積 |
66.31㎡(20.06坪) |
延べ床面積 |
115.25㎡(34.86坪) |
構造・工法 |
木造2階建て(軸組み工法) |
工期 |
2011年5月〜9月 |
本体工事費 |
約2300万円 |
3.3㎡単価 |
約66万円 |
設計・施工 |
アトリエイハウズ TEL 075-382-6990 |
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