止むことのない、ちいさな子どもが虐待の末に命を奪われてしまう悲しいニュース。もし自分の身近に同じようなことが起きていたら、どのような対応ができるのでしょうか。
今回は、実際に当事者が周りにいた経験のある一般女性100人に、そのときどんな行動をしたかを聞いてみました。
然るべき機関に通報した
「手遅れになってはいけないので、こっそり児童相談所に通報したことがあります」(派遣社員/29歳)
「息子のクラスに虐待されている男の子がいました。親御さんとは会える機会がなかったので、男の子に直接怪我の原因や食事内容を聞いたり、担任の先生に報告したりしました。最後は、先生が児童相談所に連絡して男の子を引き取ってもらい、彼の命は守られています」(専業主婦/38歳)
「虐待かもしれないと気付いたのが私だけでなく複数だったので、一緒にいた人が児童相談所に連絡しました」(個人事業主・フリーランス/34歳)
「小学校の登校班に虐待されていた男の子がいました。顔から足にかけてあざだらけで、ガリガリに痩せていて、体も震えていました。男の子に声かけをしたり、保護者たちで親御さんに会いに行ったりしましたが対応してもらえませんでした。家に連れて来たあと、警察と児童相談所に電話をかけ、その後施設に引き取られました」(専業主婦/38歳)
ニュースではあまり流れることのない、通報によって最悪の事態を未然に防げたエピソードが多く寄せられました。児童相談所や学校、警察から地域の委員まで、相談できる機関は多く存在しています。もし虐待の疑いがあって自分ひとりでは不安なら、周りの方に話してみるのもいいかもしれません。
ちいさな変化がないかチェック・関わるようにした
「何時頃に泣き叫ぶ声がするかなど、メモを残していました。あまりに頻繁なら通報できるし、状況を聞かれたら答えられるようにするためです」(パート・アルバイト/35歳)
「近所の子どもさんの泣き声や親御さんの怒鳴り声が、数軒隣の我が家までよく聞こえます。ちょくちょくその子と一緒に遊ぶのですが、その際、子どもさんに傷やあざがないかを確認するようにしていました。また、大人に怯える様子がないかなど、その子の行動もしっかり見ていました」(パート・アルバイト/32歳)
「相手に虐待を疑っていると気付かれないように注意しながら、顔を合わせる度に挨拶をしたり軽い世間話をしたりして関わるようにしています。毎日少しでも会話をしていれば非常時や違和感に気付けると思うからです。また、虐待をする方の中には育児ノイローゼの親もいるので、一人で悩みを抱えなくて良い環境を作りたいです」(パート・アルバイト/38歳)
「虐待とは違うかもしれませんが、近所に住んでいる方の子供への怒り方が見ていられない程酷いことがありました。その際、児童相談所へ連絡しようかとも思いましたが、他の近所の方と見守りや積極的に声かけをすることにしました。その結果かはわかりませんが、怒鳴り声なども聞こえなくなり、解決出来たように思えます」(パート・アルバイト/27歳)
すぐに虐待だと決めつけるのは、やはり躊躇するもの。通報までは難しくとも、子どもやその家族と関わるようにして、当事者がひとりで悩み抱え込まないような環境作りを行なったり、状況を把握したりすることも大切ですね。
当事者に直接言った
「お向かいの家が虐待かも知れないと感じました。寒い冬に外へ放り出されたまま放置されていたので、訪問をしてみると幸いにも私より年下だったので子育ての話や体罰の限度について話し合いました。根本的な解決になったかどうかは解りませんが以後泣き声は減りました」(個人事業主・フリーランス/66歳)
「中学生のとき、同級生の妹が同級生から虐待ではないかと思う待遇を受けていました。なるべく訪問したり『それってひどいんじゃない?』などの声がけをしました」(派遣社員/33歳)
虐待されているかもしれない子どもの家族と直接話ができる間柄なら、直接言ってみるという手も。家族ではない第三者からの意見だからこそ、聞いてくれる場合もあるかもしれません。
何もできなかった・どうしたらいいかわからない
一方で、何もできず後悔、迷っているという人も。
「児童相談所に匿名で電話しようと思ったことがあります。しかし、絶対誰が電話したかばれると家族に言われてやめてしまいました」(専業主婦/49歳)
「息子の幼稚園時代にパチンコ店によく出入りしているママがいて、夜中に子どもが寝ている間に行くことがあったようです。子どもを置き去りにしている姿に心配にはなりましたが、何もすることができませんでした」(専業主婦/36歳)
「ご近所ママが、私のいる前で自分のお子さんを罵倒した事がありました。普段、怒鳴るようなイメージがまったくないママだったので、私は驚いて傍観するだけでした。何かその場を救うような言葉かけが出来ていればと今も思います」(専業主婦/44歳)
「同じマンションの部屋から、よく子どもの泣き声がして心配しています。通報すべきか迷っています」(個人事業主・フリーランス/41歳)
「幼稚園の娘の同級生に、一人全く表情のない子がいます。1歳過ぎの頃から既に表情がなく、3歳を過ぎた今も同様です。会った時はできるだけその子に話しかけるようにしていますが、他人の分際でどこまで関わって良いのか、どのような対応をするのがベストなのか分かりません」(専業主婦/34歳)
「近所に子どもを放置している家があり、この連日の猛暑の中ずっと外にいます。一度警察に相談もしくは通報した方がいいのか悩んでいます」(専業主婦/47歳)
このほかに「勘違いだといけないから、慎重に考えているところ。今度子供の泣き声と母親の罵声が聞こえてきたら、児童相談所に電話してみようと思う」、「児童相談所に通報する勇気が出ませんでした。これからは子どもの命を救うため、児童相談所に連絡しようと思います」といった、これから行動を起こそうとしているという声も。
もし虐待の疑いがあるのなら、通報をはじめ、周りの大人と相談してみる、見守るなど、何らかの行動を起こしてもいいかもしれません。
子どもが自ら虐待を受けていると告白することは稀。大人であっても、警察や児童相談所に通報することはとても勇気がいることですが、その決断によって救える命があります。匿名で通報することも可能なので、これ以上悲しいニュースが増えないように、私たち大人が何らかの行動に移していけるよう心がけたいですね。
※暮らしニスタ編集部が一般女性100人を対象に行ったアンケート調査より
名前によって損したり得したりしているアラサーフリーライターです。昨年突然の湿疹を伴うアレルギー症状に見舞われ、食事や生活習慣を改善したことで克服した経験から、オーガニック食品や漢方などに興味があります。
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