コラム
初心者によくすすめられるのが投資信託の積立。それも長い目で見れば、悪い方法ではありませんが、積立ばかりだといつまでたっても学べません。やはり個別銘柄で持とうとしないと、自分で考えないので運用は、なかなか上達しないのですね。
初めての運用にあたって大切なことは３つあります。
（１）10年で仮に半分に減ったとしても家計に支障のない余裕資金でする
（２）安いときに買う
（３）少額でいろいろなものを買う
（１）は、投資はお金が減るリスクがあるからです。
株で手っ取り早くふやそうと考える人もいますが、てっとり早くふえるものなんてありません。子育て世帯なら児童手当と学資保険が貯まっていて、住宅ローンがあるなら繰上げ返済資金も取り分けて、それ以外のお金＝余裕資金でするということです。
（２）も、投資の大原則。
私もこれまで下がったら買う、下がったら買うというのをずっと繰り返しているので、バブルの頃に買ったもの以外は、ずっと黒字です。
仕事がら、投資商品もいろいろと試してみましたが、もっと下がったら買おうとか自分の欲が入るとたいてい負ける。それが自分でわかったので、欲のある投資は止めようと思ってからは、“機械”に頼ることにしました。
証券会社では、株価が○○円以上、あるいは○○円以下になるとメールで通知をしてくれる“株価アラート”というサービスを行っていますが、あらかじめ自分の中でほしい価格をすべて登録しておき、その価格になったとメールが届いたら買う。
１年以上、何の音沙汰もなかったのに突然、ポンッとメールがくることがありますが、そういうふうにしていたら、損することはなくなりました。
私もかつて、デイトレーダーのように年中、相場に張りついていたことがあります。いまいくらになったとか、下がったとか上がったとか、ずっとウォッチしているので、楽しいけれどまったく仕事にならない……（笑）。
でも、そのときに、いかに自分の欲の部分がコントロールできていなかったのかということに気づきました。いま損していないのは、欲を排除して、機械的に売り買いしているからですね。
（３）もまた投資の基本。
初心者だと銘柄がよくわからないので、100万円で１つの銘柄、というふうに買ってしまいがちですが、基本的には少額でいろいろなものを買うことです。100万円なら10万円ずつ10銘柄のように、小分けに買ったほうがいい。
あとはタイミングですね。つい一気に買いたくなりますが、タイミングをずらすことを覚えないといけません。たとえば今日買うよりも、1週間後に買うほうが安いかもしれない。投資信託10万円分も、今週５万円、来週５万円と買ってみると相場の動きもわかります」
証券会社の人にすすめられるままに投資信託300万を１本で購入し、リーマンショックを経たいまは230万円まで下がってしまったとか。
リーマンショックで下がったときに、証券会社の人からすぐに売ったほうがいいと連絡があったらしいのですが、Ｆさんは気持ち的にマイナスで売るのはいやで売らずじまい。結局、いまは完全に塩漬け状態になってしまいました。
でも私が思うのは、やはりＦさんのように損切りできない人は投資しないほうがいい。乗りかえないと損は小さくなりませんから。
私も何年か前までバブル時代に買った株を持っていました。下がるところまで下がっていた株が、もう少し自分の思うところまで戻ったら売ろうと思っていたんです。けれども結局、時間がもったいないなと思って、かなり売ってしまいました。
下がって売ったわけですから、すごく損は出ましたが、売ったタイミングがよく、それで別の株に乗りかえたら、その後、相場が上がり損は埋まったんです。
買った株を売るルールもまた決めておくことですよね。約定したら売るときの価格も決めて、アラート機能に登録しておく。私の場合は20％前後下がったら売ると決めています。売るというよりもやり直す。やり直して、損が埋まる場合もあるわけですから、その株だけで完結して損をとり戻そうとしないことです。
最後にお伝えしておきたいのは、Ｆさんもそうですが、人からすすめられるままに買わないということ。すすめられたものって、たいてい当たりません（笑）。
私も昔『絶対に３倍になるから』とすすめられて買ったファンドがあったんです。ところが３倍どころか、１年もたたずに１／３になってしまった。
でもそれはその人のせいじゃない、買った本人のせい。
自分がいけなかったんだなと、いまでは思えます」
※『サヨナラ、お金の不安』（畠中雅子著 主婦の友社刊 1200円＋税）より
畠中雅子／ファイナンシャルプランナー
社会人の娘、大学生、高校生の息子の母。実体験に基づく的確なアドバイスに定評があり、多数のメディアで幅広く活躍している。『Como特別編集 子育て中でも貯金ゼロでも1000万円貯める10のルール』（主婦の友社）、『どっちがお得？定年後のお金』（高橋書店）など著書多数。
取材・文／池田純子
投資ビギナー必見！初めての運用で失敗しない３つのコツ
更新日：2017.10.28
投資をするならこれだけは守りたい大原則
「運用は貯金をふやすためにするものでは決してありませんが、貯金があって余裕資金があれば、勉強しながらトライしてみてもいいと思います。初心者によくすすめられるのが投資信託の積立。それも長い目で見れば、悪い方法ではありませんが、積立ばかりだといつまでたっても学べません。やはり個別銘柄で持とうとしないと、自分で考えないので運用は、なかなか上達しないのですね。
初めての運用にあたって大切なことは３つあります。
（１）10年で仮に半分に減ったとしても家計に支障のない余裕資金でする
（２）安いときに買う
（３）少額でいろいろなものを買う
（１）は、投資はお金が減るリスクがあるからです。
株で手っ取り早くふやそうと考える人もいますが、てっとり早くふえるものなんてありません。子育て世帯なら児童手当と学資保険が貯まっていて、住宅ローンがあるなら繰上げ返済資金も取り分けて、それ以外のお金＝余裕資金でするということです。
（２）も、投資の大原則。
私もこれまで下がったら買う、下がったら買うというのをずっと繰り返しているので、バブルの頃に買ったもの以外は、ずっと黒字です。
仕事がら、投資商品もいろいろと試してみましたが、もっと下がったら買おうとか自分の欲が入るとたいてい負ける。それが自分でわかったので、欲のある投資は止めようと思ってからは、“機械”に頼ることにしました。
証券会社では、株価が○○円以上、あるいは○○円以下になるとメールで通知をしてくれる“株価アラート”というサービスを行っていますが、あらかじめ自分の中でほしい価格をすべて登録しておき、その価格になったとメールが届いたら買う。
１年以上、何の音沙汰もなかったのに突然、ポンッとメールがくることがありますが、そういうふうにしていたら、損することはなくなりました。
私もかつて、デイトレーダーのように年中、相場に張りついていたことがあります。いまいくらになったとか、下がったとか上がったとか、ずっとウォッチしているので、楽しいけれどまったく仕事にならない……（笑）。
でも、そのときに、いかに自分の欲の部分がコントロールできていなかったのかということに気づきました。いま損していないのは、欲を排除して、機械的に売り買いしているからですね。
（３）もまた投資の基本。
初心者だと銘柄がよくわからないので、100万円で１つの銘柄、というふうに買ってしまいがちですが、基本的には少額でいろいろなものを買うことです。100万円なら10万円ずつ10銘柄のように、小分けに買ったほうがいい。
あとはタイミングですね。つい一気に買いたくなりますが、タイミングをずらすことを覚えないといけません。たとえば今日買うよりも、1週間後に買うほうが安いかもしれない。投資信託10万円分も、今週５万円、来週５万円と買ってみると相場の動きもわかります」
気持ち的にいやでも、やはり必要な損切り
『「つい貯金感覚で買ってしまって」と話すのは、仕事で知り合ったＦさん（45才女性）。証券会社の人にすすめられるままに投資信託300万を１本で購入し、リーマンショックを経たいまは230万円まで下がってしまったとか。
リーマンショックで下がったときに、証券会社の人からすぐに売ったほうがいいと連絡があったらしいのですが、Ｆさんは気持ち的にマイナスで売るのはいやで売らずじまい。結局、いまは完全に塩漬け状態になってしまいました。
でも私が思うのは、やはりＦさんのように損切りできない人は投資しないほうがいい。乗りかえないと損は小さくなりませんから。
私も何年か前までバブル時代に買った株を持っていました。下がるところまで下がっていた株が、もう少し自分の思うところまで戻ったら売ろうと思っていたんです。けれども結局、時間がもったいないなと思って、かなり売ってしまいました。
下がって売ったわけですから、すごく損は出ましたが、売ったタイミングがよく、それで別の株に乗りかえたら、その後、相場が上がり損は埋まったんです。
買った株を売るルールもまた決めておくことですよね。約定したら売るときの価格も決めて、アラート機能に登録しておく。私の場合は20％前後下がったら売ると決めています。売るというよりもやり直す。やり直して、損が埋まる場合もあるわけですから、その株だけで完結して損をとり戻そうとしないことです。
最後にお伝えしておきたいのは、Ｆさんもそうですが、人からすすめられるままに買わないということ。すすめられたものって、たいてい当たりません（笑）。
私も昔『絶対に３倍になるから』とすすめられて買ったファンドがあったんです。ところが３倍どころか、１年もたたずに１／３になってしまった。
でもそれはその人のせいじゃない、買った本人のせい。
自分がいけなかったんだなと、いまでは思えます」
※『サヨナラ、お金の不安』（畠中雅子著 主婦の友社刊 1200円＋税）より
畠中雅子／ファイナンシャルプランナー
社会人の娘、大学生、高校生の息子の母。実体験に基づく的確なアドバイスに定評があり、多数のメディアで幅広く活躍している。『Como特別編集 子育て中でも貯金ゼロでも1000万円貯める10のルール』（主婦の友社）、『どっちがお得？定年後のお金』（高橋書店）など著書多数。
取材・文／池田純子
Profile畠中雅子
ファイナンシャルプランナー
社会人の娘、大学生、高校生の息子の母。実体験に基づく的確なアドバイスに定評があり、多数のメディアで幅広く活躍している。『Como特別編集 子育て中でも貯金ゼロでも1000万円貯める10のルール』（主婦の友社）、コミックエッセイ『結婚したらすぐ考えるお金のこと』（KADOKAWA）など著書多数。
社会人の娘、大学生、高校生の息子の母。実体験に基づく的確なアドバイスに定評があり、多数のメディアで幅広く活躍している。『Como特別編集 子育て中でも貯金ゼロでも1000万円貯める10のルール』（主婦の友社）、コミックエッセイ『結婚したらすぐ考えるお金のこと』（KADOKAWA）など著書多数。
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