コラム

「虐待された子」は「虐待する親」になってしまうのか!?

更新日：2017.10.28

ニュースで親による子どもの虐待事件が報じられるたび、なんとも言えない気持ちになる。
「なんでそんなことをするのだろう？」という怒りと悲しみを覚えるなか、「どうしてそうなってしまったのだろうか？」という思いも同時に湧き上がってきます。
「虐待されて育った子は、自分が親になったら同じことを子どもにする」という話をよく耳にしますが、それは本当なのでしょうか？
そして、“虐待”とはなんなのか、子どもを持つ100人（85人が回答）の主婦に問いかけてみました。

【質問１】
あなたはお子さんを「虐待」したことはありますか？

もちろんない　29％
そうかもしれないと感じたことはある　69％
虐待したことがある　2％

「虐待かもしれない」と感じたことがある人は7割にのぼる結果に。「泣きわめいている子どもがうるさくて部屋から追い出した。子どもを拒絶することは虐待だと感じた」「しつけのつもりでしかっていたのに、イライラが大きくなり、泣き疲れて眠りそうになっている子どもを無理やり起こしてまたしかっている自分にハッとした」など、親としての「子どものしつけ」と、個人の「感情のたかぶり」の間で、子どもと、そして子どもと向き合い続ける母親の間に、日常的に“虐待かもしれない行為”が生まれてしまうことがあるということがわかりました。

【質問２】
あなた自身が子どものころ、親に虐待のようなことをされましたか？

▼虐待されたと思う　12％
「私と姉は、父から日常的に「バカ」「アホ」と言われ、たたかれたり、けられたりしていたので、父とのいい思い出はひとつもありません。今思うと虐待です。母は父に逆らえず、とめてはくれなかった」
「母は妹をかわいがり、私はいつも一人でいました。私が困っていても母は助けてくれず、毎日”ぐずら”などの暴言を受けていました」

▼されたが、虐待とは思わない　12％
・「今も昔も父が大好きだけれど、目覚まし時計を顔に投げつけられたり、熱いお茶をかけられたり、外に閉めだされたことはある。でもそれは私が悪いことをしたからだと思う」

▼虐待はなかったと思う　76％

７割をこえる人が、自身の幼少期に「虐待はなかったと思う」と回答。そして、7割の人が、母親になった今「虐待と感じる行為をしたことがある」と答えている。「親から虐待を受けていた」と答えた1割の主婦が、仮に「虐待と感じる行為」を子どもにしたことがあったとしても、虐待を受けていたすべての人が「虐待する」ということにはならないという結果に。しかし、「虐待されたが、虐待とは思わない」と回答した1割をはじめ、子どもは成長とともに親の感情の背景にあるものを理解するようになり、「当時は嫌だったけど、しょうがなかったのかな」と思うことで、“虐待”もしくは“虐待と思われる行為”がなかったことになってしまうケースもあるため、詳細な数字は分からないまま。しかし、この部分にこそ“虐待”という問題の不明瞭さが現れているのかもしれない。

※出典：雑誌『Como』（主婦の友社）／「私の、今の状態は『虐待』なのですか？」より
※写真| © milatas - Fotolia.com

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