なんだか最近、頭痛や疲れやすさ、気力低下、髪や肌の衰えを感じる……。
これらの症状は、「歳のせい」と思いがちですが、実はその背後に「かくれ貧血」があるかもしれません。
かくれ貧血は、検査で「ヘモグロビン値」が低下している鉄欠乏性貧血とは異なり、ヘモグロビン値は正常でも貧血の症状があらわれます。
更年期世代に多い「かくれ貧血」では心身ともにパワーダウンしてしまい、さまざまな症状が出てきます。今回は、検査だけではわからない「かくれ貧血」についてご紹介します。
(文/薬剤師 相田彩)
その症状「かくれ貧血」が原因かも?
毎日、なんとなく「調子が悪い」「やる気が出ない」「疲れやすい」「頭痛や立ちくらみがする」などの症状はありませんか。
もしかしたら、それは「かくれ貧血」の症状かもしれません。
かくれ貧血とは、「潜在性鉄欠乏症」のこと。「かくれ」だから大丈夫とか、潜在性だから今のところは問題ないといった油断は禁物です。かくれ貧血は、貧血の予備軍です。
通常、貧血の検査で指標となるのは、「ヘモグロビン値」です。ヘモグロビン値が基準値内であれば、鉄欠乏性貧血ではないと判断されます。
酸素を全身に送る働きをする血液中のヘモグロビンは、鉄分によって作られています。そのため、体内の鉄分が不足すると、ヘモグロビンの値も減ってしまい、貧血になってしまうのです。
1.かくれ貧血チェックリスト
かくれ貧血は体内に貯蔵されている鉄分の量(貯蔵鉄)が不足しており、貧血の手前の状態です。
以下のチェックリストに当てはまる項目が多い方は、かくれ貧血の可能性があります。
・疲れやすい
・頭痛やめまいがする
・立ちくらみすることが多い
・最近、集中力が低下してきた
・イライラすることが多い
・血液検査のヘモグロビン値は正常と言われている
対処が遅れることがないように、心身ともに疲れを感じたときは医療機関や主治医に相談しましょう。
2.貧血の原因
かくれ貧血の原因は、貯蔵鉄の不足。ヘモグロビン値は基準値の範囲内ですが、貯蔵鉄が知らぬ間に減ってしまい、不足している状態です。
人のからだの鉄分のうち、およそ2/3が「ヘモグロビン」に存在します。残りの1/3は、肝臓や脾臓、骨髄などに貯蔵されており、「フェリチン」という鉄を貯蔵できるたんぱく質の中に入っているのです。
一般の検査では、フェリチンの値を測定することはありませんが、フェリチン値が減少すると、鉄が不足し、かくれ貧血を起こしてしまいます。
とくに、閉経する前の20代~40代の女性は生理によって出血するため、女性の約65%は貧血だといわれています。
さらに、更年期になると、月経周期や月経量の変化により、重い貧血につながる場合もあります。
更年期の貧血は、イライラやめまい、疲れやすさ、気分の落ち込みといった、更年期の症状との区別が難しいといわれています。これらの症状が長引く場合には医療機関を受診しましょう。
かくれ貧血は病気ではありませんが、貧血予備軍の状態です。放置しておくと、鉄剤の服用が必要な状態にもなりかねまませんので注意が必要です。
貧血は食事から見直そう
かくれ貧血を予防するためには、鉄分の摂取が必要です。
まずは、1日3食、規則正しく、栄養バランスのよい食事をし、さらに鉄分や造血に必要な成分をとり入れましょう。
とくに、月経のある女性は、積極的に鉄分を摂るように心がけましょう。
食品に含まれる鉄には、肉や魚、貝などに含まれる「ヘム鉄」と、野菜や海藻類、果物などに含まれる「非ヘム鉄」があります。
1.動物性食品に含まれる「ヘム鉄」
レバーや赤身肉、マグロやカツオなどの赤身魚、アサリやシジミなどの貝類に多く含まれているのが「ヘム鉄」です。ヘム鉄の吸収率は高く、約15~25%です。
2.植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」
小松菜やほうれん草、プルーンや海藻類、大豆などには「非ヘム鉄」が含まれています。非ヘム鉄の吸収率は2~5%程度と、ヘム鉄に比べて低いのが特徴です。
しかし、非ヘム鉄は、ほかの食品との組み合わせにより吸収率をアップさせることができます。たとえば、ビタミンCが豊富な緑黄色野菜や、柑橘類、イチゴなどと一緒に摂ると吸収率が上がります。
3.かくれ貧血の改善には漢方もおすすめ
一般的には、血液検査のヘモグロビン値が正常であれば、貧血とは診断されません。
しかし、漢方医学では、さまざまな心やからだの不調を、かくれ貧血によるものと考えることもあります。
漢方医学では、かくれ貧血も含めて貧血は「血液が不足していたり、気分や自律神経が乱れている状態」と考えます。そのため、貧血の改善には、血(けつ)を補う作用のある漢方薬や気持ちの巡りを改善する漢方薬が使われます。
<貧血の方におすすめの漢方薬>
・十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
十全大補湯は、血や気を補う漢方薬です。疲れやすく、倦怠感や食欲不振があり、顔色が悪い方におすすめです。
・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
血を補い、水分代謝を整える漢方薬です。月経不順や冷え、むくみが気になる方におすすめです。
漢方薬を選ぶときに重要なのは、その人の状態や体質に合っているか、ということです。うまく合っていないと、効果を感じられないだけでなく、場合によっては副作用が生じることもあります。
どの漢方薬が自分に合うのかを見極めるためには、プロの力を借りるのがおすすめです。「あんしん漢方」などのオンライン漢方サービスに、一度相談してみるのもいいでしょう。
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かくれ貧血を予防して健やかな毎日を!
かくれ貧血を予防するためには、日頃の食生活や栄養のバランスが大切です。
鉄不足を効率的に予防するためには、吸収率が高いヘム鉄が豊富に含まれている食品を選ぶのがおすすめ。さらに、鉄分を多く含む食品を食べるだけでなく、より効率よく吸収できる摂取方法を意識しましょう。
<この記事を書いた人>
薬剤師 相田 彩
昭和薬科大学薬学科卒業。
総合リハビリテーション病院、精神科専門病院、調剤薬局に勤務するなかで、漢方薬が使用される症例の多さと、体質や症状に適した漢方を使用することの重要性を実感する。漢方薬の力をより多くの方に広めるために、漢方のプロがAIを活用して自分に適した漢方薬を選び、お手頃価格で自宅に郵送してくれる「あんしん漢方」で情報発信をしている。
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