コラム
相談すると『まだ乗れるでしょう』といわれるのを見越して、奥さんに話したときはすでに相談というより事後報告だったそうです。
Ｋさんのご主人の言い分は『ローンを残価設定型プランにしたからオトク』ということです。
一時期、ＣＭでも話題になりましたが、残価設定型プランとは新車価格から、あらかじめ３～５年後の下取り価格を割り引いて、残りの金額を分割して支払う方法。３～５年後にこのローンを返済したら、最初に設定した残価は、同じ販売店で新車に乗り換えるか、車を返却するか、この車を一括か分割で購入するか、そのときの状況に合わせて決めることができます。
この方法で新車のローンを組んだＫさんのご主人は『一度、乗ってみたかった』と予算を大幅にこえた高級車を手に入れてホクホク顔だとか。
この残価設定プラン、一見すると、いいことづくしに見えますが、実は注意点がいくつもあります。まずローン終了後に規定の走行距離以上を走っていたら、その分、追加金を支払う可能性があります。残価をさらにローンで支払うことになったら、その分の金利もかかります。
仮に事故を起こしてしまうと、翌年以降は自動車保険料も高くなります。ローンは払っていても、完全に自分の車になっているわけではありませんから、車両保険を付けないで自動車保険料を節約しよう、なんてこともできません。
厳密にいえば、できないわけでもありませんが、そんなことをして、大事故でも起こしたら、車の修理代が自分にのしかかってくるだけです。
残価設定で買う人は次々と乗りかえていくパターンが多いのですが、やっぱりずっと車のローンがあるというのは家計的におかしい状態。
特に残価設定だとＫさんのご主人のように身の丈に合わない車も買えてしまうからです。高級車は排気量が多くて燃費の悪い車も多く、ガソリン代や維持費がかかるため、それ自体が家計を圧迫します。
やはり車を買うときは、手元にあるお金で買うのが基本。新車が無理なら、中古車で我慢することです。手元のお金では中古車しか買えないとするならば、それが身の丈に合った車選びになります。
いまは13年をこえると税金が高くなる制度になっていますから、15年乗るのは難しいかもしれないけれど、13年は乗ること。その13年の間に、次の車代を貯めていくのが正しいローテーションです」
もちろん、現役時代は賃貸に住んで、退職するときに現金で家を手に入れる人もいますが、若いうちに買うのが一般的だと考えますと、家のローンは使ってもいいローンといえます。そのいっぽうで車など、それ以外のローンは原則的にＮＧです。
話がそれましたが、車というのは、ほんとうに金食い虫です（でも、私自身は車が大好きなんで、手放すことは考えられませんが）。自分の空間として楽しみたければパーツ代やアクセサリー代がかかりますし、残価設定で３年ごとに乗りかえていけば、ずっとローンを抱えたまま維持費もかかる。車に凝ってしまうと、貯金ができない理由になりやすいんですね。
とはいえ車は嗜好品ですので、ある程度のブランドの車に乗ってきた人に、いきなり軽自動車に乗りかえろとはいいづらいですし、いっても聞く耳を持たないでしょう。
知り合いでアメ車しか乗らないという人がいますが、その人はアメ車を手に入れたときよりも収入がかなり減ってしまっています。いつもお金がなくて、友人にご飯をタカっているような状態なのに、車はアメ車以外、絶対に乗らないと宣言しています。
でも、お金がないのでガソリンスタンドでは５Ｌとか10L分のガソリンしか入れられません。もともと燃費の悪い車に乗っていますから、年がら年中ガソリンスタンドに立ち寄っていて、面倒くさそうだなあと、私は見ていて感じます。
でもこういう人は、どこかで一度断ち切る勇気が必要。
新車で買えないなら、中古で買うなどして、どこかで一回、ローンを断ち切らない限り、その体質は治りません。
もしもご主人が車好きなら、車を買いかえることで、子どもの教育費が貯まらない、マイホームの購入が遅くなることを順々に説いて、夫婦で危機感を共有しましょう。
そのためには、これから何にどれぐらいお金がかかるか、いくら貯めればいいのか、マネープランに書き出して現状を洗い出し、それでも高い車がほしいか、短期間で乗り換えたいかなどをご主人に聞いてみるとよいでしょうね」
『サヨナラ、お金の不安』（1200円＋税・主婦の友社刊）
http://www.amazon.co.jp/dp/4074163675
子育て世代が知らずにやっている「お金が貯まらない悪習慣＆行動」を大研究。お金を貯めるのが驚くほどラクになるアドバイスが満載です！
畠中雅子／ファイナンシャルプランナー
社会人の娘、大学生、高校生の息子の母。実体験に基づく的確なアドバイスに定評があり、多数のメディアで幅広く活躍している。『Como特別編集 子育て中でも貯金ゼロでも1000万円貯める10のルール』（主婦の友社）、『どっちがお得？定年後のお金』（高橋書店）など著書多数。
取材・文／池田純子
車好きの人は要注意！！一見オトクな残価設定型プランは危険！
更新日：2017.10.28
「安く買える」「早く手に入れられる」の安心感が命取り！
「先日、取材でお会いしたＫさん（32才女性・息子５才）は、ご主人が車好きで、つい先日も妻であるＫさんに相談もなく車を買いかえたそうです。相談すると『まだ乗れるでしょう』といわれるのを見越して、奥さんに話したときはすでに相談というより事後報告だったそうです。
Ｋさんのご主人の言い分は『ローンを残価設定型プランにしたからオトク』ということです。
一時期、ＣＭでも話題になりましたが、残価設定型プランとは新車価格から、あらかじめ３～５年後の下取り価格を割り引いて、残りの金額を分割して支払う方法。３～５年後にこのローンを返済したら、最初に設定した残価は、同じ販売店で新車に乗り換えるか、車を返却するか、この車を一括か分割で購入するか、そのときの状況に合わせて決めることができます。
この方法で新車のローンを組んだＫさんのご主人は『一度、乗ってみたかった』と予算を大幅にこえた高級車を手に入れてホクホク顔だとか。
この残価設定プラン、一見すると、いいことづくしに見えますが、実は注意点がいくつもあります。まずローン終了後に規定の走行距離以上を走っていたら、その分、追加金を支払う可能性があります。残価をさらにローンで支払うことになったら、その分の金利もかかります。
仮に事故を起こしてしまうと、翌年以降は自動車保険料も高くなります。ローンは払っていても、完全に自分の車になっているわけではありませんから、車両保険を付けないで自動車保険料を節約しよう、なんてこともできません。
厳密にいえば、できないわけでもありませんが、そんなことをして、大事故でも起こしたら、車の修理代が自分にのしかかってくるだけです。
残価設定で買う人は次々と乗りかえていくパターンが多いのですが、やっぱりずっと車のローンがあるというのは家計的におかしい状態。
特に残価設定だとＫさんのご主人のように身の丈に合わない車も買えてしまうからです。高級車は排気量が多くて燃費の悪い車も多く、ガソリン代や維持費がかかるため、それ自体が家計を圧迫します。
やはり車を買うときは、手元にあるお金で買うのが基本。新車が無理なら、中古車で我慢することです。手元のお金では中古車しか買えないとするならば、それが身の丈に合った車選びになります。
いまは13年をこえると税金が高くなる制度になっていますから、15年乗るのは難しいかもしれないけれど、13年は乗ること。その13年の間に、次の車代を貯めていくのが正しいローテーションです」
ローンを組んでいいのは家だけ。車のローンは原則NＧです
「そもそもローンを組んでいい買い物は家だけ。家は老後資金の準備額を減らせるメリットがあるからです。家は老後の家賃を先取りして払っているのといっしょですし、住宅ローンを利用せずに家を買えるような若い世代は少ないでしょう。もちろん、現役時代は賃貸に住んで、退職するときに現金で家を手に入れる人もいますが、若いうちに買うのが一般的だと考えますと、家のローンは使ってもいいローンといえます。そのいっぽうで車など、それ以外のローンは原則的にＮＧです。
話がそれましたが、車というのは、ほんとうに金食い虫です（でも、私自身は車が大好きなんで、手放すことは考えられませんが）。自分の空間として楽しみたければパーツ代やアクセサリー代がかかりますし、残価設定で３年ごとに乗りかえていけば、ずっとローンを抱えたまま維持費もかかる。車に凝ってしまうと、貯金ができない理由になりやすいんですね。
とはいえ車は嗜好品ですので、ある程度のブランドの車に乗ってきた人に、いきなり軽自動車に乗りかえろとはいいづらいですし、いっても聞く耳を持たないでしょう。
知り合いでアメ車しか乗らないという人がいますが、その人はアメ車を手に入れたときよりも収入がかなり減ってしまっています。いつもお金がなくて、友人にご飯をタカっているような状態なのに、車はアメ車以外、絶対に乗らないと宣言しています。
でも、お金がないのでガソリンスタンドでは５Ｌとか10L分のガソリンしか入れられません。もともと燃費の悪い車に乗っていますから、年がら年中ガソリンスタンドに立ち寄っていて、面倒くさそうだなあと、私は見ていて感じます。
でもこういう人は、どこかで一度断ち切る勇気が必要。
新車で買えないなら、中古で買うなどして、どこかで一回、ローンを断ち切らない限り、その体質は治りません。
もしもご主人が車好きなら、車を買いかえることで、子どもの教育費が貯まらない、マイホームの購入が遅くなることを順々に説いて、夫婦で危機感を共有しましょう。
そのためには、これから何にどれぐらいお金がかかるか、いくら貯めればいいのか、マネープランに書き出して現状を洗い出し、それでも高い車がほしいか、短期間で乗り換えたいかなどをご主人に聞いてみるとよいでしょうね」
これでお金の不安ともサヨナラ！
もっと詳しく畠中先生のお話を読みたい方はこちら！『サヨナラ、お金の不安』（1200円＋税・主婦の友社刊）
http://www.amazon.co.jp/dp/4074163675
子育て世代が知らずにやっている「お金が貯まらない悪習慣＆行動」を大研究。お金を貯めるのが驚くほどラクになるアドバイスが満載です！
畠中雅子／ファイナンシャルプランナー
社会人の娘、大学生、高校生の息子の母。実体験に基づく的確なアドバイスに定評があり、多数のメディアで幅広く活躍している。『Como特別編集 子育て中でも貯金ゼロでも1000万円貯める10のルール』（主婦の友社）、『どっちがお得？定年後のお金』（高橋書店）など著書多数。
取材・文／池田純子
Profile畠中雅子
ファイナンシャルプランナー
社会人の娘、大学生、高校生の息子の母。実体験に基づく的確なアドバイスに定評があり、多数のメディアで幅広く活躍している。『Como特別編集 子育て中でも貯金ゼロでも1000万円貯める10のルール』（主婦の友社）、コミックエッセイ『結婚したらすぐ考えるお金のこと』（KADOKAWA）など著書多数。
社会人の娘、大学生、高校生の息子の母。実体験に基づく的確なアドバイスに定評があり、多数のメディアで幅広く活躍している。『Como特別編集 子育て中でも貯金ゼロでも1000万円貯める10のルール』（主婦の友社）、コミックエッセイ『結婚したらすぐ考えるお金のこと』（KADOKAWA）など著書多数。
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