家づくりにはさまざまな依頼先がありますが、根強い人気があるのが工務店・ハウスビルダーです。特にローコストで家を建てたい人や、自分の好みを反映させた家がほしい人、家づくりに積極的にかかわりたい人にとってメリットがあるよう。こちらでは、その人気の秘密とともに、工務店・ハウスビルダー選びの際の注意点なども解説していきます。
工務店・ハウスビルダーってなに?
「工務店」とはどんな会社を指すのでしょうか? もともと工務店とは、家を施工することを業務の軸として、広範囲な営業網ではなく、施工対象エリアを限定してきた建築会社のこと。その規模は大小さまざまで、棟梁と大工さんが数人の小さな会社もあれば、社員を何十人も抱えている会社もあります。
いっぽうの最近耳にするようになった「ハウスビルダー」は、工務店の進化系ともいえる新しいスタイル。工務店では設計を外注するケースもありますが、ハウスビルダーでは社内に設計者を置き、設計・施工を一貫して行うのが特徴です。会社ごとにプランの提案力や作風・デザインが違うので、自分好みの会社を選ぶ楽しみがあります。
工務店・ハウスビルダーに依頼するメリットはなに?
工務店やハウスビルダーにはどんなメリットがあるのでしょうか? ここではおもなポイントを挙げてみました。やはり「小規模な会社だからこそ」生まれるメリットが多いよう。この利点はぜひ家づくりに役立てたいところです。
比較的大きな規模の会社でも、ハウスメーカーに比べると小回りがきき、相談しだいで自由なプランニングが可能に。建主自身が考えた間取りプランなども、そのままの形でとり入れてもらえる融通性があります。
融通性という点では、たとえば自分の身内に左官屋さんや電気屋さんがいた場合、その人達を施工に使ってもらうことも可能です。特に地方ではこうした依頼はよくあるので、遠慮せずに相談してみるといいでしょう。
壁のペイントや左官作業などをDIY で行いたいと希望すれば、気軽に受け入れてもらえる可能性も大。「自分たちも家づくりに参加したい」「自主施工で工事費を抑えたい」という人にはぴったりです。
その地域の気候風土に合った家づくりが得意なことも、地元の工務店のメリット。太平洋側と日本海側では気候風土が違うように、それぞれの地域には特有の自然条件があります。長年そのエリアで家を作っている工務店であれば、その経験を生かした住まいを提案してくれます。
地元工務店の利点としては、アフターケアのよさも挙げられます。不具合があったときに相談しやすく、将来リフォームしたい時も新築時のことをよく知っている人に依頼できます。そのためにも、息の長い着実な工務店を選ぶことが大切です。
-
設計・施工一貫でリクエストが伝わりやすい
ハウスビルダーや中規模以上の工務店の場合、施工部門のほかに設計部門を社内に置いて、設計・施工一貫で家づくりに対応します。そのため、設計者と施工者の連携が密になり、建主からのリクエストなどもスムーズに伝わります。
施工に精通している工務店やハウスビルダーは、現場でのコストダウンアイディアが豊富。また、多くの会社では独自の流通ルートを確保しているため、素材や設備機器を割安で調達できることもあります。大がかりな宣伝費や営業マンの人件費、住宅展示場の維持費などがかからないことも、コストダウンにつながっています。
工務店・ハウスビルダーに依頼するデメリットはなに?
次に、工務店・ハウスビルダーのデメリットを考えてみましょう。実はこちらでも「小規模な会社だからこそ」生まれてしまうデメリットが目立ちます。これはどんな依頼先にも当てはまりますが、デメリットはメリットの裏返しであることが多いもの。両方を知った上で、納得して選ぶことが大切です。
大手ハウスメーカーと違って、工務店の建てる家には工場生産される部分が少ないため、職人さんの技術力がそのまま完成度に反映されます。また、小規模な工務店では社内に設計スタッフがいないことも多く、プランやデザインにこだわりがある人には不満が残るかもしれません。実際の施工例を見たり、その会社で家を建てた人に話を聞くなどして、技術力を確かめてから依頼先を選ぶと安心です。
工務店・ハウスビルダーでは、手がけられるのは木造住宅のみで、鉄骨造やRC造には対応していないケースも。地下室に対応できない場合もあるので、建てたい家の構造・工法に合わせて依頼先を選ぶ必要があります。
大手ハウスメーカーと比較すると、小規模な工務店・ハウスビルダーではどうしても倒産のリスクが高くなります。家づくりの計画途中で依頼先が倒産してしまうと、その時点までに支払ったお金が返ってこないことも。会社の経営状態をしっかりチェックしたうえで、慎重に依頼先を選ぶことが大切です。
工務店・ハウスビルダー選びでありがちな失敗やトラブルはなに?
工務店やハウスビルダーを選ぶ際に気をつけたいことや、ありがちな失敗を挙げてみました。知っておくとトラブル回避に役立つはずです。
地元の工務店でよくあるのが、知り合いから紹介されたり、親戚に工事関係者がいたから依頼したというケース。相性がよくて何でも話せる関係であればメリットがありますが、問題なのは相性がよくなかった場合。建主側が遠慮して要望を伝えきれない、お金の相談がしにくい、センスが違う、途中で断れない、という失敗談も。
工務店・ハウスビルダーの家づくりは、用意されたプランや仕様から選ぶスタイルではなく、ゼロからスタートするケースがほとんど。そのため、プランから設備・仕様などの細かなことまで、すべて建主自身が決めることになり、それだけ時間と労力が必要になります。打ち合わせの回数も多いため、家づくりにあまり時間をかけられない人には負担になることも。
工務店・ハウスビルダーの選び方のポイントが知りたい
デメリットを防ぎながら、自分に合った工務店・ハウスビルダーを選ぶためのポイントを挙げてみましょう。会社の信頼度をチェックするほかに、実際にその会社が手がけた家を見てみることも大切です。
地元で数多くの家を手がけている工務店は、技術力やアフターフォローを信頼されている証拠。依頼先選びのひとつの目安になるので、これまでにどのくらいの軒数を手がけているのか尋ねてみましょう。
もっと入念に施工実績を調べたいときは、建築士事務所として登録されている建築会社に限りますが、「業務実績」を見せてもらうこともできます。これは当該事業年度に関わった建築物すべての構造や規模、設計期間、工事監理期間などを記載した書類で、住宅を含め、どんな建物を何棟設計したかがわかります。
その会社の経営状態を知るには、地元の銀行に相談する方法や、コンサルタントに依頼する方法などがあります。つまり第三者のチェックがポイントに。独自の基準に沿って選定した登録工務店の中から、依頼先選びを手伝ってくれるプロデュース機関もあります。こちらも第三者からのアドバイスを受けられるので、利用してみるといいでしょう。
工務店・ハウスビルダーの中には、完成見学会やオープンハウスを行っている会社も多数。ホームページなどをこまめにチェックし、積極的に参加してみましょう。プランの提案力やデザインの方向性などが、写真よりもずっとリアルに分かります。その家を建てた本人に会えたら、住み心地などについて話を聞いてみるのもおすすめです。
地元の工務店に依頼したいけれど、知っている会社がなく、紹介者もいない場合があるはず。そんなときは、新聞の折り込みチラシや町内の看板、エリア限定の住宅誌なども参考にしてみて。インターネットだけでなく、幅広く情報を集めることが大切です。
工務店・ハウスビルダーに依頼するときの注意点
工務店・ハウスビルダーに依頼する際に注意しておきたいのは、やはり「自分たちが家をつくる」という自覚をもつこと。デザインや設備についての情報を集めたり、具体的なプランを出したりと、建主が家づくりをリードするくらいの姿勢が必要です。
そう聞くと「工務店・ハウスビルダーに依頼すると大変そう」と感じられるかもしれませんが、自分たちで家づくりに関われるのは楽しいもの。特に「自分の好きなプランや素材を目いっぱいとり入れたい! 」と思っている人には、理想的な依頼先と言えるでしょう。
また、「違和感があったら途中で断る」ことも大切。会社の経営状態に不安があったり、提案されたプランが好みに合わなかったりしたら、思い切って断り、ほかの依頼先を探しましょう。知り合いの工務店や親戚などに依頼するときは、自分たちの要望を遠慮なく伝えられるか、途中で断れるかどうかをしっかり考えて。あとあとのおつきあいが難しくなりそうなら、依頼しないほうが無難かもしれません。
工務店・ハウスビルダーに依頼した人の体験談・口コミが知りたい
ここからは、工務店・ハウスビルダーに実際に依頼して、家を建てた先輩たちの口コミで
す。工務店・ハウスビルダーを選んだ理由から、メリットとデメリットまでを率直に語っていただきました。
工務店・ハウスビルダーを選んだ理由は?
- ●地元密着型という安心感があった。
- ●最初は「工務店って洗練されていないのでは? 」というイメージがあったが、デザインのいい会社もたくさんあり、自分の好みにぴったりの依頼先に出会えた。
- ●大手メーカーはコスト的に断念。同じ市内のハウスビルダーに相談したら、デザインが好みで、担当者のアドバイスも的を得ていて「ここしかない! 」と直感した。
- ●メーカーの住宅展示場を見てもピンと来なかったので、友人が依頼した工務店を紹介してもらった。
- ●大手メーカーは不祥事が多いというイメージがあったので、とにかく建てたあとのアフターフォローのしっかりしている地元工務店を選んだ。
工務店・ハウスビルダーを選んでよかったことは?
- ●デザインの好みが自分に合っていたので、イメージがすんなりと伝わった。
- ●間取りの要望に細かく応えてもらえたので、とても暮らしやすい。
- ●建築費を最初から本体工事費以外を含めた総額で出してもらえたので、予算管理がしやすかった。
- ●最初に打診してから実際にお願いするまで何年もあいたのに、たまに見学会の案内が届くだけで、しつこい営業行為が一切なかった。見学会に参加したときも売り込まれることがなく、自分たちのペースで家づくりができた。
- ●間取りもデザインも自由度が高い。こだわりの強い人、建てたい家のイメージがはっきりある人にはおすすめ!
- ●こまかなリクエストに応えてくれて、質を落とさずにローコスト住宅を建てられた。
- ●最初の顔合わせから完成まで、担当者の交代がなかったので、どの段階でも同じ人に相談できた。
- ●幼児を抱えながらの家づくりだったので、地元のビルダーを選んで大正解。打ち合わせの場所が近くて助かった。
- ●自分たちが考えてパソコンで作った間取りを、ほとんどそのまま実現できた。
- ●職人さんの技術に感動した。やっぱりプロはすごい!
工務店・ハウスビルダーを選んで後悔したこと、大変だったことは?
- ●自由度が高い分だけ選択肢が多くて、イメージがまとまりにくかった。
- ●手作りの部分が多いので、でき上がりが予想しにくい。間違いのないものを求める人には向かないかも。
- ●ハウスメーカーは数が限られているが、工務店やビルダーはたくさんありすぎて、好みに合うところを探すのが大変。
- ●何でもひとつひとつ自分たちで決めるので、時間がかかった。
- ●どこまで品質保証してもらえるのか不安だった。候補にしていた工務店に保証内容を確認して、ネットなどでも住宅の品質管理について調べてから依頼先を決めた。
- ●「これは要らない」と言ったのに、工務店から「絶対あったほうがいい! 」と言われて取り付けたものがあるが、いまだに使っていない。
- ●自分たちの選んだおしゃれなハウスビルダーに、親がいい顔をしなかった。知り合いの工務店を勧められて困った。
まとめ
相性のいい工務店・ハウスビルダーに出会えれば、予算内で好みの家づくりをサポートしてくれる、心強い味方になってくれるはず。ぜひ理想のパートナーを探して、自分たちも一緒に家づくりのプロセスを楽しんで!
★おしゃれな注文住宅を建てたい方はこちら
あわせて読みたい記事はこちら
2015.12.04「家は一生に一度の買い物」と思っている人も多いはず。それだけ高価なものなのに、はじめての経験で買い物の勘も働かず、「どこでどうやって買えばいいのかわからない」、つまり誰に家づくりを依頼すればいいのか悩んでしまうことに。依頼...続きを見る
2015.12.07家づくりをする際には、耳慣れないいくつかの契約を交わしながら進めることになります。はじめての家をつくる機会であれば、いつどのような契約があるかもよくわからないはず。よくわからないだけに、相手の言うままに流されていくと、高い...続きを見る
コメント
全て既読にする
コメントがあるとここに表示されます