マイホームこだわり派におすすめなのが、建築家(設計事務所)との家づくり。自分のライフスタイルにぴったり合った、オリジナリティの高い住まいを実現できます。「世界にたったひとつの家が欲しい!」という人には最適といえるでしょう。もちろん、ほかの依頼先とは一味違う、おしゃれな内装・インテリアも魅力的ですよね。ここでは家づくりの依頼先として建築家(設計事務所)を選ぶ場合、どんなメリットや注意点があるのかを解説していきます。
設計事務所ってなに?
最初に「設計事務所とは? 」という素朴な疑問から解決しましょう。建築家(設計事務所)の仕事は
という3本柱がメイン。
建築家(設計事務所)は建主の代理人という立場で、予算と建主の希望をすり合わせながら1軒の家をつくりあげていく、というイメージです。
つまり、設計事務所に依頼すると、家づくりは建築家と自分たち( 建主 )との共同作業になるということ。
やはり、「お仕着せの家では満足できない」「細部にまで自分たちのこだわりを反映させた、オリジナリティのある家を建てたい」と願う建主にとって、建築家(設計事務所)は最適な依頼先といえるでしょう。
おもに住宅を手がける建築士は、以下の3 種類。それぞれ扱える建物の構造や規模などが異なるため、建てたい家のタイプに合わせて依頼先を選びましょう。
建築士の定義と扱える仕事の内容
|
定義 |
設計または監理できる建築物 |
一級建築士 |
国土交通大臣の免許を受け、 一級建築士の名称を用いて、 設計・工事監理などの業務を行う者 |
制限なし |
二級建築士 |
都道府県知事の免許を受け、 二級建築士の名称を用いて、 設計・工事監理などの業務を行う者 |
木造3階建て(延べ床面積1000㎡以下、 学校・病院などを除く)までと、 木造以外の場合は、高さ13m (延べ床面積300㎡以下まで) |
木造建築士 |
都道府県知事の免許を受け、 木造建築士の名称を用いて、 木造の建築物に関して設計・ 工事監理などの業務を行う者 |
木造建築のみで、2階建て (延べ床面積300㎡以下) |
設計事務所に依頼するメリットはなに?
設計事務所に依頼すると、どんなメリットがあるのでしょうか? こちらでは6 つのポイントを挙げてみました。
さまざまな制約がある中で、建主のためだけの住まいを提案してもらえるのが、建築家の最大の魅力です。建築家にとって、家づくりは「建主との共同作業」。お互いの意見を出し合って試行錯誤しながら、一軒の家を作り上げていくことになります。それだけに、住まいに対する考え方や価値観、美的センスなどがお互いに似ているのが理想的です。
敷地が狭い、変形している、日当たりが悪いなどの困難な敷地条件も、建築家ならではの柔軟な発想で解決してくれます。さまざまな経験やアイディアを駆使し、悪条件を逆手にとって、マイナスをプラスに変えたプランを提案してもらえるでしょう。
工事の見積書が適正な内容か、コストを落とせるポイントはないかなどの予算調整を行うのも、建築家(設計事務所)の仕事。数社の施工会社からとった見積もりを比較・検討して、必要なアドバイスをしてくれます。
施工業者の技量なども、プロの目線からチェック。ただし、最終的に工務店を決め、工事契約をするのは建主自身です。施工業者の信頼度をはかるという大役は、自分の責任で果たすということをお忘れなく。
ローコスト住宅を得意とする建築家であれば、施工しやすくて頑丈な工法や、安くて質のいい素材・設備などを取り入れ、コストダウンに生かしてくれるはずです。間仕切り壁の少ない箱型プランで、材料費と工事費の両方をカットするテクニックもよく見られます。建築家(設計事務所)に依頼すると、設計料(一般的に工事費の10~20%)がかかりますが、こうしたコストダウンの工夫をしてもらうことで、かえって安く建てられることも。ローコスト住宅を得意とする建築家を探すには、過去の設計事例の規模・建築費などがひとつの目安になります。
建築家の仕事には、プランづくりのほかに、敷地の調査、建築確認申請などの法的な手続き、工事中の施工監理、工務店と建主の調整など、さまざまな項目が含まれます。
なかでも心強いのが、素人ではわかりにくい施工監理をサポートしてもらえること。工事が始まると建築家は現場に通って、進行や施工状態などをチェックします。工事の遅れや施工の間違いがあれば、適切に指示してくれるため、手抜き工事などを未然に防ぐことができます。
万一、トラブルが生じた時には、建築家は工務店と建主の間に立ち、解決のための調整も行います。竣工検査や入居後のアフターケアもサポートしてくれるので、不具合があったら気軽に相談できます。外壁や床材などのメンテナンス方法などを、完成時に聞いておくのもよいでしょう。
将来リフォームや増改築するときも、同じ建築家に依頼できれば、無理のないプランや統一感のあるインテリアを実現できます。
設計事務所に依頼するデメリットはなに?
では、設計事務所に依頼するとデメリットもあるのでしょうか? 大きく分けると2 つのポイントがあります。
建築家との家づくりでは、建主自身が全面的に家づくりにかかわることになります。もちろん「すべておまかせ」という依頼の仕方もありますが、ほとんどの場合は建主の要望に沿って家づくりが進むため、間取りプランや仕上げの素材、設備機器などの選定から、こまかなとろでは照明のスイッチやコンセントの位置まで、すべて建主が決め、最終的なGOサインを出すことになります。
こうした作業が負担になる人、迷いやすくて決断するのが苦手な人、それだけの労力や時間をかけられない人にとっては、建築家との家づくりにはデメリットが大きいといえるでしょう。
人気のある設計事務所では、数棟の設計を同時進行しているケースがほとんど。さらには数カ月~1 年先まで依頼者が順番待ちをしていることもあります。そのため、ハウスメーカーや工務店などのほかの依頼先に比べると、家づくりの計画期間が長くかかります。
建主自身の要望をひとつひとつ聞きながらプランニングを進めることも、期間の長期化の理由。家づくりにかけられる時間が少ない人や、決まった時期までに完成させなくてはならない人は、ほかの依頼先を検討したほうが無難かもしれません。
設計事務所選びでありがちな失敗やトラブルはなに?
設計事務所選びで失敗しやすいことや、依頼したあとのトラブルも、気になるところですよね。もっとも多く聞かれる失敗は「建築家の“ 作品" を押しつけられてしまった」というケースです。
建築家は芸術家と違い、建主の希望や敷地条件、使い勝手など多くの要素をふまえてプランを提案してくれます。ただし一方では、その人独自の"作風”があり、住宅を“ 作品"ととらえる建築家もいます。
そういう建築家であっても、その作風に惚れ込んでいて「多少住みづらいところがあっても、この建築家が手がける家に住みたい!」と依頼するケースなら良いでしょう。しかし、作風もよく理解しないまま、ただ人気のある建築家だからという理由で依頼してしまうと、「作風を押しつけられた」と後悔することもありえます。
これはスタート時点でのリサーチ不足、コミュニケーション不足が原因です。自分たちが住む家なのですから家に対する希望は遠慮せずに、はっきり伝えることが大切。もしも相性に不安があったら、早めに断る勇気も必要です。
設計事務所の選び方のポイントが知りたい!
こちらでは、設計事務所の選び方のポイントをご紹介します。大切なのは、何といっても自分たちとの“ 相性" 。実際に会って雰囲気を確かめ、楽しく家づくりを進められる建築家を探せたらベストです。
「作品の押しつけ」といったトラブルを防ぐためにも、やはり実際に会って、相手の人柄を見るのが一番。手がける家の作風を見るのはもちろんですが、相手の服装や話し方、事務所の雰囲気なども、その人を知る手がかりになります。「なんとなく話がしやすい」「趣味が合いそう」といった感覚的なことも重視して。
完成までのおおまかな進め方や、打ち合わせのスパン、アシスタントの人数、年間に手掛ける棟数など、事務所としての体制についても確認しておきましょう。大幅な計画期間の遅れなどを防ぐために役立ちます。
一人だけを訪問してその人に決めるのではなく、何人かの建築家に会って比較してみるのもおすすめ。プランの考え方や家づくりの進め方、事務所の体制などがそれぞれ違うのがわかり、自分たちに合う依頼先を決めるときの判断基準になります。
設計事務所に依頼するときの注意点
設計事務所に依頼するときは、どんなことに注意するべきでしょうか? 気をつけたポイントを3つ挙げてみました。
ほかの依頼先と比べて、建築家との家づくりには長い時間がかかります。それを前提に、いつまでに家を建てたいかをきちんと考え、家の完成時期に見合った依頼先を選ぶ必要があります。
「建築家=先生」と思うと、つい遠慮して自分たちの意見が言いにくくなるかもしれませんが、それでは「作品の押しつけ」も避けられません。建築家との家づくりは、あくまで「建主との共同作業」なので、立場は平等です。自分たちの考えや要望は遠慮せずに伝えましょう。
反対に「お金を払っているのは自分たちだから」と高圧的になるのもNG。建築家にとっても、一緒に気持ちよく共同作業ができる依頼者のほうに力を入れるはずです。つまり、お互いの関係がよくないと、結果的にいい家ができないことに。長い期間、一緒に作業することを考えても、建築家とはフレンドリーな関係を目指すのが正解です。
初対面の相手に、お金の話はしにくいもの。でも、家づくりにはかならず予算がつきもので、それによって建てられる家のプランも規模も大きく違ってきます。そのため、建築家との最初の打ち合わせの段階から、用意できる金額を具体的に伝えることが大切。何度も会ってから「このプランはその金額では不可能」ということになれば、お互いに時間と労力を無駄にすることになってしまいます。
設計事務所に依頼した人の体験談・口コミが知りたい!
「建築事務所の口コミや評判を知りたい! 」という声にお応えして、ここからは設計事務所に依頼した人たちの口コミをご紹介します。「選んでよかった! 」という意見がある一方、「こんなことが大変だった! 」という体験談も。貴重な口コミの数々を、ぜひ参考に。
設計事務所を選んだ理由は?
- ●間取りにもインテリアにもこだわりたかったから。
- ●「建築家= モダンで無機質なデザイン」というイメージがあったが、ナチュラル系の設計事務所もある。うちはやさしい雰囲気の家がほしかったので、女性建築家の事務所を雑誌やネットで探した。
- ●既製品をたくさん使った家ではなく、オリジナルで愛着のもてる家がほしかった。
- ●予算が心配だったが、最初の顔合わせのときに思い切って伝えたら、「その予算でもできます」とはっきり言ってもらえたので、安心してお願いできた。
- ●長年あこがれの設計事務所に依頼した。自分たちでも頼めるのか不安だったが、予算にかかわらず親身になってプランを提案してもらえた。
設計事務所を選んでよかったことは?
- ●「建築家に頼むと高い」というイメージがあったが、ちゃんと予算内で調整してもらえた。「予算が少ないから無理」とあきらめるのはもったいない!
- ●敷地の特徴をしっかり読み込んで、敷地のよさを生かす家をつくってもらえた。
- ●図面を何パターンも作成してもらえて、それを見ているだけで夢がふくらんだ。
- ●住む人の目線を大切にしてくれて、さらにプロにしかわからない設計手法を盛り込んでもらえたので、イメージ以上の家ができた。
- ●予算オーバーが心配だったが、施主支給( 設備などを自分たちで直接取り寄せること )やDIY などのコストダウンテクニックを教えてもらえた。
- ●タイルや床材などは、工事が始まってから現場で選ぶことができた。その場所で自然光で見ることができたので、仕上がりがイメージしやすく、納得のいく選択ができた。
- ●予算におさまるように、こまかくコスト調整してもらえた。アドバイスに沿って、将来リフォームでつけられるもの( タイルの壁や食洗機など )はあきらめたが、正解だったと思う。
- ●お仕着せの既製品ばかりの家ではなく、すみずみまで愛着のわく家になった。
設計事務所を選んで後悔したこと、大変だったことは?
- ●建築家さんも一緒に考えてくれるけれど、基本的にはこまかなところまですべて自分たちで決めなければならない。
- ●プランニングに5 ~6 カ月、工事にも5 ~6 カ月かかるので、時間がない人には向かないと思う。
- ●とにかく好みに合う人を探すことが最大の難関! 妥協しないで気長に情報を集め、実際に会ってみるのがいいと思う。
- 着工してからも現場で何度も打ち合わせをしなければならなかった。
- ●関西に住みながら東京の設計事務所に依頼したので、かなりの時間がかかってしまった。
まとめ
建築家と聞くと、ちょっと敷居の高そうなイメージがあったかもしれません。でも体験者の声を聞いてみると、自分たちの要望をていねいに聞いてくれて、ローコスト住宅でも積極的にサポートしてくれる建築家さんもたくさんいるようです。特におしゃれな家がほしい人、プランにこだわりのある人は、ぜひ依頼先の1 つとして検討してみては。
★おしゃれな注文住宅を建てたい方はこちら
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