都市部では年々、住宅への侵入盗がふえ、犯罪への危機管理意識が高まっています。侵入されにくい家を心がけることで「犯罪にあいにくい家」にすることは十分に可能です。
犯罪を100%防ぐことは難しいですが、被害にあう確率を下げることはその対策次第です。このページを参考にして、ぜひ防犯性の高い家づくりをおこなってください。
泥棒を防ぐのは最初の5分が決めて
侵入盗による盗難被害のうち、家人が留守の間に盗みを行う空き巣被害は全体の80%にも上ります。さらに、泥棒の約7割が「5分以内に侵入ができない場合、あきらめる」というデータもあります。
たとえば、セキュリティシステムを厳重にしたり、侵入経路になりそうな場所の見通しをよくすると、5分以内で侵入できないため、それだけで犯行をあきらめさせることができるのです。
泥棒に狙われにくい土地を選ぶポイント
地震に強い家づくりと同様に、土地選びにおいて「狙われやすい土地」と「犯罪にあいにくい土地」があります。プランニングの参考に防犯の観点で、次に挙げる土地は注意しましょう。
①目の前の大きな公園がある土地
公園の緑が気持ちよく感じられるかもしれませんが、夜になると人目が少なくなり、侵入者にとっては好都合です。公園に長時間いても怪しまれないため、侵入者が犯罪前の下見に利用することもあります。
②人通りの少ない路地や、死角の多い袋小路に面している土地
坂による高低差が多い地域も死角が生まれやすくなるので、侵入者にとっては好都合です。
③共働きや核家族、ひとり暮らしの人が多い都市部
日中住人が外出し、いる人が少なくなり、狙われやすくなります。
土地を見に行く場合は、昼間と夜間、平日と休日など、状況を変えて足を運ぶのがベター。その土地をとり巻く環境がより明確に見えて、問題点もはっきりしてくるでしょう。
掃出し窓(大きい窓)の配置は強化が必要
侵入口について確認することも、「侵入されにくい家」づくりの参考になります。
侵入口で最も狙われることが多いのは窓。なかでも下端が床と同じ高さになっている掃き出し窓は、最も侵入されやすいといわれています。
窓の位置に注意したり、人目につかない位置に掃き出し窓を作る際は、錠前を2ロックにすることで犯罪にあう確率を下げることができます。
つまり狙われやすいのは、人目につかない位置にある掃き出し窓。窓の配置に注意したり、掃き出し窓の錠前を2ロックなどで強化することで、犯罪にあう確率を下げることができるのです。
侵入者はガラスを割り、そこから手を差し込んで鍵を開けるケースが多く、住人が鍵をかけ忘れたのを利用して侵入するケースもあります。鍵をかけ忘れないことは、防犯の大前提と言えるでしょう。
開口部(窓・玄関)の防犯対策は厳重に対応を
玄関には最低でもピッキング対策が必須です。既製のドアの鍵は、ほとんどがピッキング強い鍵になっていますが、これに加えてダブルロックにするとなお安心です。
窓も同様に、なるべくクレセントロック機構がついたものにして、サッシ枠の上から下に補助錠を。防犯面からいえば、開口部はダブルロックが原則と覚えておきましょう。
最近は雨戸をつけないお宅も多いのですが、できれば1階に雨戸かシャッターをつけると安心。
小さな子どもが留守番をすることの多いお宅なら、来訪者の顔がわかりやすい、カラー画面のインターホンもおすすめです。
また、最近では一般的な家庭でも、警備会社に依頼するケースが多くなりました。ステッカーが貼ってあるだけでも防犯になり、犯罪者が侵入するとフラッシュがつくフラッシュライトも有効です。
契約内容にもよりますが、一般住宅の場合、1ヶ月7000円〜1万円程度で契約できるので、一考する価値はありそうです。
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住宅における防犯対策
窓
犯罪の侵入口として最も要注意なのが窓。窓の防犯対策を重点的に行うだけでも、犯罪にあう確率を低くすることができます。
通常、窓にはクレセント錠と呼ばれるシンプルな鍵がついていますが、できればロック機能がついたものを選び、さらにサッシ枠の上か下に補助錠をつけましょう。
また、サッシをきちんと閉めないままクレセント錠だけを回し、結果、締め忘れとなった窓から侵入されるケースも多いそう。サッシが確実に閉まっていないと回らない構造のクレセント錠を選ぶと、締め忘れミスを防げます。
さらに、防犯ガラスの採用も効果があります。防犯ガラスは2枚のガラスの間に特殊なフィルムをはさみ込んでいるため、ガラスにひびが入っても貫通しにくく、そこから手を差し込んでクレセント錠を開けることができません。
防犯ガラスの構造
ちなみに、網入りガラスは火災時の類焼を防ぐには効果的ですが、一般に防犯性は低いといわれています。
各種窓の注意点は下記表の通りです。
窓の種類 |
注意点 |
掃き出し窓 |
周囲から見通しがよく、敷地外から簡単に接近できない場所に設置する。 |
腰高窓 |
見通しの悪い場所では、面格子の設置などの配慮が必要。 |
ルーバー窓 |
壊しやすい窓なので、室内側に面格子を設置するなどの配慮が必要。 |
天窓 |
侵入を防ぐため、開口部は必要最小限の大きさに。 |
出窓 |
上階に侵入しようとする犯罪者の足場にならないように配慮する。 |
換気口 |
侵入を防ぐため、開口部は必要最小限の大きさに。 |
フェンス・塀・垣根
防犯におけるフェンスや塀などの役割は、敷地の境界線を明確にして、侵入しにくくすることにあります。
ただし、見通しの悪いフェンスで敷地を囲ってしまうと、逆に侵入者が目につきにくくなってしまうので、見通しのよいフェンスを選ぶとよいでしょう。
防犯性を高めるには、幅の狭い縦格子がおすすめ。見通しの悪い場所や、枝の茂った生垣は、侵入者が隠れるのに利用されることも。
横格子は足がかりになりやすいので、足がかかりにくく、頭が通らない幅の縦格子を選ぶと、防犯性がアップします。
庭・外まわり
植物の葉がこんもりと茂っていたり、人が隠れられているようなものが置いてあると、侵入者にとって好都合になります。
植栽は低木で、手入れのしやすい品種を選び、隠れ場所をつくらないことを心がけます。特に、侵入されることが多い掃き出し窓周辺は注意しましょう。
また砂利を敷いたり、センターライトを設置すると、心理的にも侵入しにくくなります。
人の気配を察知して点灯するセンサーライトや、足音がする砂利を敷くのも効果あり。
ガレージは見通しのよい位置に設置するか、容易に接近できないシャッターや門扉を設置して、車上狙いや車の盗難を防ぐと同時に、侵入者の隠れ場所になることも防ぎます。
できれば鍵つきか、周囲から見通せるパイプシャッターをセレクト。また、ガレージの屋根が建物の2階への足がかりにならないよう注意しましょう。
玄関・勝手口
玄関や勝手口などの出入り口は、郵便や宅配便の配達、電気やガスの検針など、さまざまな人が訪れるため、実は住人以外の人が近づいても疑われることが少ない場所なのです。
1ドア2ロックを基本として、侵入者ができるだけ侵入に手間取るようにするのが、玄関まわりの防犯のポイントです。
増えつつあるピッキング犯罪(シリンダー錠の鍵穴に特殊な工具を差し込んで開錠・侵入する)を防ぐためには、ピッキングされにくい複雑な構造の鍵を選ぶ必要があります。
また、意外に盲点なのが、玄関扉の横についている明かりとりの窓です。ガラスを割り、そこから内側の鍵を開錠して侵入してくるケースがあるため、手を差し込めないような面格子にしたり、ガラス部分の位置に配慮したり、小さくするなどの工夫が必要です。
玄関にあかりとりのガラスを入れる際は、破壊に強いガラスを使用。手が差し込めないようにガラスを小さくするなどの配慮も必要。
このほか、頑強なドア材を使用したり、訪問者の顔がわかるインターホンを設置するなど、小さな配慮を積み重ねることが、大きな犯罪防止につながります。
門扉
門は、できるだけ人通りが多く、近隣の人の目が届く位置に設置します。できれば錠のある門扉を選び、人通りの少ない位置に門を設置する場合は、さらに防犯性の高い鍵を選びましょう。
外から手を伸ばして鍵がはずせないよう、鍵の位置や門扉のもできるだけ頑丈で、乗り越えられないような高さや形態のものを選びましょう。
バルコニー
2階の窓は防犯意識も低くなりがちで、鍵をかけ忘れてしまうこともありますが、周囲に物置など足場になるものがある場合は注意しましょう。
また柱建て式バルコニーの場合、柱を伝って2階から侵入されることがあるので注意。
1階の窓のひさしや出窓、車庫、車、雨どい、電柱なども足場になりやすいので、十分に注意するようにしましょう。
高い防犯性をしめすCPマーク
ガラス、サッシ、錠、ウインドウ・フィルム、シャッター、ドアなどには、CPマークのついた製品があります。これは犯罪者の侵入をおおむね5分以上防げる性能を確かめた「防犯性の高い建物部品」です。
たとえばドアは、ピッキング、サムターン回し、カム送りといった、強引にこじ開ける手口に対して強くつくられ、サッシはガラス部分に防犯合わせガラスを入れ、サッシ全体の外れ止め対策が施されたものなど。
目録はホームページでも公開されていますので、防犯対策を検討の際は、ぜひ参考にしてみてください(http://www.cp-bohan.jp/)。
防犯対策はあくまでもケースバイケースと考える
上記に一般的な防犯対策をあげましたが、これはあくまでもひとつの目安。たとえば、犯罪者の侵入を防ぐため、塀やバルコニーの手すりは見通しがよいタイプにしたり、塀を低めにするという方法があります。
高い塀で囲ってしまうと、塀の中に侵入されたときに周辺から死角となり、家の中に侵入する作業がしやすくなってしまうからです。
これは、ある程度人通りのある場所では確かに有効な方法ですが、家の中がまる見えになり、かえって侵入しやすいという側面もあります。
高い塀で囲ってしまうと、塀の中に侵入されたときに周辺から死角となり、家の中に侵入する作業がしやすくなってしまうからです。
これは、ある程度人通りのある場所では確かに有効な方法ですが、家の中がまる見えになり、かえって侵入しやすいという側面もあります。
また、センターライトは猫が通っても反応してしまい、住宅密集地ではクレームにつながることも。防犯への備え方や周辺の状況で対策は変わります。
家族みんなが安心して暮らすためには、納得のできる対策を検討しましょう。
必要な機能は家庭によって様々…防犯はプロに相談しましょう!
住まいの防犯性能を高める技術や製品はたくさんありますが、まずはどれくらい防犯性能を高めるか、設計者を交えて、家族で話し合いましょう。
というのは、家族の間でも防犯についての意識に差がある場合もあり、ご主人はあまり気にしないけれど、奥さまや中・高生以上のお嬢さんは、防犯性を高めないと怖いと思っているケースも多いからです。
プランニングの際には、家族形態や暮らし方のバランスも考えて、必要な防犯製品をとり入れます。
たとえば玄関ドアはオートロックが普及していますが、夜間、子どもが塾に通うお宅などでは、うっかり鍵を持たずに出てしまうと、帰宅時にドアが開かなくて困るといったトラブルも。
このように、いたずらに防犯性能を高めると、かえって暮らしにくくなる一面も。ただし共働きで子どもが留守番をすることの多い家や、ご主人が単身赴任で奥さまと子どもだけの家庭、お年寄りだけの家庭は、防犯性能を高めておくと安心でしょう。
家を建てる際は、設計士に防犯設備について相談してみましょう。
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