料理の味と見た目を左右するための大事なひと手間、下ごしらえ。
YouTubeチャンネル『グランメゾンのまかない飯』で人気のイタリアンシェフ・ファビオさんに料理の見た目もおいしさも増し増しになる下ごしらえのプロ技を教わります。
今回の食材は「鶏もも肉」。“やらなきゃ損!”のプロ直伝テクニックをご覧あれ♪
そもそも、鶏もも肉の下ごしらえって必要なの?
…という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
脂は気になるので削いだりカットしたりしても、スジはなんとなくそのまま調理している、という声も聞かれますが…。
ファビオさん、鶏肉の下ごしらえはマストなんですか?
ファビオさん「下ごしらえをやるとやらないのとでは、おいしさが違ってきます!(キッパリ)。
スジが残っていると食感のジャマになります。それに、厚さを均一にすると火入れの時間も短くなり、仕上がりの失敗も少なくなります」
適当に切って、えいやっ!と調理するのでは不十分だったんですね。さっそく調理前の下ごしらえの方法を伝授してもらいましょう。
1.まずはスジを取ろう
ファビオさん「鶏もも肉を広げるとわかるように、スジが集中して走っている方が下(足首の方)です。人間も、足首あたりにはアキレス腱などが集まっていますよね。鶏も同じなんです」
ファビオさん「スジを取るにはピンセットが便利です。形にこだわりはないので、100円ショップなどで使いやすそうなものを購入すればOKです」
ファビオさん「下側には、こんな感じでスジがたくさんあるので、これをピンセットではさんで取ります。肉を抑えて、その隙間からスジを引っ張り出す感じです」
肉が崩れないように力加減を調整しながら進めてくださいね。
ファビオさん「これ、ムダ毛処理に似た快感があるんですよね(笑)。僕はけっこう好きな作業です」
コツがつかめてくると、パッとはさんでスッと抜く心地よさが味わえるそうです。
黙々と作業を続けて… きれいにスジを取りきりました!
ファビオさん「スジからはすごくいい出汁が取れるので、冷凍しておくといいですよ。野菜のクズなんかと一緒に煮込んでスープ作りに使えます」
ちなみに、皮や骨も出汁作りに使え、脂からは鶏油(チー油)が取れるそうです。おいしくゴミ・ロス!っていいですね♪
2. 軟骨を取り除こう
ファビオさん「スーパーや精肉店で扱っている鶏もも肉にはたいてい軟骨が残っているので、それも削ぎ落とします」
これが軟骨。たしかに、若干硬い感触です。
ファビオさん「肉を押し上げるようにして、軟骨を露出すると切りやすくなります。軟骨と肉の間に刃を入れて削いでください。厚く切りすぎると皮にまで穴が空いてしまうので、注意してください」
3. 余分な皮・脂をカットし、肉の厚みを均等にする
ファビオさん「1枚丸ごとソテーなどにする場合は、開いた状態ではみ出して見える皮は切ってあげると、見た目もきれいに出来上がります」
ここでカットした皮もストックしておいて、スープ作りなどに活用しましょう!
皮をカットしたら、次は肉の厚みを揃えていきます。
ファビオさん「ももの上の部分は肉が厚くて火が入りづらいので、ここを開いて、他と同じくらいフラットな状態にします。切り取ってしまわないように、ゆっくりギコギコと包丁を進めてください」
ファビオさん「開くと脂が見えてくるので、それも軟骨と同じように削いで切り落とします」
4.これで完了♪
これで、お掃除がひととおり終わりました。いろんなムダがなくなり、すっきりきれいな姿になりました!
ところでファビオさん、鶏肉の選び方のコツってあるんですか?
おいしい鶏肉の選び方は?
ファビオさん「鶏肉は本来、きれいなピンク色をしています。スーパーに並んでいる段階ではすでに若干鮮度が落ちて、くすんで見えますが…。それでも、なるべく鮮やかなピンク色のものを選ぶといいと思います」
ちなみに。脂は酸化しやすいため、脂身がほとんどない胸肉の方がきれいなピンクに見えるそうです。
鮮度の高い肉の選び方、お掃除の仕方までファビオさんに教えてもらったからには、今度作る鶏肉料理がどれだけ(自分比で)おいしくなるのか!? ぜひ、お試しください。
プロの技をさっそく料理に生かしましょう!
ご紹介した鶏もも肉の下ごしらえの成果が発揮できちゃう「照り焼きチキン」の作り方もぜひチェックしてください。
>>動画はこちら♪
ちょっとした手間でおいしさがググッとアップするなら、やらない手はない!おいしく完成すると、料理がもっと楽しくなりそうですね。
ファビオさん(金子周平さん)
16歳の時に訪れたローマで、イタリア料の魅力の虜に。服部栄養専門学校を卒業後、単独ドイツへ。地元レストランで修行しながら、ヨーロッパ中の美食を食べ歩く。22歳で渡伊後は、数々のミシュラン星付きレストランにて、パスタ部門やパティシエ部門のシェフを歴任。現在は、オープン半年で予約3年待ちとなった、東京・広尾の「長谷川稔」を運営する長谷川稔グループプロデュースの世界初・無料レストラン「Fave」シェフに就任。
>>YouTubeチャンネル『グランメゾンのまかない飯』
協力/Fave
取材・文/みやごかよ
撮影/柴田和宣(主婦の友社)
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