敷地面積にあまり余裕がない場合に、近頃注目を集めている間取りプランのひとつ“スキップフロア”。耳にしたことがあるでしょうか? ここではスキップフロアとはどういうプランなのか、そしてスキップフロアを採用した場合のメリットとデメリット、知っておきたいことなどを紹介します。
そもそも、スキップフロアとは?
スキップフロアとは、床の高さを半階ずつずらして、階段で上下階をつなぐプランのこと。外観は2 階建てでも、内部には3 ~4 層のフロアがあるというイメージです。
部屋ごとに壁で仕切らず、各フロアがあいまいにつながっているので、空間にほどよい独立性とつながりが生まれるのが特徴。そのため、1 フロアの床面積が限られている狭小住宅でも、圧迫感や狭さを感じにくくなります。
スキップフロアにを採用するのに有利なのは、敷地内に段差があるケース。土を加えて土地全体を平らにならすのではなく、その段差を上下階のスキップフロアとして積極的に生かせるからです。たとえば敷地の低いところを一部分だけ掘り込んで半地下室を設け、その上に居室を重ねていけば、自然とスキップフロアの住まいになります。
もともと敷地の低くなった部分を利用するため、完全な地下室をつくるよりは断然ローコスト! 半地下部分はガレージや納戸など、狭小住宅では手に入りにくいゆとりのスペースとして使えます。
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2019.07.20東京スカイツリーや東京タワー、天気の良い日には富士山まで見える最高のロケーションを持つ土地に居を構えられたSさん。家の前には、大きな河川敷があり、どこからともなく通行人の鼻歌が聞こえてくる。そんな気持ちを開放してくれる、心...続きを見る
2019.07.31スポーツやキャンプなどのアウトドアやDIYなど多くの趣味をお持ちのSさん。幼いころからご実家で鳥小屋や犬小屋を造られるなど、DIYの経験も豊富にお持ちで、今回の家づくりの際もDIYをする余白を設けたこだわり満載の住まいを叶...続きを見る
狭小住宅×スキップフロアのメリットを知りたい!
開放感が感じられる
フロアを越えて視線が斜め上や下に延びていくことから、各部屋の面積が小さくても開放的に感じられます。せっかくの広がりを失わないように、階段は壁で仕切らずに、部屋側をオープンにしたいり、手すりを設けるだけにして、階段も部屋の一部になるように工夫しましょう。
家族の気配が伝わりやすい
階ごとに壁やドアで分断されないため、家族の一体感が感じられる住まいになります。姿は見えなくても声や気配は伝わるという、プライバシーと家族のつながりを兼ね備えた暮らしになります。
収納スペースを確保しやすい
敷地を堀り込んだ場合の半地下室や、フロアとフロアの間にできるすき間などを、納戸として利用できます。ただし、高さが十分とれない場合は居室にはできないので注意してください。
プライバシーを守りやすい
周囲の家が普通の2 階建ての場合、スキップフロアにすると、窓の高さが近隣の家とは微妙にずれるため、住宅密集地でも周囲からの視線が入りにくくなってプライバシーを保てます。
狭小住宅×スキップフロアのデメリットを知りたい!
建築コストがかかる
フロアを半階ずつずらすためには、敷地を堀り込んで半地下をつくるか、1 階を半階分だけ高くするか、どちらかの方法をとることに。いずれの場合も、一般的な2 階建て・3 階建てより建築費がかさみます。
依頼先が限られる
特殊なプランにあたるため、設計も施工も、狭小住宅やスキップフロアに慣れたところに依頼するのが間違いないでしょう。
シニアには暮らしにくい
階段が多いスキップフロアはバリアフリー性に欠け、高齢者には不向きです。親との同居の可能性や、自分たちの将来のこともよく考えて計画するのが無難。
冷暖房が効きにくい
フロアごとの仕切りがないため、エアコンの冷気・暖気がほかの階に逃げていってしまい、いわゆるエアコンの効きが悪くなります。対策としては、建物全体の断熱性を高める、最上階にシーリングファン( 天井扇 )を設置する、階段の上か下に必要なときだけ閉められる引き戸をつける、などがあります。
音が響きやすい
家族の声や気配が伝わりやすい反面、生活音やテレビなどの音がうるさく感じられることも。仕事や勉強などに集中したいときのために、生活音をシャットアウトできる個室を用意しておくと安心です。
“ 小さくても狭くない" スキップフロアの家!綿密なイメージづくりが成功のカギ
Hさん宅(東京都)
DATA
家族構成 夫婦+子ども2人
敷地面積 84.57㎡(25,58坪)
建築面積 44,82㎡(13.55坪)
延床面積 77.50㎡(23.44坪)
1F 44.82㎡+2F 32.68㎡(床下収納は除く)
構造・工法 木造2階建て(軸組み工法)
設計 アトリエハコ建築設計事務所(七島幸之・佐野友美)
http://www.hako-arch.com
「都心の近くに住みたかったので、大きな土地は希望外でした。利便性は自分たちでは変えられないけれど、土地の狭さはプランと暮らし方でどうにかなると思ったんです。
こう考えるようになったのは、設計事務所が主宰したオープンハウスに参加したことがきっかけです。「狭小住宅 オープンハウス」のキーワードでネットで検索して、いくつか参加してみたんです。「○㎡」が実際にはどのくらいの広さなのか、数字と写真ではわかりませんよね。でもオープンハウスを見学するうちに、「こうつくればこのくらいの広さ感になるのか!」 と実感できるようになりました。
その体験を通して、20坪以上の土地なら十分に暮らせると判断。家づくりを依頼した設計事務所「アトリエハコ」さんからもアドバイスをもらって、25坪の旗竿敷地を購入しました。
提案されたのは、リビングやDKを短い階段でつないだスキップフロアのプランでした。初期段階から模型をいくつも見せていただいたおかげで、イメージづくりは完璧! 想像していた通り、どのスペースにいても広く感じられるので、狭小住宅に住んでいるという実感はまったくありません」
半階分の外階段を上がると玄関があります。このレベル差のおかげで、お隣の家の玄関との間にさりげない距離感が生まれ、各階の窓の高さもずらすことができました。
リビングからは、半階下のダイニングと、半階上のユーティリティを見通せます。この空間のつながりが狭さ解消のポイント。
リビングから見えていた壁の内側は、洗面・脱衣室を兼ねたユーティリティ。ゆったりとした空間で家事ができます。
窓の外のデッキは壁で囲んで、インナーテラス風に仕立てました。住宅密集地でもリビングが明るくなり、周囲からの視線も気になりません。
デッキは上のフロアにもつながっています。夏にはビニールプールを出したりと、庭がわりに活用しているそう。
ダイニングは1 階にあたりますが、敷地から半階分上がっているため、中2 階のような印象を与えます。キッチンは奥さまのリクエストで対面式に。
ダイニングとキッチンは合わせて10畳ほどですが、天井の高いリビングへと視線が抜けることで、狭い印象を払拭しています。
1 階の寝室と子ども部屋。寝るだけの場所と考えて、日当たりなどにはこだわらなかったそう。子ども部屋はオープンなつくりですが、いずれ梁や柱に沿って壁を立てれば個室になります。
階段下を利用してトイレをプラン。コストダウンのため、トイレは家全体でここ1 カ所だけにしました。
トイレの横にある折り戸を開けると、DKの床下にあたる場所に広い収納スペースが。部屋と同じ面積なので、とにかく大容量! 高さがないので大人はかがんで作業する必要がありますが、ものを置くには十分だとか。
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まとめ
狭小敷地の家づくりでは、面積だけでなく、高さも無駄なく活用したいところ。その工夫のひとつがスキップフロアです。建築コストなどの厳しい条件もありますが、快適に暮らせる狭小住宅のプランとしてぜひ検討してみてください。
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この記事のライター:後藤由里子
主婦の友社刊「はじめての家づくり」をはじめ、数々の住宅・生活関連記事を手がけるライター。キャリアは20年、これまでの実例や建築家、ハウスビルダーへの取材件数は300以上に及ぶ。
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