コラム

保育園児はかわいそう？勉強ができない？現役保育士が答える「現場のホンネ」

更新日：2017.10.28

「まだこんなに小さいのに保育園に預けられてかわいそうに…」「勉強ありの幼稚園児に比べて、遊ぶだけの保育園児は勉強も遅れがち」…など、義母から実母から、またはママ友からそんな言葉をかけられ、戸惑う保育園ママは少なくありません。

確かに3歳から登園の幼稚園とは違い、保育園は0歳からOKですし、朝は7時から夜も19時まで預け入れ可能。幼稚園ほどの習い事カリキュラムもありません。
が、しかし、それが本当に“かわいそう”なのか？ “勉強は遅れる”のか？教育の専門家でもある現役保育士さんたちにお話を聞いてみました。

【質問1】保育園児をかわいそうだと思ったことはありますか？

YES 10％
NO 90％

プロの保育士さんの大半は「NO」という意見。この答えにホッとしたお母さんたちも多いのではないでしょうか。
「YES」と答えた保育士さんの意見は、「朝7時から夜7時まで最大12時間も預けられている子どもはかわいそうだと思ってしまうこともある」ということでした。

では、プロの保育士さんから見た保育園のメリットを聞いてみましょう。

▼協調性に優れ、たくましくなる
・「お友達と長時間一緒に生活をし、深い関わりを持つことで協調性が生まれる」
・「精神的にも体力的にもたくましくなり、自立が早い」

小さな頃からお友達と生活を共にすることで、当然喧嘩もするでしょうし、自分の意見がとおらないこともあります。そんななかで生活をすることで、集団での過ごし方や社会性が自然と身につき、たくましくなるのも事実です。

▼充実した生活環境
・「栄養士の考えたバランスのよい食事がとれる」
・「手作りのおもちゃや絵本まで、子どもたちにとっては楽しい遊びの場」
・「トイレトレーニングや食事のマナーなど、生活の基盤が身につくのが早い」

小さな子どもたちの生活基盤を支える保育園。園も先生も、子どもたちひとりひとりの成長に合わせて、食事やトイレトレーニングなど、さまざまなサポート体制を整えています。子どもたちの健康や成長を第一に考えて整えられた環境に身をおくことが「かわいそう」と本当に思いますか？

【質問２】保育園児は幼稚園児とくらべて勉強が遅れがちって本当？

YES 4%
NO 96％

この質問に関しても「そんなことはない」という意見がほとんどでした。
年々進む保育園カリキュラムの充実っぷり、さらに幼稚園と保育園の問題を解決すべく進められる「幼保一元化」の言葉も見られました。

▼保育園でも勉強はある
・「完全に素人意見。今は保育園でもひらがなの勉強はやります」
・「最近は幼保一元化の動きも出始め、保育園でも幼稚園なみのカリキュラムを組む保育園もあります」
・「園児のおばあさんから『保育園は遊ばせて寝かせるだけ』と言われたことがある。昔の人の大半はそう思っているのかも…」
・「勉強ができないのを保育園のせいにしているだけでは？とも思ってしまう。家での読み聞かせやお勉強も大事ですよ」

子どもの教育に関しては、専門家でもある保育士さんから見ても“勉強が遅れる”という説は事実無根のよう。自身も子どもを持つ保育士さんママの中には、「保育園でも勉強はする。幼稚園だろうが保育園だろうが地頭の問題」と実母に断言したという人も。

▼幼稚園のほうがカリキュラムが充実しているのも事実
・「リトミックや英会話は当たり前で、最近は公文やベネッセなどの専門教育を取り入れている幼稚園もある。国の運営費で賄っている保育園ではここまでできない」
・「幼稚園は遠足や運動会はもちろん、父母参観、バザー、苗植えなどパパ・ママ参加で家族みんなが楽しめる行事が多い」

保育園でも勉強をするとはいえ、やはり幼稚園のほうが習い事やお勉強が充実しているのも事実。2歳まで保育園に預けて、3歳からは幼稚園に預けて延長保育を使っているママたちもいるようです。

今回、「保育園児はかわいそうか」という題材を扱いましたが、ひとつ言えることは、お母さんたちが「働く」ことを選択したからといって、子どもたちと一緒にいたくないわけではないということ。
そして保育園側も、お母さんたちのニーズに応えるために、保育園と幼稚園のそれぞれの良いところを組み合わせた「幼保一元化」に力をいれる地域も増えてきているということです。

「女性が働くのが当たり前」となった現代では、子どもの教育の仕方もそれぞれですし、保育園通い・幼稚園通いに正解も不正解もありません。
世帯の多様化が進む今の時代に、なんとも言えないことを議論するのはそろそろやめませんか？

＜プロフィール＞
安野チズル
1児のママ兼コピーライター／エディター
美大卒業後、カフェやレストランの空間デザイナーとしてデビュー。大手出版社に転職後は、雑誌編集者として大物作家や俳優を相手に年間200本以上の取材をこなす。結婚と出産を経験したのちは「働く女性のライフスタイルを輝かせる」スタンスでの仕事に注力。嫁姑同居や幼稚園・保育園問題、育児と仕事の両立など“ワーキングママが直面する問題”をリアルタイムでコンテンツへとアウトプットしている。

写真© boarkid - Fotolia.com

Profile安野チズル

1児のママ兼コピーライター／エディター。美大卒業後、カフェやレストランの空間デザイナーを経て、大手出版社で年間200本以上の取材をこなす。結婚と出産を経験したのち「働く女性のライフスタイルを輝かせる」スタンスで、“ワーキングママが直面する問題”をリアルタイムにアウトプットしている。

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